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弁護士14年目に入りました

2023-12-21

12月15日は私が弁護士登録をした日です

皆様、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

2023年も残り10日となりました。

皆様、いかがお過ごしでしょうか。

もう間もなくすると、2024年という新しい年が始まります。

人によって、色々な「新しい年」があると思います。

誰しもお持ちの区切りとしては、誕生日があるでしょう。

また、多くの会社やお役所では、4月1日が新しい年の始まりとなっていることでしょう。

私、弁護士石川にとっては、静岡法律事務所から独立し、新たに静岡市に法律事務所を開設した11月1日は、大きな節目の日です。

そしてもう一つ、私にとっての大きな節目の日は、私が弁護士登録をした12月15日です。

2023年12月15日、私にとっては、弁護士14年目となる新しい1年が始まりました。

毎年この時期になると、もうすぐ1年が終わるな、という感覚と、弁護士として新しい1年が始まったな、という2つの感覚を同時に持つことになります。

少し面白い感覚です。

私は、弁護士歴の分類として、「新人」、「若手」、「中堅」、「ベテラン」、「長老」という区切りを使っています。

これは、石川の個人的な分類です。

私の気持ち的には、私はまだ「若手」なのですが、さすがに14年目で「若手」はないですよね。

キャリアだけ見れば、立派に「中堅」と言っていいくらいの弁護士歴になりました。

この間、静岡県弁護士会が行っている破産管財人養成講座という講座に出席してきました(破産管財人については、こちらのページに詳しい内容がございます)。

この講座は、若手の弁護士に対して、破産管財実務を習得させることを目的として行っているものです。

破産管財実務についてある程度キャリアのある弁護士を、若手に対する指導担当として付け、指導担当の弁護士が若手の弁護士と一緒に破産管財事件を扱い、若手の弁護士にその内容を報告してもらっています。

私は、若手を指導する立場として、破産管財人養成講座に出席してきたのですが、その会の冒頭、指導担当の弁護士について、「ベテランの先生方」と紹介されていました。

私以外の先生方は「ベテラン」で差し支えないと思いますが、私は、まだまだ「ベテラン」と言われる歴には達していないのではないかと苦笑しました。

13年という期間は、長いようで、あっという間でした。

私はまだ30代なので、今後、弁護士として、「13年」を少なくともあと2回はやるでしょう。

そうすると、まだまだ今いる地点は、弁護士としてのキャリアの3分の1にしか当たらないわけですね。

「一生」という単位で考えると、「13年」をあと2回やって弁護士を引退した時点で、まだ人生は3分の1残っているわけで、何だか恐ろしいですね・・・。

30代なので当然かもしれませんが、まだまだ人生は先が長いです。

先輩弁護士の名言

私が弁護士なりたての頃、ある先輩の弁護士が、こんなことを言っていました。

「これから、皆さんは、弁護士としての道を歩まれていきます。

弁護士として仕事をしていく中で、とても辛く、大変なことがあると思います。

でも大丈夫です!!

その辛く、大変なことがあった後、もっと辛く、大変なことがあります!

だから、そのとき直面している辛く、大変なことは大したことではないのです!!!」

当時、その先輩の弁護士は、弁護士歴2、3年目とかだったと思いますが、14年目の私からしても、なるほど、その通り!!と思わずにはいられない名言です。

私はこれまで、あまり業務上ストレスを感じたことがなかったのですが(もちろん全く感じなかったわけではないですが)、今年はタフな一年でした。

でも、色々あった後に、次々と色々あったものですから、今では、そのほとんどは、「大したことなかったな」と思えてしまいます(笑)

来年の今頃も、「今年も色々あったけど、大したことなかったな」と思えるといいなと思います。

もう一つの新しいこと~事務局体制の変更

さて、先に12月15日に弁護士としての新しい1年が始まりました、というお話をしたのですが、最近、うちの事務所では、もう一つ新しいことがありました。

2022年11月1日の開所以来、石川アトム法律事務所を支えてくれた事務員さんが本日付で退職されることになりました。

同事務員さんには、裁判所への外回り、電話対応、来客対応、書類の作成補助など、それはそれはたくさんの業務を行っていただき、その事務員さん無しには、円滑な弁護士業務はできませんでした。

本当に助けていただきました。

ありがとうございました。

さて、そんなわけで、今後(特に2024年から)、石川アトム法律事務所では、新しい事務員さん2名をお迎えし、業務を行って参ります。

新しい2名は、ともに法律事務所での職務経験がなく、皆様にはご不便をお掛けすることがあるかもしれませんが、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。

弁護士石川も、これまで以上に、法的サービスの向上に努めて参りますので、2024年もどうぞよろしくお願いいたします(当事務所の年末年始のお休みについては、こちらの記事をご覧ください)。

2023年 弁護士石川が今年読んだ本の話2

2023-12-10

隆慶一郎さんの「一夢庵風流記」

皆さん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

2023年もいよいよ残り20日余りとなりました。

私自身も、非常に重たい書類を何とか締め切りまでに書き上げ、今年の仕事の峠は越えたかなという感覚でおります(石川アトム法律事務所の年末年始のお休みについては、こちらの記事をご覧ください)。

