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法テラスを利用した自己破産について
法テラスをご存じですか
法テラスとは、日本司法支援センターの愛称です。
日本司法支援センターは、国が総合法律支援法に基づいて設立した法人で、弁護士等による法的なサービスをより身近に受けられるようにすること等を目的としています。
法テラスは、弁護士を紹介したり、弁護士費用を依頼者に代わって立て替えて支払ったりしてくれたりするところというイメージで良いと思います。
自己破産を申し立てるという場面で言えば、自己破産をするために必要な弁護士費用を法テラスが依頼者に代わって弁護士に支払い、依頼者は、法テラスが立て替えて支払った弁護士費用を分割で法テラスに返済していくという仕組みを取っています。
法テラスは誰でも利用できますか
法テラスは誰でも利用できるわけではありません。
まず、会社や法人は法テラスを利用することはできません。
また、自然人(個人)の場合でも、法テラスを利用するためには、法テラスが定める「資力基準」を満たす必要があります。
法テラスが定める「資力基準」には、「収入基準」と「資産基準」があります。
「収入基準」については、たとえば、静岡県にお住まいの単身者の場合、月額の手取り給与額から家賃(ただし、4万1000円が上限)を控除した残金が18万2000円以下であることが必要です。
次に、「資産基準」については、単身者の場合、現金、預貯金、有価証券及び自宅不動産以外の不動産の合計金額が、原則として180万円以下であることが必要です。
以上の「収入基準」と「資産基準」の双方を満たす場合には、法テラスを利用することができます。
静岡県在住の単身者以外の資力基準については、こちらのページをご覧ください。
法テラスを利用した場合、自己破産の弁護士費用はどうなるのか
法テラスを利用して自己破産手続を行う場合、自己破産の申立てを依頼する弁護士が誰であるかを問わず、また、当該弁護士が当該弁護士の事務所においてどのような報酬基準を設定しているかにかかわらず、法テラスが設定した報酬基準が適用されます。
債権者の数が5人以下の場合、実費を含め、15万5000円となります(報酬金は発生しません)。
依頼人は、この15万5000円を、月々5000円、7000円、1万円などの分割払いにより、法テラスに弁護士費用を支払っていきます。
自己破産手続を取られる方は、通常まとまったお金がないことが多いと思いますので、法テラスを利用して自己破産手続を弁護士に依頼することは、非常に有益だと思われます。
法テラス静岡のページではありませんが、法テラスを利用して自己破産手続を申し立てる場合の弁護士費用に関しては、こちらのページが参考になります。
法テラスでは立て替えられない費用があります!! その1~官報公告費用
自己破産をするに際して、法テラスを利用する場合でも、法テラスは全ての費用を立て替えてくれるわけではありません。
自己破産をするにあたって、裁判所に予納金を納める必要がありますが、法テラスは裁判所への予納金は立て替えてくれません。
裁判所への予納金は、大きく分けて2つの場面で必要となります。
予納金が必要となる1つ目の場面は、官報公告費用です。
自己破産をすると、官報という国の広報誌に名前等を掲載しなければなりません。
官報へ名前等を掲載するための費用は、自己破産を申し立てた人が支払う必要がありますが、この費用を法テラスで立て替えて支払ってもらうことはできません。
静岡地方裁判所での自己破産事件の場合、現在では、1万2000円ほどの予納金を用意する必要があります。
官報に関する具体的な説明は、こちらの記事をご覧ください。
法テラスでは立て替えられない費用があります!! その2~管財人報酬
自己破産事件において予納金が必要となる場面のその2は、自己破産事件において、裁判所によって破産管財人という弁護士が選任される場合です。
破産管財人とは、平たく言ってしまうと、破産事件を取り仕切る立場にある弁護士で、自己破産の申立てを依頼する弁護士とは別の弁護士が選任されます(破産管財人に関する詳しいご説明は、こちらの記事をご覧ください)。
破産管財人に無料で仕事をしてもらうわけにはいかないので、破産管財人に対する報酬金を予納金として、予め裁判所に納める必要があります。
静岡地方裁判所への破産申立事件では、破産管財人に対する報酬金(予納金)としては、少なくとも20万円程度を想定しておく必要があります。
予納金としての20万円は、法テラスの立替払いの対象となりませんので、申立人は、自分で20万円を用意しなければなりません。
そのため、破産管財人の選任が必要となることが予測される場合、予納金20万円を計画的に積み立てておくことも、自己破産申立ての重要な準備の一つとなります。
裁判所への予納金が法テラスによって立て替えられる場合
原則として、自己破産事件において、裁判所への予納金は法テラスの立替払いの対象外です(自己破産の申立人が自ら用意する必要があります)。
ただし、生活保護を受給されている方の場合、裁判所への予納金を含め、自己破産手続の申立てに必要となる予納金についても、法テラスによる立替払いを受けることが可能です。
静岡の弁護士が考える「自己破産に強い弁護士」とは、どのような弁護士か?
