Archive for the ‘コラム 司法修習’ Category

司法修習のお話~その4 静岡地方裁判所での刑事裁判修習

2023-08-20

守秘義務のお話~弁護士にも司法修習生にも守秘義務があります

残暑お見舞い申し上げます。弁護士の石川です。

残暑どころか酷暑と言われる日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、これからのブログでは、いよいよ実務修習に関する思い出について書いていきたいと思います。

これからこのブログをお読みになる方は、「こんな遊びみたいなことばかりやっていたのか!」「税金返せ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、司法修習生には、弁護士と同様に、守秘義務があります。

司法修習時代の守秘義務は、弁護士になった今でも解除されていません。

ですので、具体的な事件の内容を書くことはできないのです。

一般に公開されているブログでは、当たり障りのない「遊びみたいなこと」しか書けないのです。

何卒ご容赦ください。

中庭にテニスコートがあった裁判所

私の司法修習が始まったのは、2009年(平成21年)12月のことでした。

始まっていきなり賞与が支給されてビックリしたことについては、以前のブログでご紹介したおりです。

さて、2009年(平成21年)12月には、静岡地方裁判所において、「世紀に一度」と言っても過言ではないビッグイベントがありました。

庁舎、つまり、裁判所の建物の建て替えです。

私たちが司法修習を始めた当初に使用していた静岡地方裁判所の庁舎は、「戦後に進駐軍が建てたもの」だったそうです。

天井は高く、年季の入った焦げ茶色の木材が使用されていた庁舎は、まさに謹厳といった雰囲気でした。

ちなみに、エレベーター(司法修習生は使用禁止)は、静岡県内で2番目の古さだったようです。

当時の静岡地方裁判所旧庁舎には、中庭にテニスコートがありました。

また、お昼休みになると、裁判所職員が、幅の広く天井の高い廊下に卓球台を引っ張り出してきて、廊下で卓球をしていたこともあったそうです。

当時の裁判官のご説明だったと思いますが、税金で建てられる裁判所にテニスコートのような「遊び」があるのはけしからん、という市民の声があったからか、あるいは、そのような批判を恐れたためか、現在の静岡地方裁判所の庁舎にテニスコートが設置されることはありませんでした。

また、現在の静岡地方裁判所の廊下では、狭すぎて卓球はできません。

おぼろげな記憶ですが、旧庁舎の廊下の幅は、4メートルくらいはあったのではないでしょうか。

テレビドラマや映画でも使われそうな、すごく雰囲気のある建物でした。

ただし、残念なことに、旧庁舎の法廷を見る機会はありませんでした。

私たちが修習を開始した当初、既にプレハブの仮法廷が建てられていたからです。

新庁舎の、つまり現在の静岡地方裁判所の法廷について、当時の裁判官は、「明るすぎて感銘力も何もあったもんじゃない。」とおっしゃっていましたが、今では誰も法廷の雰囲気に疑問を持つことは無いでしょう。

旧庁舎の法廷は、建物の雰囲気と同様、謹厳な感じだったのでしょうね。

私が行ったことがある静岡県内の裁判所で、法廷の雰囲気と言えば、沼津支部がピカイチです。

きっと静岡地方裁判所旧庁舎の法廷も、あのような雰囲気だったのではないかと推察します。

裁判官のお弁当とレーズンパンの話

私たちにとって、最初の司法修習(実務修習)は、刑事裁判修習でした。

司法修習の初日だったと思いますが、早速刑事裁判を傍聴しました。

守秘義務でも何でもなく、何の事件だったのかすっかり忘れてしまったのですが、司法修習生になると、法廷の中(=「バーの中」)に入ることができます。

「バーの中」に初めて入ったときには、大学、大学院、司法試験の合格を経て、「やっとここまで来られたか。」という感慨がひとしおでした。

さて、これもおぼろげな記憶ですが、新庁舎への引越しがあったのは、修習開始後わずか数日であったと思います。

主に新庁舎での記憶なのですが、当時、私たち司法修習生は、お昼ご飯を裁判官と一緒に食べ、世間話をしたり、事件の話をしたりしていました。

当時、裁判官たちは、毎朝、決まった宅配のお弁当屋さんにお弁当を注文していました。

お弁当には、A、B、ヘルシー、デラックスなどの区分がありましたが、高くても400数十円だったと思います。

裁判官って意外と質素なんだなぁと思いました。

裁判官は、ほぼ全員、そのお弁当屋さんにお弁当を注文し、修習生もそれに習って、同じお弁当屋さんにお弁当を注文していました。

しかし、私は、どうしてもそのお弁当屋さんのお弁当に馴染むことができませんでした。

私は、それほど食に強いこだわりを持っていませんが、好き嫌いは人より多いと思います。

私は、そのお弁当の「白米が冷たい状態で提供されること」に、どうしても耐えられなかったのです。

そのため、修習が始まって2週間ほどして、私は、そのお弁当屋さんのお弁当を注文することを止め、裁判官5人と修習生6人の中で、唯一「お弁当」を持参することになったのです。