さて今回は、弁護士石川が2023年に読んだ本の第2弾です。

早速ですが、私が今年読んだ本の中で、2番目に面白かった本は、こちらです。

隆慶一郎さんの「一夢庵風流記」です。

タイトルだけをぱっと見ると、一体どこで区切って読めばいいのだろうと思われるかもしれません。

「一夢庵風流記」は、戦国時代末期に存在した前田慶次(あるいは前田慶次郎)という男性の人生を描いた歴史長編小説です。

男性には、「花の慶次」の原作です、とご紹介差し上げるのが最も分かりやすいでしょう。

インターネットを検索してみたところ、どうやら「花の慶次」には、「花の慶次」単体の公式サイトがあるようでして、そのリンクを貼らせていただきます。

花の慶次公式サイト (hananokeiji.jp)

加賀百万石で有名な前田利家は、前田慶次の義理の叔父という関係にあたります。

前田慶次のやることなすこと、とんちが効いた天晴れな所業に胸がすーっとします。

まさに、痛快な小説です。

元々、この本の作者である隆慶一郎さんの「影武者徳川家康」を読んだことがあり、隆慶一郎さんの本で、面白そうなものはないかなと思っていたところ、「一夢庵風流記」という本があることを知りました。

歴史ものが好きで、痛快な小説をお読みになりたい方には、是非おすすめの一冊です。

隆慶一郎さんの「影武者徳川家康」

「影武者徳川家康」は、関ヶ原の合戦で、家康は死んでおり、以後の家康は、家康の影武者あった世良田二郎三郎が家康に成り代わっているという物語です。

関ヶ原前には、「ただの影武者」に過ぎなかった世良田二郎三郎が、家康の子である秀忠や、一部の徳川家重臣に、家康の死を伝えつつ、対外的には自身が家康であるとして振る舞い、用済みとなった自身を亡き者にしようとする秀忠とどのように対峙していくかというストーリーです。

文庫版は、上中下3巻で1800ページを超える大作ですが、「一夢庵風流記」と同様に、さらっとした口当たりの本で、サクサク読めてしまいます。

「影武者徳川家康」は、同名のテレビドラマを見たのがきっかけで、中学のころに読みました。

それから24年経って、昨年何となくもう一度読んでみたいと思い、1800ページを一気読みしました。

こちらも是非お薦めしたい一冊(三冊)です。

東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」

言わずと知れた東野圭吾さんですが、今年私が読んだのは、「ラプラスの魔女」とその前日譚にあたる「魔力の胎動」です。

これらの2冊は、羽原円華という少女が主人公となっている小説です。

羽原円華には、気候状況や物や人の動き方について膨大なデータを学習し、今後の天気を物理法則に基づいて極めて正確に、かつ、緻密に予測したり、気体を含む物や人の動き方を予測したりすることができるという特殊能力を有しています。

「魔力の胎動」で出てくる例で言えば、天候を予測していつのタイミングで飛ぶのがスキージャンパーにとって最も良い風であるかといったことや、ナックルボールの軌道を計算して適確に捕球したりすることができる、ということです。

同じ東野圭吾さんの作品でも、ガリレオシリーズでは、湯川博士が色々と試行錯誤を重ねて実験をしていると思うのですが、羽原円華は、いわば、「秒で」答えを出してしまいます。

スーパーコンピューター富岳のような感じでしょうか。

先に小説の帯を見てしまったからかもしれませんが、小説を読んでいる最中の羽原円華のビジュアルイメージは、そのまんま、広瀬すずさんでした。

このシリーズでは、今年の3月に「魔女と過ごした七日間」という新作が公刊されています。

「ラプラスの魔女」も「魔力の胎動」も文庫本を買ったので、できれば文庫本が出るまで待ちたいのですが、多分我慢できずにハードカバーを買ってしまうでしょう。

その良い例が、東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズです。

加賀恭一郎シリーズは、司法修習生のときにドラマ「新参者」を見て、そのシリーズを知り、第一作の「卒業」から第七作の「赤い指」までは文庫本を購入していました。

しかし、「新参者」以降は、中古ですが、ハードカバーを購入しています。

「新参者」が文庫本化されたのは、ハードカバーの発売から4年後で、その後も文庫本化には概ね3年がかかっています。

そんなに待てません!!

というわけで、今年の9月発売の加賀恭一郎シリーズ最新作「あなたが誰かを殺した」を楽天ラクマで購入してしまいました。

年末年始のお休みに読もうと、今からとてもワクワクしています。

2023年 弁護士石川が今年読んだ本の話1

2023-12-01

先輩弁護士からのプレゼントにより読書熱が再燃

皆さん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

2023年もいよいよ残り1月となりました。

皆様におかれましては、年末年始のご準備をされている時期かと思います(石川アトム法律事務所の年末年始のお休みについては、こちらの記事をご覧ください)。

今回は、弁護士石川が2023年に読んだ本について紹介したいと思います。

元々読書が趣味だったのですが、今年の年明けから春先まで、花粉症の鼻づまりもあり、スッキリ眠れない日が続き、睡眠を重視して、あまり読書をしていませんでした。

しかし、いつもお世話になっている先輩弁護士から、小説「優駿」をプレゼントしていただき、これが大変面白く、読書熱が再燃しました(先輩弁護士からのプレゼントの話は、こちらの記事をご覧ください)。

