司法修習のお話~その4 静岡地方裁判所での刑事裁判修習

守秘義務のお話~弁護士にも司法修習生にも守秘義務があります

残暑お見舞い申し上げます。弁護士の石川です。

残暑どころか酷暑と言われる日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、これからのブログでは、いよいよ実務修習に関する思い出について書いていきたいと思います。

これからこのブログをお読みになる方は、「こんな遊びみたいなことばかりやっていたのか!」「税金返せ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、司法修習生には、弁護士と同様に、守秘義務があります。

司法修習時代の守秘義務は、弁護士になった今でも解除されていません。

ですので、具体的な事件の内容を書くことはできないのです。

一般に公開されているブログでは、当たり障りのない「遊びみたいなこと」しか書けないのです。

何卒ご容赦ください。

中庭にテニスコートがあった裁判所

私の司法修習が始まったのは、2009年(平成21年)12月のことでした。

始まっていきなり賞与が支給されてビックリしたことについては、以前のブログでご紹介したおりです。

さて、2009年(平成21年)12月には、静岡地方裁判所において、「世紀に一度」と言っても過言ではないビッグイベントがありました。

庁舎、つまり、裁判所の建物の建て替えです。

私たちが司法修習を始めた当初に使用していた静岡地方裁判所の庁舎は、「戦後に進駐軍が建てたもの」だったそうです。

天井は高く、年季の入った焦げ茶色の木材が使用されていた庁舎は、まさに謹厳といった雰囲気でした。

ちなみに、エレベーター(司法修習生は使用禁止)は、静岡県内で2番目の古さだったようです。

当時の静岡地方裁判所旧庁舎には、中庭にテニスコートがありました。

また、お昼休みになると、裁判所職員が、幅の広く天井の高い廊下に卓球台を引っ張り出してきて、廊下で卓球をしていたこともあったそうです。

当時の裁判官のご説明だったと思いますが、税金で建てられる裁判所にテニスコートのような「遊び」があるのはけしからん、という市民の声があったからか、あるいは、そのような批判を恐れたためか、現在の静岡地方裁判所の庁舎にテニスコートが設置されることはありませんでした。

また、現在の静岡地方裁判所の廊下では、狭すぎて卓球はできません。

おぼろげな記憶ですが、旧庁舎の廊下の幅は、4メートルくらいはあったのではないでしょうか。

テレビドラマや映画でも使われそうな、すごく雰囲気のある建物でした。

ただし、残念なことに、旧庁舎の法廷を見る機会はありませんでした。

私たちが修習を開始した当初、既にプレハブの仮法廷が建てられていたからです。

新庁舎の、つまり現在の静岡地方裁判所の法廷について、当時の裁判官は、「明るすぎて感銘力も何もあったもんじゃない。」とおっしゃっていましたが、今では誰も法廷の雰囲気に疑問を持つことは無いでしょう。

旧庁舎の法廷は、建物の雰囲気と同様、謹厳な感じだったのでしょうね。

私が行ったことがある静岡県内の裁判所で、法廷の雰囲気と言えば、沼津支部がピカイチです。

きっと静岡地方裁判所旧庁舎の法廷も、あのような雰囲気だったのではないかと推察します。

裁判官のお弁当とレーズンパンの話

私たちにとって、最初の司法修習(実務修習)は、刑事裁判修習でした。

司法修習の初日だったと思いますが、早速刑事裁判を傍聴しました。

守秘義務でも何でもなく、何の事件だったのかすっかり忘れてしまったのですが、司法修習生になると、法廷の中(=「バーの中」)に入ることができます。

「バーの中」に初めて入ったときには、大学、大学院、司法試験の合格を経て、「やっとここまで来られたか。」という感慨がひとしおでした。

さて、これもおぼろげな記憶ですが、新庁舎への引越しがあったのは、修習開始後わずか数日であったと思います。

主に新庁舎での記憶なのですが、当時、私たち司法修習生は、お昼ご飯を裁判官と一緒に食べ、世間話をしたり、事件の話をしたりしていました。

当時、裁判官たちは、毎朝、決まった宅配のお弁当屋さんにお弁当を注文していました。

お弁当には、A、B、ヘルシー、デラックスなどの区分がありましたが、高くても400数十円だったと思います。

裁判官って意外と質素なんだなぁと思いました。

裁判官は、ほぼ全員、そのお弁当屋さんにお弁当を注文し、修習生もそれに習って、同じお弁当屋さんにお弁当を注文していました。

しかし、私は、どうしてもそのお弁当屋さんのお弁当に馴染むことができませんでした。

私は、それほど食に強いこだわりを持っていませんが、好き嫌いは人より多いと思います。

私は、そのお弁当の「白米が冷たい状態で提供されること」に、どうしても耐えられなかったのです。

そのため、修習が始まって2週間ほどして、私は、そのお弁当屋さんのお弁当を注文することを止め、裁判官5人と修習生6人の中で、唯一「お弁当」を持参することになったのです。

そのお弁当は、レーズンパンでした。

より正確に言うと、Pascoの十勝バターレーズンスティックです。

こちらのパンですね。

このパンを1日3本食べていました。2日で1袋ですね。

司法修習は、原則として暦どおりに行われますので、平日5日は、裁判所でお昼を食べます。

私のお昼は、月曜日から金曜日まで、毎日レーズンパンでした。

12月の2週目も3週目も4週目も連日レーズンパンでした。

毎日同じレーズンパンばかり食べていたので、ある日裁判官が、「石川さん、これどうぞ。」と言って、スーパーで使えるレーズンパンの割引券をくれたこともありました。

司法修習終了後、晴れて弁護士となった後、他の修習生だった友だちと、当時お世話になった刑事裁判官に会いに、東京に行ったことがありました。

裁判官にお目にかかるのはほぼ1年ぶりでしたが、裁判官からは、そのときも、「レーズンパンを見ると、石川さんを思い出します。」と言われました(笑)

ちなみに、弁護士になって13年経ちますが、今でも1月に2~3回は、お昼はレーズンパンという日があります。

食の好みはなかなか変わらないものです。

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