そのお弁当は、レーズンパンでした。

より正確に言うと、Pascoの十勝バターレーズンスティックです。

こちらのパンですね。

このパンを1日3本食べていました。2日で1袋ですね。

司法修習は、原則として暦どおりに行われますので、平日5日は、裁判所でお昼を食べます。

私のお昼は、月曜日から金曜日まで、毎日レーズンパンでした。

12月の2週目も3週目も4週目も連日レーズンパンでした。

毎日同じレーズンパンばかり食べていたので、ある日裁判官が、「石川さん、これどうぞ。」と言って、スーパーで使えるレーズンパンの割引券をくれたこともありました。

司法修習終了後、晴れて弁護士となった後、他の修習生だった友だちと、当時お世話になった刑事裁判官に会いに、東京に行ったことがありました。

裁判官にお目にかかるのはほぼ1年ぶりでしたが、裁判官からは、そのときも、「レーズンパンを見ると、石川さんを思い出します。」と言われました(笑)

ちなみに、弁護士になって13年経ちますが、今でも1月に2~3回は、お昼はレーズンパンという日があります。

食の好みはなかなか変わらないものです。

司法修習のお話~その3 「静岡」での実務修習

2023-07-31

静岡修習=静岡市での修習ではなかった!という驚き

みなさん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

前々回のコラムでは、弁護士になるために必要な司法修習の概要についてお話ししました。

また、前回のコラムでは、実務修習地の決め方や、私が第一希望で静岡を希望し、見事静岡での修習を行うことになったことをお話ししました。

今回以降のコラムでは、私が13年前に経験した実務修習の内容や思い出などについて、お話しできる限りでお話ししていきたいと思います。

前回のコラムでもお話ししたように、私は、第一希望で静岡での実務修習を選択し、見事その希望どおり静岡に配属されることになりました。

当時の司法修習は、現在のように、「導入修習」という、司法修習の最初に、司法修習生が埼玉県にある司法研修所に集合して、様々な講義を受けるという制度がありませんでした。

そのため、司法修習が始まると同時に、いきなり全国各地での実務修習が始まるという状態でした。

ただし、静岡の場合は、司法修習が始まる1月ほど前に、実務修習についての事前説明会のようなものがありました。

私はこのとき初めて静岡地方裁判所に行きました。

私は静岡市の出身で、駿府城に面した城内中学校の卒業生です(ちなみに53回生です)。

しかし、恥ずかしながら、事前説明会のために静岡地方裁判所に向かうときまで、静岡地方裁判所が、城内中学校と駿府城のお堀を挟んで反対側にあるということを知りませんでした。

そして、事前案内の際、私が大変驚いたのは、私の弁護修習は静岡市ではなく、沼津で行われるということでした。

「実務修習」では、民事裁判、刑事裁判、弁護士、検察の4つの分野について研修を受けます。

「静岡修習」と言えば、てっきり全ての実務修習を静岡市内にある裁判所、検察庁、弁護士事務所で受けるものだと思っていたのですが、そうではないということを知ったのです。

私は、当時、静岡市で弁護士として働くことを希望しており、そのため、「静岡」を実務修習地の第一希望としました。

しかし、弁護修習は沼津の弁護士事務所で受けるということを知らされ、そのことを聞いたときは、少なからずショックを受けました。

また、私は、事前案内の時点で、既に実務修習期間中に住むための家を静岡市内で決めてしまっていました。

そのため、裁判修習や検察修習が静岡市内で行われる一方、その途中に2か月間だけある弁護修習については、沼津に住んだ方が良いのだろうかなどと思案に暮れました。

ただし、別の機会に書きたいと思いますが、沼津での司法修習は大変楽しく、指導担当の先生方はお二人とも素晴らしい先生でした。

静岡での実務修習の形態

私が司法修習を受けていた平成21年当時もそうでしたし、現在の静岡での実務修習もそうなのですが、「静岡」で実務修習を受ける修習生は、5、6人を1班として、4つの班に分けられます。

裁判修習と検察修習については、どの班も、静岡地方裁判所と静岡地方検察庁で修習を行います。

しかし、弁護修習については、4つの班のうち2つの班は、静岡地方裁判所の本庁管内にある弁護士事務所で修習を行いますが、他の2つの班は、それぞれ浜松と沼津を中心とした地域の弁護士事務所で修習を行います。