2023年 最も面白かった本 ~ジョージオーウェル「1984年」

さて、さっそくですが、「優駿」以外で、私が今年読んだ本の中で、最も面白かった本の第一位は、こちらです。

ジョージ・オーウェルの「1984年」。訳者は高橋和久さんです。

以下、なるべくネタバレはしないように気を付けてはいますが、結論の方向性はネタバレがあります。

ご注意ください。

全体主義社会、監視社会の近未来を描いたディストピアノベルの金字塔と言われている作品です。

また、イギリスのある調査では、イギリス人が読んだことのあるフリをした本の第一位にもなったことがあるようです(笑)

出版は1949年で、そのうえでの「近未来」を描いた作品なのですが、1949年出版ということを全く感じさせない、むしろ最近書かれたんじゃないかと思ってしまうような作品です。

「テレスクリーン」という一方通行の監視カメラ、監視スクリーン的な装置など、現代でもあり得そうな設備が出てきます。

出版年以降に、実際に某国で行われていたことが書かれているのではないかと思われるような迫真さと、ある意味の現実感がありました。

そして、この本は、「あーー、ダメダメ。そっち行っちゃダメ。あ~あ・・・」というような主人公の言動で、一体この先どうなっちゃうの、というハラハラ感が止まりません。

さらに、クライマックスに訪れる、突然、足下の床が無くなって垂直落下するようなフリーフォール感と絶望感。

さらに、その後の、ふわふわ感(「何も無かったことにする感」に近いかもしれません)。

読み応え抜群です。

「1984年」に登場する「ニュースピーク」

「1984年」は、とてもお薦めな本なのですが、この本にはちょっと取っつきにくいところがあります。

私も実際、最初の数ページを読んで数か月寝かせるということをこれまで2度ほどしたと思います。

先ほども若干紹介した「テレスクリーン」以外にも、この本で用いられている設定や、それを表す語彙に慣れるまでちょっと時間がかかるかもしれません。

小説中には、「オセアニア」、「ユーラシア」、「イースタシア」という国名が登場します。

しかし、小説に出てくる「オセアニア」や「ユーラシア」は、現在私たちが使っている「オセアニア」や「ユーラシア」とは異なっています。

これがまたややこしい。

小説中の「オセアニア」は、概ね南北中央アメリカ、イギリス、オーストラリア、アフリカ南部を含む地域で、本小説の主人公は、「オセアニア」で暮らしています。

「ユーラシア」はロシア+ヨーロッパ、「イースタシア」は、概ね、中国、モンゴル、チベット、日本、東南アジアの地域を意味しています。

また、私の場合、特に「ニュースピーク」という設定に混乱しました。

「ニュースピーク」は、カタカナで書かれていたこともあって、この本の相当途中まで、
「new speak」=新しい言語ではなく、「News peak」=とっておきのニュースだと思っていました。

ニュースピークというのは、この小説に登場する、いわば新しい英語のことです。

ニュースピークの目的は、言葉の数を減らしていくことです。

たとえば、現在の英語には、「寒い」を意味する「cold」という言葉があり、温かいには、
「warm」という言葉があります。

しかし、ニュースピークに「warm」という言葉は存在しません。

「寒い」=「cold」に「非」を意味する接頭語「un-」がプラスされ、「uncold」が「warm」の代わりを果たします。

このように、代替可能な語彙は、次々と一つの語にまとめられ、消滅していきます。

人は、言葉を失うと、その事実を適確に表現したり、考えたりすることができなくなります。

そのように、言葉を奪っていくことで、支配層にとって不都合な思考自体をさせないようにしていく、というのがニュースピークの目的です。

なるほど確かに、言葉を奪われてしまうと、考えること自体ができなくなってしまいます。

その思考を指し示す表現ができなくなってしまうのです。

この発想には、よくまぁそんなこと考えたなぁと感服しました。

「1984年」、とてもお薦めです。

年末年始のお休み中にいかがでしょうか。

年末年始のお休みのお知らせと、弁護士業務の繁忙期・閑散期

2023-11-20

石川アトム法律事務所の年末年始のお休み

皆さん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

2023年も残すところ、40日余りとなりました。

本年も皆様のおかげで、何とか1年業務をこなすことができそうです。

ありがとうございました。

さて、石川アトム法律事務所では、2023年12月28日(木)から2024年1月8日(月祝)まで年末年始のお休みをいただきます。

2023年の最終営業日は12月27日(水)、2024年、年明けの最初の営業日は、1月9日(火)の予定です。

上記お休みの期間中、私が(弁護士が)気まぐれで事務所に来て仕事をしていることがあるかもしれませんが、基本的には、事務所にお電話をいただきましても、ご用件を承ることができません。

何卒ご了承ください。

他方で、法律顧問のご用命をいただいております顧問企業様におかれましては、年末年始の間も、何かございましたら、いつでも当職の携帯電話宛てにご連絡をいただければと思います(法律顧問、顧問契約等に関心がございましたら、こちらのページをご覧ください)。

少し気が早いですが、本ブログの読者の皆様におかれましては、どうぞ良いお年をお迎えください。

私も2023年、ラストスパートで頑張って参ります。

弁護士業務の繁忙期

弁護士をしておりますと、「ご専門は何ですか。」という、実は、回答に困る質問をいただくことが多いというお話を、以前別の記事で書きました(ご興味がございましたら、「弁護士の専門分野??」の記事をご覧ください)。

私がよく尋ねられる質問の1番は、「本名ですか?」ですが、2番は、「専門分野は何ですか?」です。

これらに続くと思われるのが、「弁護士はいつが忙しいんですか?」「弁護士も年末年始は忙しいんですか?」というご質問だと思われます。

このご質問に対しては、「12月、1月というように、毎年同じ時期が忙しいということはありませんが、逆に、年度末(3月末、4月頭)は、ヒマな場合が多いです。」というお答えを差し上げることが多いと思います。