「自己破産に強い弁護士」というキーワード
皆さん、こんにちは。静岡で自己破産案件を扱っている弁護士の石川です。
今日では、自己破産を申し立てようと思ったとき、どの弁護士に依頼するのが良いか、インターネットで検索することが多いと思います。
そして、自己破産の申立てを依頼する弁護士をインターネットで検索する場合、「自己破産に強い弁護士」というキーワードを用いて、弁護士を検索される方もいらっしゃると思います。
たとえば、「交通事故に強い弁護士」の場合、「交通事故に強い弁護士」がどういった弁護士を指すのか、これは比較的想像がつきやすいと思われます。
交通事故事件における最終目標は、相手方または相手方保険会社から賠償金を支払ってもらうことです。
そのため、「交通事故に強い弁護士」とは、基本的には、相手方または相手方保険会社から、できる限り高額な賠償金を獲得することができる弁護士ということになるでしょう。
それでは、「自己破産に強い弁護士」とはどのような弁護士でしょうか。
個人の自己破産における最終目標は「免責」を得ること
自己破産事件における最終目標は何でしょうか。
それは、借金を0にすること、負債を支払わなくても良い状態になることです。
つまり、裁判所から「免責」を得ることです。
免責を得ることが自己破産の最終目標であるとすれば、免責を得やすい弁護士が「自己破産に強い弁護士」ということになるのでしょうか。
私は、基本的には、免責を得やすい弁護士が「自己破産に強い弁護士」に当たるとは考えていません。
なぜなら、免責が認められないケースというのはそれほど多くはなく(ただし、結論として免責が認められる場合でも、免責を得るために、破産者自身が努力をしなければならない場合はもちろんあります)、免責が認められるかどうかという点について、自己破産を申し立てた弁護士の力量が関係する事態というのは、ほとんど無いのではないかと思われるからです。
つまり、多くの場合、どの弁護士に依頼をしても、その弁護士が自己破産事件を通常の業務として取り扱っている弁護士であれば、裁判所から「免責」を得ること自体は可能であると思われます。
そのため、私は、基本的には、免責を得やすい弁護士が「自己破産に強い弁護士」に当たるとは考えていません。
免責不許可事由の「浪費」に該当するかどうかの判断
ただし、以下のような場合には、「免責」に関して、弁護士の経験、知識により、結論に差が生じ得るところだと考えられます。
自己破産手続の最終目標は、「免責」=借金を支払わなくて良いことを裁判所に認めてもらうことですが、破産法には、「免責」を認めることができない場合が列挙されています。
そのような場合を「免責不許可事由」といいます。
「免責不許可事由」が存在する場合、破産管財人の選任が必要となり、裁判所へ納める予納金の金額が増加する可能性があります(静岡地裁の場合、予納金として少なくとも20万円程度が必要になると思われます。破産管財人に関する詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。)
免責不許可事由の一つに、「浪費」があります。
生活上必ずしも必要でないもの(たとえば高価なブランド品、服など)を、自身の支払能力を超える借金をしてまで購入していたという場合、そのような事情で作った借金を支払わなくて良いことにするというのは不適当である、というのが破産法の原則的な考え方です。
しかし、高価なブランド品を購入するために借金をしたり、クレジットカードで分割払いしたりすることの全てが免責不許可事由としての「浪費」に当たるわけではありません。
免責不許可事由としての「浪費」に該当するかどうかは、破産者が行った物品の購入行為などを、破産者の財産、収入、社会的地位、生活環境と対比し、その使途、目的、動機、金額、時期、生活環境、社会的許容性の有無等に照らして、総合的に考慮して判断されるとされています。
そのため、同じ人が同じブランド品を買ったとしても、購入した時期によっては、その人の財産状況や収入状況が異なるために、それが「浪費」とされる場合もあれば、「浪費」とされない場合もあると考えられます。
また、仮に高価な服を購入するために借金をしたり、クレジットカードを利用したりしたことがあったとしても、その人がデパートで働いており、勤め先のアパレル店舗の売上ノルマ達成のために、服を購入せざるを得なかったという事情があれば、そのような物品購入は、「浪費」とは判断されない可能性もあります。
このように、高価なブランド品や高価な服を購入するために借金をしたという場合でも、その時期や状況によっては、そのような行為が「浪費」と判断される場合もあれば、「浪費」ではないと判断される場合もあります。
借金をして高額なブランド品を購入=「浪費」と即断するのではなく、依頼者から適切な聴き取りを行い、裁判所に対して、条文の趣旨に沿った適切な説明を行うことができる弁護士は、ある意味、「免責」に関して「自己破産に強い弁護士」と言えるかもしれません。
「免責不許可事由」に関係する詳しいご説明は、こちらのページをご覧ください。
「自己破産に強い弁護士」とはどのような弁護士か