なお、関東弁護士連合会発行の「ひまわり」によると、静岡において、弁護修習を静岡本庁のみならず、浜松や沼津でも行うようになったのは、平成16年ころからということでした。

当時の司法修習生の年齢層

先ほどもお話しましたが、当時の静岡修習では、修習の開始前に事前説明会のようなものがありました。

このとき初めて、自分が配属される班が決まるとともに、他の修習生はどんな感じなのか、ということが分かりました。

当時は、現在のように「予備試験」という制度が無かったため、法科大学院(ロースクール)を卒業した年に最初に受験する司法試験に合格することが、いわゆる最短コースでした。

そうすると、当時の司法修習生のうち最も若い人というのは、24歳、25歳くらいということになります。

当時、そのような修習生は全体の3割程度を占めていました。

そして、20代後半から30代の方が5割程度、40代以上の方が2割程度というような記憶です。

近年では、静岡に配属される司法修習生の多くは、20代前半から半ばという印象です。

私が司法修習生だった時代も、24歳、25歳の司法修習生は若いと言われていましたが、今ではさらに若い司法修習生がたくさんいますので、言葉で表現することが難しい感覚なのですが、こんな若い人が司法修習生なのか!と、驚くような、少し恐ろしいような感じがします。

司法修習と「給与」

私が司法修習生だったころ、司法修習生には、国から給与が支払われていました。

修習が始まったのは11月末ころでしたが、それから数日して、いきなり賞与が支払われました。

普通の「月給」をもらう前に「賞与」でしたので、大変驚きました。

「賞与」は、仕事上何か頑張った人がもらうものだと思っていましたので、修習開始わずか数日で賞与が支給されるなんて、司法修習ってすごい制度だなと思いました。

私が司法試験に合格したその翌々年、司法修習生に対する「給与」は廃止されてしまいました。

その後の修習生に対しては、「貸与」という形で、国が一定の金銭を修習生に貸すということになりました。

さらにその後、2017年からは、「修習給付金」という名目で、再び、司法修習生に対して一定の金銭が支払われるようになりました。

ちなみに、「修習給付金」に関する最高裁のウェブサイトはこちらです。

「修習給付金」の金額は、私たちが受け取っていた「給与」の額よりも相当低く、もちろん「賞与」もありません。

司法改革を経て、司法試験合格者の人数は増えましたが、その反動と言いますか、修習生の待遇にも大きな変化がありました。

私が司法修習生だった時代は、国のお金で勉強をさせてもらい、しかも、お給料までいただけていたのですから、大変良い時代に修習をさせてもらったと思っています。

「司法修習」のお話~その2

2023-07-21

弁護士なるために必要な「司法修習」とは~前回のおさらい

前回のブログでは、弁護士になるために必要な「司法修習」の概略についてお話ししました。

「司法修習」とは、非常にざっくり言うと、司法試験に合格した後、弁護士、裁判官、検察官になろうとする人が受けなければいけない研修のことです。

司法修習では、「集合修習」と呼ばれる研修と、「実務修習」と呼ばれる研修の両方を受ける必要があります。

「実務修習」とは、修習生が日本全国のどこかの都道府県に配属され、その都道府県で約9か月間、弁護士、裁判官、検察官のもとで、実際の裁判や事件に触れながら研鑽を積むというものです。

静岡県でも、毎年20数名の修習生を受け入れています。

それでは、実務修習の場所は、どのように決まるのでしょうか。

「実務修習」の研修場所はどのようにして決められるのか?