弁護士の仕事の中には、ある程度スケジュールを調整できるものもありますが、調整できないものが多いと思います。

この事件が来ると、途端に忙しくなるという事件類型の一つに、会社の自己破産があります。

特に、まだ事業を続けている会社を急遽破産させることにする、という場面は、かなり忙しくなります。

個人の自己破産や、既に事業を停止している会社の自己破産が、「1か月に一度通院してくださいね。じゃあ、来月は15日に来てください」というイメージであるとすれば、会社の自己破産は、救急車で患者さんが運ばれてきて、その患者さんの全身にわたって、様々な手術や治療を順番立てて早急に行っていかなければならない、というイメージでしょうか。

まだ事業を続けている会社の自己破産手続をご依頼いただきますと、業務はかなり忙しくなります。

他方で、そういった自己破産の事件の依頼は、いつ来るか全く分かりません。

それほど急激に忙しくなるわけではありませんが、個人の自己破産、交通事故の賠償請求のご依頼も同様に、いつご依頼をいただけるのか全く分かりません。

会社や個人が自己破産手続を取るかどうか、それを弁護士に相談するかどうかは、基本的には、各会社や個人が決断するものですし、交通事故に至っては全くの偶然により発生するものです。

いつどのような依頼が来るか分からないため、弁護士業務の繁忙期は、年末年始、1月、などというように、毎年決まった時期というものがありません。

弁護士業務の閑散期

弁護士がいつ忙しくなるのか、については、毎年決まった期間があるわけではありませんが、弁護士がいつ比較的ヒマになるのか、ということについては、私は年度末、年度初めだろうと思っています。

日本の裁判所には、簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、高等裁判所、最高裁判所という種類があります。

裁判業務を取り扱っている多くの弁護士にとって(実は、世の中には、裁判業務を全く取り扱わない、裁判所に行ったことがないという弁護士もいます!)、受け持っている裁判の多くは、地方裁判所か家庭裁判所の事件であろうと思います。

裁判手続を取り仕切るのは、誰でしょうか。

当然裁判官です。

裁判官は公務員であり、転勤があります。

裁判官は概ね3年毎に転勤をします。

そして、地方裁判所、家庭裁判所の裁判官が転勤するのは、通常年度末、年度明けです。

裁判官には、2月ころまでには内示が出るようで、その裁判所に残るのか、別の裁判所に行くのかが分かります。

裁判は概ね1月に1回程度行われるのですが、2月の時点で、来年度は転勤をするため、今の裁判所にはいないということが分かると、その事件については、年度末、年度初めに裁判を入れることができなくなります。

年度末に入れても裁判官はいませんし、年度初めに入れてしまうと、来たばかりの裁判官が膨大な記録に目を通すことが間に合わず、意味のない期日になってしまうからです。

このような理由で、転勤が決まっている裁判官の事件については、年度末、年度初めの時期に裁判は行われません。

年度末、年度初めは、期日が減るため、弁護士としても、比較的のんびりと仕事をすることができるのです。

弁護士の出張~静岡県外でのお仕事

2023-11-10

仕事の中心は静岡県内

みなさん、こんにちは。弁護士の石川です。

今日は、私の弁護士としての、地理的な意味での仕事の範囲についてお話ししたいと思います。

と言いますのも、ここ最近、静岡県外へ出向く機会が多かったためです。

地理的な意味での、私の仕事の中心は、静岡市、藤枝市、焼津市などを中心とする静岡県中部地区です。

当法律事務所が静岡市に位置していることもあり、静岡市、藤枝市、焼津市にお住まいのお客様からご依頼をいただくことがほとんどです。

静岡県中部にお住まいの方からご依頼をいただくと、多くの場合、事件を取り扱う裁判所も静岡市にある静岡地方裁判所になります。

自己破産の申立ては、申立人(破産者)の住所地を管轄する裁判所に申立てをします。

交通事故による損害賠償請求の裁判を提起する場合、依頼者(原告)の住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起することが通常です。

私が現在扱っている事件の7割程度は、静岡市にある静岡地方裁判所で審理されています。

残りの3割が、同じ静岡県内にある静岡地方裁判所の浜松支部であったり、沼津支部であったり、県外の裁判所であったり、という感じです。

このように、弁護士としての私の仕事は、静岡市や静岡県中部地区での仕事がメインです。

静岡県外での仕事

時々ですが、静岡県外に出張をすることもあります。

県外出張をする1つ目のケースは、静岡地方裁判所(沼津支部や浜松支部を含みます)の判決に対して控訴したり、控訴されたりして、裁判が東京高等裁判所に進んだ場合です。

控訴したり、控訴されたりすることは、それほど多くはないため、東京高等裁判所に行くのは年に2、3回ほどです。

近時は、裁判手続もIT化が進んでおり、静岡地方裁判所の事件のほとんどは、Web会議を利用して行われています(裁判とWeb会議については、こちらの記事をご覧ください)。