先ほどもお話ししたように、私個人としては、「免責」が得られるかどうかについて、弁護士の力量が問われる事態というのは、ほとんど無いのではないかと思っています。
それでは、多くのケースに妥当するような「自己破産に強い弁護士」というのは、どのような弁護士なのでしょうか。
「自己破産に強い弁護士」というのは、自己破産手続に精通している弁護士を意味しているのだと思います。
そして、自己破産手続に精通している弁護士とそうでない弁護士との一番の差は、自己破産手続の申立てに要する時間に現れると思います。
もちろん自己破産手続もケースバイケースで、申立人における事情は千差万別ですが、特殊な事情が無いにもかかわらず、個人の自己破産手続の申立てのために6か月かかってしまう弁護士は、「自己破産に強い弁護士」とは言えないのではないでしょうか。
また、裁判所に申立てを行った後、書類の不備や説明の不足があるために裁判所から補正を求められることがあります。
補正処理を行わなければ、申立てをした後も破産手続が始められません。
自己破産手続の申立て後に、裁判所から大量の補正を求められる場合、あるいは、補正に対する回答に対して、裁判所からまた補正を求められてしまう場合、このような場合も「自己破産に強い弁護士」とは言えないと思います。
そこで、私の結論としては、「自己破産に強い弁護士」とは、できる限り迅速に自己破産手続の申立てを行い、かつ、裁判所から補正を求められることなく、スムーズに自己破産手続の開始決定を得られる弁護士であろうと考えます。
そして、そのような弁護士に依頼をすることは、借金の問題を抱えている依頼者、申立人が、一刻も早く不安な精神状態から解放されることができるという意味で、依頼者、申立人にとって大きなメリットだと思います。
私は、そのような弁護士でありたいと思い、日々自己破産手続に臨んでいます。
自己破産を検討されている方においては、ぜひ当事務所に一度ご相談ください。
自己破産をすると周りの人にバレてしまうのか?
個人情報保護委員会が「破産者マップ」運営者を刑事告発
2023年1月11日のYahoo!ニュースに、政府の個人情報保護委員会が、「破産者マップ」の運営者を刑事告発した、という記事が掲載されていました。
破産者マップとは、破産者の氏名、住所を、本人の同意なくgoogle map上に表示させて掲載しているウェブサイトのことです。
「破産者マップ」は、2018年12月ころ登場し、一旦は閉鎖されたものの、今回刑事告発の対象となった破産者マップは、2022年7月ころから公開が開始されたようです。
破産者マップの運営者に対して、同サイト上の破産者の氏名、住所などの情報を削除することを求めると、数万円以上の暗号資産の支払いを求められるようです。
「破産者マップ」は、本人の同意なく、破産者の氏名、住所を掲載するもので、本人のプライバシーを侵害するものです。また、破産という本人の社会的評価を貶める事実を公表するものですから、名誉毀損にも該当し得るもので、非常に問題のあるウェブサイトと言えます。
自己破産をすると「官報」に住所氏名が掲載されます
さて、これから自己破産をするべきかどうか悩んでいる方の中には、自分が破産したことが周りの人に知られてしまうのではないか、という不安を持つ方もいらっしゃると思います。
破産をすると、「官報」に、破産者の住所や氏名が掲載されることになっています。
「官報」とは、国が発行する新聞のようなもの(広報誌)で、新しく制定された法令を紹介したり、公務員の人事異動について記載されていたりします。
その官報の一部として、破産者の住所や氏名を掲載するページが存在します。
官報は、特定の販売所で販売されているほか、インターネットで閲覧できたり、図書館に保管されていたりします。
破産したことはバレてしまうのか?
このように記載すると、官報を見ることによって、自己破産をしたことが簡単に知られてしまうように思われるかもしれません。
しかし、思い返していただきたいのですが、これまで皆さんは、実際に官報を見たことがあったでしょうか。
家族、知人、友人と、「官報に○○さんが自己破産したって載ってたよ」などという話をしたことがあったでしょうか。
そのようなことは一度も無かったはずです。
つまり、官報は、誰でも、いつでも閲覧できる状態にある広報誌ですが、基本的には、一般の方が目にすることは無いのです。
実際の官報は、非常に細かい字で、大量の情報が記載されています。
官報は、週に何度も発行されるもので、破産者に関する情報が掲載されているページだけでも、1回あたり10ページに及ぶことがあります。
このような官報を、一般の人が、膨大な時間をかけて継続的に見ているということは通常考えられません。
官報をよく見る人というのは、信用情報機関に勤めており、破産者の情報を収集する業務に当たっている方など、ごく一部の人に限られると考えられます。
そのため、自己破産をしても、基本的には、周りにバレてしまうという心配はありません。
周りの人に自己破産したことがバレてしまうのではないかとご懸念の方も、是非一度当事務所にご相談ください。
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