司法試験に合格した後、司法修習を受けることを表明した司法試験合格者に対しては、どの都道府県で修習を受けたいですか、という希望が聴取されます。

ただし、どの都道府県でも、好きなだけ書けるというわけではありません。

私が司法試験に合格した14年前の古い情報で申し訳ないのですが、当時、全国の都道府県は3つのグループに分けられていました。

不正確な点がありますが、ざっくり言えば、大都市圏、地方中核都市、その他という3つのグループです。

修習を受けようとする人は、実務修習を受けたい都道府県を7つくらいまで、優先順位を付けて、希望を出すことができました。

ただし、大都市圏と地方中核都市は、それぞれ2つまでしか書けませんでした。

つまり、1番東京、2番横浜、3番京都、4番大阪などという希望を出すことはできません。

これらの都市は大都市圏グループでしたので、4つの都市のうち、2つまでしか記載できませんでした。

私が修習生だったころには、四国を書くと、希望順位に関わらず、四国になるという、都市伝説がありました。

私の6年後輩の弁護士が、かなり下の順位で四国の某県を記載したそうですが、彼はその修習地に配属されました。

彼によると、四国の某県での修習はとても楽しかったそうで、私も私的な旅行で四国に行ったことがありますが、とても楽しかったです。

2枚目の写真は、水曜どうでしょうファンなら一度は行きたい、山田屋さんです。

第一希望はもちろん静岡

私の第1希望は、もちろん静岡でした。

静岡での就職を希望していた都合上、第2希望は、静岡に行きやすい横浜を書いたような気がします。

ちなみに、私が修習生だったころ、静岡は大都市圏グループでした。

おそらく首都圏への就職活動に有利な地であり、そのため修習生から人気があったからでしょう。

先ほど、「不正確な点がありますが、」と申し上げたのは、大都市ではないであろう静岡が、グループ分けにおいて、大都市圏グループに組み込まれていたというようなことがあったからです。

私は、見事第1希望で静岡に配属されることになりましたが、修習地は、必ずしも本人の希望が最優先に考慮されるものではないようです。

静岡を第1希望にしたのに静岡に配属されなかった修習生がいる一方、静岡は第3希望であったのに静岡に配属されたという修習生もいました。

実務修習地毎の修習生のレベルの均一化を図る目的などから、そのような配属がされているのだと思われます。

「導入修習」や「集合修習」と、実務修習地との関係

私が修習生だった約14年前、「導入修習」はありませんでした。

司法修習は、いきなり全国各地に配属される「実務修習」から始まり、実務修習が終わると、司法研修所に集まって「集合修習」を受けるというシステムでした。

集合修習では、クラスに割り振られて、各クラスでまとまって授業を受けます。

私が司法試験に合格した2009年当時、司法試験合格者は2000人を超えていました。

当時、集合修習のクラスは、1クラス70人程度で、25クラス程度あったという記憶です。

このクラス分けは、実務修習地を基準に決定されていました。

東京や大阪などの大都市圏は、一つの実務修習地で何クラスもあったのだと思います。

他方で、人数が少ない地方都市の実務修習地では、いくつかの実務修習地が合わさって、一つのクラスとなっていました。

私が配属されていたクラスは、実務修習地が、静岡、甲府、那覇という構成でした。

静岡と甲府は地理的に近いので、この2つが1つのクラスにまとめられるのは理解できるのですが、そこに那覇が入るという何とも絶妙な組み合わせでした。

那覇修習の修習生

那覇に配属されると、地理的な条件から、他の都道府県で就職活動を行うことには大きな困難を伴うことが予想されます。

那覇を希望する修習生は、このことを承知で那覇を希望するわけですが、逆に言うと、既に就職先が決まっている修習生には、就職活動上の地理的ハンディキャップは何の問題にもなりません。

おそらく現在もそうだと思いますが、那覇を希望する修習生は、既に就職先を確保している修習生がほとんどでしょう。

私の代の那覇の修習生は、非常にはっちゃけている人が多く、大人しい静岡、甲府の修習生とは、雰囲気が違いました。

この点で、静岡、甲府に那覇が加わるというクラス分けは、まさに絶妙だったのです。

先にお話ししたように、私が修習生だったときには、いきなり全国各地の「実務修習」から始まっていたので、相互に「遠征」でもしない限り、他の修習地の同じクラスの人と会うのは、司法修習の最終盤、「集合修習」が初めてということになっていました。

しかし、静岡、甲府、那覇というクラスは、和気あいあい、とても楽しいクラスで、非常に仲が良かったという記憶です。

同じクラスの修習生だった友だちと、今年熱海で再会できるのがとても待ち遠しいです。

「司法修習」のお話~その1

2023-07-11

弁護士になるためには~「司法修習」って聞いたことありますか?