そのため、裁判所に出向くことは稀で、ほとんどの手続は、事務所からインターネットを通じて進行されています。

これは、静岡県外の地方裁判所において審理されている事件も同様です。

現在の法制度では、裁判が尋問手続まで進行すると、裁判所に出向かなければなりませんが、そうでない限りは、Web会議で済んでしまいます。

他方で、現状、東京高等裁判所で開かれる第1回目の裁判は、裁判所へ行く必要があります。

しかし、来年の5月ころには、新しい法制度が施行され、東京高等裁判所の第1回目もWeb会議に切り替えられているかもしれません。

今後、東京高等裁判所へ出張することも無くなってしまうのでしょうか・・・。

県外出張をする2つ目のケースは、首都圏の顧問先企業のお仕事をするために、首都圏に出張するという場合です。

首都圏の顧問先企業とのお仕事は、通常、メール、電話、LINEなどで行っているため、現地に赴くことはそれほど多くありません。

年に1、2回あるかどうかという具合です。

「公示送達」のお話

先にお話しした2つのケースは、割と定型的な県外出張と言えます。

他方で、イレギュラーな県外出張もごく稀に発生します。

私が過去に行った最も遠かった出張先は、山陰地方の某所です。

だいぶ話が飛びますが、ここで、「公示送達」という制度について説明をさせてください。

原告が裁判を起こす際、原告は、裁判所に「訴状」という書類を提出します。

そして、裁判所は、相手方である被告に対して訴状を郵送します。

原則として、被告に訴状が届かないと裁判を始めることができません。

被告にも反論する機会を与える必要があるためです。

通常は、原告が把握している、被告が住んでいると思われる場所を訴状に記載して、裁判所に、当該住所宛てに訴状を送ってもらいます。

しかし、ときどき、被告が、原告が把握している場所とは別の場所に住んでいるということがあります。

そういった場合、新しい住所が分かれば、裁判所に対して、新しく分かった住所をお伝えして、訴状を送ってもらうようにします。

他方で、どれだけ調べてみても、新しい住所が分からないというケースもあります。

あるいは、そもそも被告の住所が分からないというケースもあります。

そのような場合に、被告の就業先が分かっていれば、例外的に、被告の就業先に訴状を送ってもらうということもあります。

ただし、会社に「あなた、訴えられてますよ!」ということが分かりかねない書類を送付した場合、被告の社会的(というより会社的でしょうか)信用を落とすことになりかねませんので、このような送達は、例外的です。

原則として、訴状は、被告が住んでいる所に送らなければいけないのです。

それでは、被告の住んでいる所も、就業先も分からないという場合、訴状の送達はどうしたら良いのでしょうか。

結論としては、裁判所の敷地内にある掲示板に、「あなた、訴えられてますよ!」という紙を貼って、訴状は相手方に送達された、ということにしてしまいます。

このような手続を「公示送達」といいます。

ただし、先ほどもお話ししましたように、被告には裁判で反論をする権利があり、そのためには、被告に裁判を起こされていることを知らせる=訴状を届ける必要があります。

多くの人にとって、裁判所の掲示板なんて通常見るものではありませんから、公示送達をするということは、被告が裁判において反論する機会を事実上閉ざしてしまうことになる、と言っても過言ではないでしょう。

原告の裁判を進めたいという権利と、被告の反論をする権利のバランスを取ったうえで、裁判手続を進める(公示送達をする)ということにするので、裁判所に公示送達をしてもらうことは、それなりにハードルが高いのです。

公示送達をしてもらうためには、原告は、できる限り、被告の所在を突き止める努力をする必要があります。

たとえば、現時点の住民票上の所在地に赴いて、その住所地にある家の表札であったり、アパートの郵便受けであったりに、被告の名前がないか確認をします。

また、郵便受けに郵便物が大量に投函されたままになっていたり、その家の電気のメーターが回転していなかったりして(電気が使用されていないということ)、被告の住所地とされる家に、人が住んでいる気配がないことを確認することもあります。

さらには、お隣さんにアポ無し訪問をして、「○○さんという方(被告)を最近見かけたことありますか。」、「お隣には、どなたか住んでいるのでしょうか。」などと聞き込みをすることもあります。

そして、このような調査結果をまとめた報告書を裁判所に提出し、原告としてできる限りの調査をしたけれど、被告の所在を突き止めることはできなかった、ということを裁判所に理解してもらうわけです。

公示送達の現地調査のため山陰某所への出張

私が山陰の某所に行ったのは、このような公示送達のための現地調査をするためでした。

現地に行かなければならなくなったときには、あまりに遠くて、「マジかよ、、、」と思いました。

しかし、実際には、弁護士1年そこそこであった当時、私は時間に余裕のある独身貴族でしたから、現地調査の「ついで」に、広島で野球の試合を見て一泊するなど、優雅な出張をしていました。

今はとてもそんな時間的余裕はありません。

先日、隣県某所へ行ってきたのですが、朝6時過ぎの新幹線で静岡を出て、9時半には静岡に戻っているという、まさにとんぼ返りな出張でした。

たまには、のんびりとした出張をしたいなぁと思う、今日この頃です。

石川アトム法律事務所は開所1周年を迎えました

2023-11-01

オンライン英会話をやるほど暇だった当初3か月

皆さん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

石川アトム法律事務所は、本日、開所1周年を迎えました。

無事に開所1周年を迎えられましたこと、皆様に篤く御礼申し上げます。

開所3か月ほどはものすごく暇で、半日、一本の電話も鳴らないなんていうこともザラでした。

あまりに暇で、日中、事務所でオンライン英会話をやっている有様でした(もちろん事件記録等が一切画面に映らないような状態で、です)。

有り難いことに春ころから大変忙しくなり、その忙しさが今も続いています。

オンライン英会話なんてやっている時間はありません。

席の配置も影響していると思うのですが、事務員さんと私との間では会話がありません。

開所当初は、ほとんど電話も鳴らなかったものですから、お互い無言でパソコンを叩く音だけが半日聞こえる、ということもしばしばでした。

私はそのような無言の状況に気まずさを覚えつつ、かといって、積極的に事務員さんに話し掛けるわけでもなく過ごしていたのですが、おかげさまで忙しくなってからは、事務員さんとの間で業務上のやり取りが格段に増え、気まずさを覚えることは無くなりました。

