とても大事な自己破産と免責不許可事由の話3~「虚偽の説明」など

「免責不許可事由」が存在することによるデメリット

自己破産を申し立てる最大の目的は、破産の申立時までに負っていた借金を0にすることです。

借金を0にしてもらうことを裁判所に認めてもらうことを「免責」、「免責許可」、「免責決定」などと言います。

免責不許可事由とは、破産法で規定されている免責が認められない事由のことです。

免責不許可事由が存在すると、自己破産を申し立てても、借金が0にならない可能性があります。

つまり、免責不許事由の最大のデメリットは、破産を申し立てても、借金が無くならない可能性があるということです。

また、免責不許可事由が存在する場合、破産管財人が選任される可能性があり、そのために自己破産を申し立てるために必要となる費用が増えてしまう可能性もあります。

静岡地裁の場合、少なくとも20万円程度の予納金が必要となる場合が多いと考えられます。

詳しくは、こちらのページをご覧ください。

このように、免責不許可事由があるかどうかということは、自己破産の申立てに大きな影響を及ぼします。

今回の記事は、そのような免責不許可事由の具体的内容を紹介する第3弾です。

どのような場合が免責不許可事由にあたるのか?~その4 虚偽の説明

前回の記事では、2つの免責不許可事由を紹介しました。

1つは、申立人が前回免責を得てから7年以内にもう一度自己破産(免責)を申し立てるという場合です。

詳しいご説明は、こちらのページをご覧ください。

もう1つは、浪費や賭博などにより借金をしてしまったという場合です。

免責不許可事由としての「浪費」や「賭博」に関する詳しいご説明は、こちらのページをご覧ください。

浪費や賭博によって借金を作り、自己破産まで至ってしまった場合、もしかすると、そのような人の中には、裁判所から、自己破産に至った原因について調査があった際、免責を得られないことを心配して、「借金をした理由については黙っておこう。」と思う人がいるかもしれません。

また、「借金は生活費が足りなかったことにしておこう。」と考え、浪費や賭博とは別の理由により、借金をしたと説明をしようと考える人もいるかもしれません。

しかし、破産法においては、「破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと」は、免責不許可事由に該当するとされています。

「虚偽の説明」とは、わざと事実と異なる説明をする場合だけでなく、当然説明すべき事項について積極的に説明しないことも含まれると解釈されています。

裁判所が行う調査の中には、破産者の財産や破産者が負った借金に関する事項、破産の申立てに至った経緯など、破産手続全般に及びます。

また、裁判所は、破産手続開始の原因となる事実については、裁判所書記官を通じて調査をすることもあります。

免責が認められなかった裁判例~賭博が原因で借金をしたことを説明しなかったケース

自己破産に関する裁判例の中には、破産申立てに至った経緯や理由の中に、賭博によって多額の借金をした事実があったにも関わらず、これを隠して、「ギャンブルは全くやらない」旨の虚偽の報告書を裁判所に提出したことが虚偽の陳述に当たるなどとして、免責が認められなかったケースもあります。

このように、浪費や賭博があり、そのために大きな借金をしてしまった場合や、浪費や賭博のために財産を消費して、そのために借金をしたり、借金が返せなくなってしまったりしたという事情がある場合には、裁判所に対して、そのことをきちんと説明する必要があります(説明しない場合、免責されない可能性があります)。

そのため、自己破産の申立てをする準備の段階から、申立てを依頼する弁護士に対して、借金をしてしまった理由を正直にお話しすることは、とても大切です。

なお、一般的な感覚からして、浪費や賭博に当たる行為があったと考えられる場合でも、必ずしも、自己破産の免責不許可事由としての「浪費」や「賭博」に該当するとは限りません。

どのような場合に免責不許可事由としての「浪費」や「賭博」に該当してしまうのかについては、こちらのページをご覧ください。

破産管財人による調査にも協力しましょう

破産手続開始決定後、裁判所によって、破産管財人という申立てを依頼した弁護士とは別の弁護士が選任されることがあります(破産管財人に関する詳しいご説明は、こちらのページをご覧ください)。

裁判所は、破産管財人を通じて、調査を行うこともできます。

そのため、破産管財人が行う調査に対して、あえて虚偽の説明をしたり、説明すべき事由に対して自ら積極的に説明しなかったりした場合も、免責不許可事由に該当する可能性があります。

破産管財人から説明を求められた場合にも、きちんと対応することが大切です。

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