皆さんこんにちは。静岡で弁護士をしている石川アトムです。

突然ですが、弁護士になるためにはどうしたら良いでしょうか。

多くの方が、司法試験に合格すること!!とお答えになると思います。

それでは、司法試験に合格すれば、すぐに弁護士として働くことができるのでしょうか。

答えは、Noです。

司法試験に合格した後、弁護士、裁判官、検察官になりたい人は、「司法修習」という研修を受けなければなりません。

司法試験合格者が司法修習を終え、司法修習の卒業試験に合格すれば、晴れて、弁護士、裁判官、検察官として働くことができるようになります。

司法修習は、コロナ禍のイレギュラーな年を除けば、基本的に毎年、決まった時期に行われています。

弁護士業界では(おそらく裁判官も検察官も同様だと思いますが)、「修習新63期の石川です」や「修習70期の○○です」などという自己紹介をすることがよくあります。

「修習新63期の~」というのは、司法修習を終了した年を基準として、「何期の卒業生です」というようなニュアンスです。

私は、修習新63期です。

最近弁護士になられた方から「修習75期の○○です」などと自己紹介されると、「自分もいつの間にか年を食ったもんだ」という気になります(笑)。

修習終了後10年目の会in熱海

今回のブログでは、一般の方には、あまり知られていない司法修習のことを少しだけご紹介します。

と言いますのも、今年は、修習新63期の司法修習終了後10年の会が開かれるからです。

具体的に何をするのかは全く知らないのですが、司法修習終了後10年の会は、該当する年の修習生の間で毎年行われている恒例の行事のようです。

司法修習を終了して10年、つまり、弁護士、裁判官、検察官といった実務に就いて10年の節目に、熱海で同級会をやるというものです。

私が実務に就いて10年の節目の年には、コロナの影響で、この同窓会が中止となりました。

てっきりもうやらないものかと思っていたのですが、実務について13年目の今年に開催されることになりました。

今は別の都道府県で働いている、当時一緒に司法修習を受けた友だちや、司法修習で大変お世話になった教官たち(大先輩の弁護士、裁判官、検察官ということになります)に会えるのをとても楽しみにしています。

「集合修習」とは

さて、司法修習の期間は、概ね1年1か月です。

その中で、司法修習生は、「導入修習」や「集合修習」と呼ばれる研修と、「実務修習」と呼ばれる研修の全てを受ける必要があります。

「導入修習」と「集合修習」は、司法試験の合格者が司法研修所という施設に集まって、座学で研修を受けるものです。

司法修習のスタート時に受けるものが「導入修習」、司法修習の終盤に受けるものが「集合修習」というイメージで良いと思います。

ただし、現在では、司法試験の合格者が大変多くなっています。

2022年の司法試験の合格者数は、約1400人でした。

そのため、導入修習や、集合修習については、1400人の修習生全てが同時に集まるのではなく、修習生を2グループに分け、時期をずらしながら修習を行っているようです。

「実務修習」とは

「実務修習」とは、修習生が日本全国のどこかの都道府県に配属され、その都道府県で約8か月間、弁護士、裁判官、検察官のもとで、実際の裁判や事件を通して勉強をしていくというものです。

たとえば、弁護修習の場合、弁護士と一緒に裁判所に出廷したり、依頼者と打合せをして裁判所に提出する書面を作成したり、警察署に留置されている被疑者と面会したりします。

裁判修習では、裁判官と一緒に法廷に臨んだり、今後訴訟をどのように進行させるか裁判官と議論をしたり、判決を下すとすればどういった内容の判決を出すかということについて判決書の案を作成したりします。

検察修習では、検察官と一緒に、被疑者に対する取調べを行ったり、ある事件について、当該被疑者に対してどのような処分が適当と考えるかを議論したりします。

検察修習の最後の方では、他の司法修習生とペアを組み、検察官は同じ部屋にいるものの、基本的に口を出さず、修習生だけで被疑者を取調べ、調書(被疑者が話した内容をパソコンで打った書類)を作成することもあるかもしれません。

ただし、このようにお話し実務修習の内容は、もう13年前になりますが、私が経験した静岡での実務修習の内容に基づくものです。

大都市圏での実務修習の内容は、上記のものとは異なっているかもしれません。

と言いますのも、静岡で受け入れている修習生は、1年あたり25人程度なのですが、先にお話ししたように、司法試験の合格者は1年あたり1400人を超えています。

具体的な数字は分からないのですが、東京や大阪といった大都市では、1年あたり何百人という修習生を受け入れているものと思われます。

そういった大都市の場合、何百人という修習生に見せられるだけの修習に適した内容の事件が無かったり、「修習生一人当たり~」という見地からしたときの指導側のマンパワーが、地方都市には及ばなかったりするようです。

そのため、地方都市では数件行うことができた検察修習での取調べについても、大都市では全く経験できなかったという修習生もいたという話を聞いたことがあります。

就職活動に関しては、大都市圏での修習が地理的に有利であると思いますが、修習生として実際に経験できる修習の内容という観点からすると、地方都市には大きな魅力があるのではないかと思います。

私は静岡で修習をさせていただき、大変良かったと思っていますし、おそらくこれから司法修習を受けられる司法試験合格者にとっても、静岡での司法修習は大変有意義なものになると思います。

司法試験合格者で、本ブログをお読みの方がもしいらっしゃれば、静岡での司法修習をお勧めいたします。

Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0542706551 問い合わせバナー 無料相談について