破産、交通事故、顧問業務の3本柱が反映された1年

当事務所のホームページでは、自己破産、交通事故、顧問業務の3本を主な業務として掲示しています。

当事務所では、以前にご依頼をいただいた方や顧問先企業様からのご紹介案件が多く、ホームページを見てお問い合わせをいただくということは、それほど多くはありません。

しかし、ホームページをご覧いただいて、ご相談やご依頼をいただくお客様の多くは、自己破産や交通事故のご相談、ご依頼です。

自分がそのような案件をメインとして扱いたいという希望が反映された1年だったなと思います。

会社の破産申立て

また、この1年で特筆すべきは、複数の会社の破産申立て事件を扱ったことです。

独立する前(静岡法律事務所時代)は、私が会社の破産事件に関わるのは、申立ての場面ではなく、破産手続が開始された後の破産管財人として、という場面が圧倒的に多かったです(破産管財人が破産手続においてどのような立場にあるのかについては、こちらの記事をご覧ください)。

しかし、この1年は、複数の会社について自己破産申立てに関わることができました。

今後も、会社の自己破産申立てに関わることができればと思っています。

意外と見られているこのブログ

また、開所1年経って思うのは、よくこのブログを1年も続けることができたな、ということです。

当事務所では、概ね0の付く日に新しい記事をアップしています。

月に3回、年で言うと36回ということになります。

春以降忙しかった中で、ブログの更新を続けられたことはなかなか頑張ったなと思います。

そして、このブログ、意外と見られているようです。

顧問先の社長さんや裁判官もご覧になることがあるようです。

うかうかと、我が家の1月の食費は4万5000円だの司法修習中のお昼は毎日レーズンパンだっただの、くだらないことばかり書いているわけにはいきませんね。

先日、妻に、ドラマ「きのう何食べた」に関連して、また食費の話をブログに書いた、と言ったら、「あなたは何を目指しているの!?」とお叱りを受けました(笑)

でも、多分、次の1年もこんな感じのブログになると思います。

開所1年を目前にしてようやく訪れることができたお店~もんや

当法律事務所の開所1年を目前にした、まさにギリギリセーフというタイミングでしたが、先日、当事務所と同じビルに入っている居酒屋「もんや」さんに行ってきました。

暗めの照明で落ち着いている一方、お客さんがたくさんいて、みなさん料理とお酒を楽しんでおり、温かい空気感のお店でした。

私がいただいたのは、お造りの盛り合わせ、桜えびの卵とじ、黒はんぺんフライなど、静岡の食材を使ったお料理で、どれも大変美味しかったです。

  ↓ お通しとビール。 とっても美味しい煮物でした。

  ↓ お造り1人前

  ↓ 桜えびの卵とじ  日本酒がすすみます!!

私はビールと日本酒が好きなのですが、日本酒も珍しい種類を扱ってらっしゃいました。

私がこの日いただいたのは、近日訪れようと思っている山形県の「楯野川 清流」と、2年ほど前に、妻がバレンタインデーにくれた「赤武 AKABU」です。

「赤武 AKABU」は岩手県のお酒のようです。

どちらも静岡ではあまり扱っているお店はないのではないでしょうか。

マスターともゆっくりお話ができました。

マスターは、先代のビル所有者とお知り合いで、ビルの竣工当時からお店を開いているということでした。

食べログ情報によると、開店25年のようです。

老舗の居酒屋さんですね。

マスターによると、当事務所の前に同じ階に入居されていたのは、何らかの事務所であったようです。

私が建物の内覧に訪れたときには、壁には何カ所も穴が開いているわ、床には手のひら大のピンクの染みが付いているわ、という状態で、私はてっきり飲食店が入っていたのかと思いました。

事務所って、一体何の事務所だったんでしょうね・・・。

静岡の美味しいものを食べたい方、美味しいお酒を飲みたい方、「もんや」さんは是非おすすめです。

弁護士の専門分野??

2023-10-20

弁護士がよく尋ねられる「ご専門は何ですか?」という質問

みなさん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

私は、事件と全く関係が無い人と何かの折に名刺交換をしたり、自分が弁護士であることを伝えたりすることが時々あります。

先日も私が通っている英会話教室のクラスメイトに、自分が弁護士であるということをお話しました。

そうしたとき、「ご専門は何ですか?」というご質問をいただくことがあります。

特に、ここ4、5年ほど、そういったご質問をいただくことが増えたように思います。

私が弁護士になってから数年間は明らかに見た目が若かったので(20代後半までお酒の年齢確認をされていました)、当時は、若い弁護士に専門分野もへったくれも無いだろうということで質問をいただかなかっただけなのかもしれませんが・・・。

