司法修習のお話~その3 「静岡」での実務修習

静岡修習=静岡市での修習ではなかった!という驚き

みなさん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

前々回のコラムでは、弁護士になるために必要な司法修習の概要についてお話ししました。

また、前回のコラムでは、実務修習地の決め方や、私が第一希望で静岡を希望し、見事静岡での修習を行うことになったことをお話ししました。

今回以降のコラムでは、私が13年前に経験した実務修習の内容や思い出などについて、お話しできる限りでお話ししていきたいと思います。

前回のコラムでもお話ししたように、私は、第一希望で静岡での実務修習を選択し、見事その希望どおり静岡に配属されることになりました。

当時の司法修習は、現在のように、「導入修習」という、司法修習の最初に、司法修習生が埼玉県にある司法研修所に集合して、様々な講義を受けるという制度がありませんでした。

そのため、司法修習が始まると同時に、いきなり全国各地での実務修習が始まるという状態でした。

ただし、静岡の場合は、司法修習が始まる1月ほど前に、実務修習についての事前説明会のようなものがありました。

私はこのとき初めて静岡地方裁判所に行きました。

私は静岡市の出身で、駿府城に面した城内中学校の卒業生です(ちなみに53回生です)。

しかし、恥ずかしながら、事前説明会のために静岡地方裁判所に向かうときまで、静岡地方裁判所が、城内中学校と駿府城のお堀を挟んで反対側にあるということを知りませんでした。

そして、事前案内の際、私が大変驚いたのは、私の弁護修習は静岡市ではなく、沼津で行われるということでした。

「実務修習」では、民事裁判、刑事裁判、弁護士、検察の4つの分野について研修を受けます。

「静岡修習」と言えば、てっきり全ての実務修習を静岡市内にある裁判所、検察庁、弁護士事務所で受けるものだと思っていたのですが、そうではないということを知ったのです。

私は、当時、静岡市で弁護士として働くことを希望しており、そのため、「静岡」を実務修習地の第一希望としました。

しかし、弁護修習は沼津の弁護士事務所で受けるということを知らされ、そのことを聞いたときは、少なからずショックを受けました。

また、私は、事前案内の時点で、既に実務修習期間中に住むための家を静岡市内で決めてしまっていました。

そのため、裁判修習や検察修習が静岡市内で行われる一方、その途中に2か月間だけある弁護修習については、沼津に住んだ方が良いのだろうかなどと思案に暮れました。

ただし、別の機会に書きたいと思いますが、沼津での司法修習は大変楽しく、指導担当の先生方はお二人とも素晴らしい先生でした。

静岡での実務修習の形態

私が司法修習を受けていた平成21年当時もそうでしたし、現在の静岡での実務修習もそうなのですが、「静岡」で実務修習を受ける修習生は、5、6人を1班として、4つの班に分けられます。

裁判修習と検察修習については、どの班も、静岡地方裁判所と静岡地方検察庁で修習を行います。

しかし、弁護修習については、4つの班のうち2つの班は、静岡地方裁判所の本庁管内にある弁護士事務所で修習を行いますが、他の2つの班は、それぞれ浜松と沼津を中心とした地域の弁護士事務所で修習を行います。

なお、関東弁護士連合会発行の「ひまわり」によると、静岡において、弁護修習を静岡本庁のみならず、浜松や沼津でも行うようになったのは、平成16年ころからということでした。

当時の司法修習生の年齢層

先ほどもお話しましたが、当時の静岡修習では、修習の開始前に事前説明会のようなものがありました。

このとき初めて、自分が配属される班が決まるとともに、他の修習生はどんな感じなのか、ということが分かりました。

当時は、現在のように「予備試験」という制度が無かったため、法科大学院(ロースクール)を卒業した年に最初に受験する司法試験に合格することが、いわゆる最短コースでした。

そうすると、当時の司法修習生のうち最も若い人というのは、24歳、25歳くらいということになります。

当時、そのような修習生は全体の3割程度を占めていました。

そして、20代後半から30代の方が5割程度、40代以上の方が2割程度というような記憶です。

近年では、静岡に配属される司法修習生の多くは、20代前半から半ばという印象です。

私が司法修習生だった時代も、24歳、25歳の司法修習生は若いと言われていましたが、今ではさらに若い司法修習生がたくさんいますので、言葉で表現することが難しい感覚なのですが、こんな若い人が司法修習生なのか!と、驚くような、少し恐ろしいような感じがします。

司法修習と「給与」

私が司法修習生だったころ、司法修習生には、国から給与が支払われていました。

修習が始まったのは11月末ころでしたが、それから数日して、いきなり賞与が支払われました。

普通の「月給」をもらう前に「賞与」でしたので、大変驚きました。

「賞与」は、仕事上何か頑張った人がもらうものだと思っていましたので、修習開始わずか数日で賞与が支給されるなんて、司法修習ってすごい制度だなと思いました。

私が司法試験に合格したその翌々年、司法修習生に対する「給与」は廃止されてしまいました。

その後の修習生に対しては、「貸与」という形で、国が一定の金銭を修習生に貸すということになりました。

さらにその後、2017年からは、「修習給付金」という名目で、再び、司法修習生に対して一定の金銭が支払われるようになりました。

ちなみに、「修習給付金」に関する最高裁のウェブサイトはこちらです。

「修習給付金」の金額は、私たちが受け取っていた「給与」の額よりも相当低く、もちろん「賞与」もありません。

司法改革を経て、司法試験合格者の人数は増えましたが、その反動と言いますか、修習生の待遇にも大きな変化がありました。

私が司法修習生だった時代は、国のお金で勉強をさせてもらい、しかも、お給料までいただけていたのですから、大変良い時代に修習をさせてもらったと思っています。

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