さて、「ご専門は何ですか?」という質問は、実は、結構困ります。

得意分野や、よく扱う事件の種類という意味で言えば、自己破産事件(個人、会社を問わず)、交通事故及び顧問業務ないし企業法務の3分野が挙げられます。

自己破産事件(個人、会社を問わず)、交通事故及び顧問業務ないし企業法務は、破産管財事件まで含めれば、今扱っている業務の7割程度は占めるのではないかと思います。

確かに上記の分野は、他の事件類型と比べて取扱件数は多く、得意だとは思います。

しかし、それらが私の「専門」分野かと言うと、「専門」と言い切ることにはためらいを覚えます。

そのため、「ご専門は何ですか?」という質問に対して、大抵私は、「『専門』というわけではないのですが、よく扱う事件や比較的得意な分野としては、破産、交通事故、顧問業務や会社からの事件があります。」などというように答えています。

なお、以前書きました「静岡の弁護士が考える『自己破産に強い弁護士』とは、どのような弁護士か?」の記事については、こちらのページをご覧ください。

弁護士歴30年の先生でも「ご専門は何ですか?」は困る

コロナの影響で3年遅れでの開催でしたが、先日、司法修習終了10年を記念する式典がありました(司法修習に関するご説明等は、こちらのページなどをご覧ください)。

その際、私が司法修習時代にお世話になった弁護士の教官にお目にかかることができました。

その教官は、このみち30年になろうかというベテランの先生で、東京でお仕事をされています。

先生は、日本の複数の有名企業の社外取締役に就任されており、企業法務、特にコンプライアンス、不祥事対応関係のお仕事を扱うことが多いとおっしゃっていました。

私から、その弁護士の先生に、「『先生のご専門は何ですか?』と聞かれたら、どうお答えになりますか?」というご質問を差し上げました。

そうしたところ、先生は、「困っちゃうんだよねぇ。特に専門っていうのが無いからさ。」とお答えになりました。

その質問の直前までの話の内容からすると、企業法務や会社の顧問業務などをたくさん取り扱っているようにお見受けしたため、先生のご回答は、かなり意外でした。

しかし、実際のところ、多くの弁護士においては、「ご専門は何ですか?」という質問に対しては、そういった回答にならざるを得ないのかもしれません。

そもそも「専門」って何でしょうか

goo辞書によりますと、

専門とは、以下の2つのことを意味するそうです。

1 限られた分野の学問や職業にもっぱら従事すること。また、その学問や職業。

2 もっぱら関心を向けている事柄。

同じく、「専ら」とは、以下の意味であるようです。

[副]他はさしおいて、ある一つの事に集中するさま。また、ある一つの事を主とするさま。ひたすら。ただただ。

一般的な語感で言ってもそうなのかもしれませんが、「専門」というのは「それしかやらない」という意味であると思います。

ですから、「専門は何ですか?」と問われますと、やはり私にとっては、「特に専門という分野はありませんが、よく扱う事件は・・・」というのが正直な回答になると思います。

静岡の○○専門弁護士

私が2つのサーチエンジンを用いてかなりテキトーに検索した限りですが、静岡の法律事務所、あるいは弁護士個人のホームページで、取扱い分野に関して、「専門」という言葉を用いている法律事務所、あるいは弁護士は3名(3件)ありました。

ある弁護士の事務所では、「交通事故専門弁護士」というワードを用いたウェブサイトを作成していました。

しかし、同弁護士のメインのホームページには、個人の方向けの取扱い分野の例として「離婚、相続、債務整理」という記載もありました。

そうしますと、前者のウェブサイトにおける「交通事故専門弁護士」とは、「交通事故をよく取り扱う弁護士」、あるいは、「交通事故案件が得意な弁護士」という意味になろうかと思います。

しかし、ホームページを見ている方には、その弁護士が、文字通り交通事故専門=交通事故しか取り扱わない弁護士であるのか、先に述べたようなニュアンスの「専門」であるのかは必ずしも分からないと思われます。

実際のところ、「ご専門は何ですか?」や「交通事故専門」、「自己破産専門」などの「専門」に、それしかやっていない、という意味合いを求められる方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。

専門分野=それしかやっていない分野という意味での回答を期待しているのかどうなのか、今度お尋ねがあったときには、その真意を伺ってみたいと思います。

きのう何食べた?~弁護士が1か月の食費について語るドラマ

2023-10-11

西島秀俊さん演じる倹約家の弁護士シロさん

皆さん、こんにちは。弁護士の石川です。

今回は、私が大好きなドラマをご紹介します。

2023年10月から、「きのう何食べた?」のドラマseason2がスタートしました。

「きのう何食べた?」は、よしながふみさんのマンガが原作で、西島秀俊さん演じる弁護士の筧史朗と内野聖陽さん演じる美容師の矢吹賢二のカップルの日常を描くドラマです。

私が、このドラマの中でもっとも好きなところは、主人公である弁護士筧史朗(愛称シロさん)が、めちゃくちゃ倹約家(節約家)であるというところです。

主人公の一人は弁護士なのですが、弁護士業務の話はあまり出てきません。

タイトルのとおり、「きのう何食べた?」では、ご飯の話が多いのですが、ここでいう「ご飯」は、美食の類ではなく、シロさんが作る日常の家庭的なご飯(特に晩ご飯でしょうか)の話が主になっています。

食費上限の値上げ問題

ドラマseason2の第1話では、シロさんが、当月の食費が、これまでずっと守ってきた予算2万5000円を超えてしまうことに悩むところから話が始まります。

うわ、すげぇ分かる!と、120%共感してしまいました。

シロさんが同じ弁護士会にいたら、すごく仲良くなれそうです。

以前、別の記事で、我が家の食費が1月4万5000円を目標としているものの、物価高で予算上限を上げることになるだろうという話を書きましたが、食費のやりくりは喫緊の課題です。

一度予算上限を上げることを認めたら、元に戻すことはほとんど不可能でしょう。

シロさんの言う1月の食費予算2万5000円は、後にドラマの中でシロさんが述べるように、昼食代と外食費を除いた金額であるようです。

我が家の食費4万5000円には、米とビールの金額はほぼ入っていません(別ルートで入手し、購入することがほとんどないからです)。

また、外食費については、友だちとの食事や飲み会など交際費に近いものは食費に含めず、食事を主目的にしたものは4万5000円に含めるという勘定をしています。

シロさんたちは、大人2人で、朝ご飯と晩ご飯で2万5000円なので、金額的にはうちの家といい勝負だと思います。

ただし、彼らが住んでいるのは東京だと思いますので、それで2万5000円というのはすごいですね。

ドラマの中で、シロさんが、贔屓にしていたスーパーが閉店してしまったため、別のスーパーを訪れるというシーンがありました。

このとき、シロさんが、心の声で、前のスーパーなら鶏胸肉が100グラム69円なのに・・・とつぶやくのですが、東京価格でしょうか。

静岡で69円は、結構良いお値段かな、という気がします。

それで1月2万5000円って、どんな魔法を使っているのでしょうか。

最近、なかなかドラマを見る機会が無いのですが、「きのう何食べた?」は、最後まで見そうな気がします。

第1話では、静岡県出身の磯村勇斗さん演じるジルベール(航くん)が登場しなかったのですが、次回以降、ジルベールの大暴れを楽しみにしています。

そこまでやるか!?~底値リスト

Wikipediaによると、シロさんは、「几帳面な性格で、毎日家計簿をつけて浮いた予算は貯金する倹約家(悪く言えばケチ)。近隣のスーパーの底値を把握して」いるそうです。

私も、よく行くスーパーの鶏胸肉の底値くらいは把握していますが、私の場合は、底値リストを作成し、節約に努めています。

私が作っている底値リストは、生鮮食品ではなく、どこのスーパー、ドラッグストアで買っても同じ品質だろうと思われる物についてです。

食料品で言えば、○○社の醤油、△△社のマヨネーズ、××カレー、○△ジャム、ツナ缶などなど。

日用品で言えば、シャンプー、コンディショナー、ハンドソープ、洗剤などなど。

よく行く店に限りますが、時間に余裕がある買い物の際に、数品目、各店の値段をチェックしています。

チラシや店頭のポップなどで、「○○社の醤油 特売で○○円」などという表示を見かけても、すぐには飛びつきません。

スマホを出して、底値リストと照らし合わせます。

特売を謳っていても、他店の方が大幅に安いなんてこともよくあります。

今ちょっと数えてみたのですが、食品で90品目以上、日用品で80品目以上の底値を、7つのスーパー、ドラッグストアでチェックしているようです。

自分で書いてて、ちょっと引きました。

でも、底値を把握することは、ホントに節約になります。

同じ商品でも、店によって100円違う、150円違うとか、ザラですからね。

それを1月何品目も、何十年にもわたって買い続けるわけですから、そう考えると、ものすごい金額の差になります。

ただし、「きのう何食べた?」じゃないんですけど、最近、何種類かの底値を保持していた近くの安売り系スーパーが無くなってしまったり、物価高で多数の品目で値上げがあったりして、頻繁に底値をチェックして、リストを更新しなければならなくなってしまいました。

これがなかなか大変です。

早く物価上昇がストップすると良いなと思っています。

司法修習のお話~その8 番外編② 弁護士による事件の見通しについて

2023-10-02

民事裁判修習で最も勉強になったこと~裁判官も判断に迷う

民事裁判修習では、裁判官と一緒に裁判の場に臨んだり、裁判官室で、裁判をどのように進めていくのが良いか裁判官と協議をしたり、判決を出すとしたらどのような内容の判決を出すかということを起案したりしました。

私が民事裁判修習中に最も勉強になったことは、裁判官も判断に迷う、ということを知ることができたことです。

人間だもの、判断に迷うことなんてあるに決まっているじゃないか!

という感覚は、我々弁護士と、裁判実務に携わっていない一般の方と、どちらの方がしっくりくる感覚でしょうか。

裁判官の仕事の一つに、判決を書くということがあります。

裁判官は、ある事件に関して、最終的に、白か黒か、という判断を迫られることがあります。

判決文に裁判官の迷いが見られることは基本的にはありません。

しかし、内心では、判断に迷うことも少なくないのではないかと、私は思っています。

日本の裁判では、三審制が採られています。

地方裁判所の判決に対して不服があれば、高等裁判所の判断を仰ぐことができます。

数は多くはありませんが、地方裁判所の判断が高等裁判所でひっくり返ることもあります。

裁判官の判断は「絶対」ではないのです。

弁護士は「絶対勝てます!」と言ってはいけない

本ブログを閲覧されていらっしゃる方の中に、弁護士に相談をした経験がある方はいらっしゃいますでしょうか。

何か歯切れの悪い弁護士だったなぁ、という感想をお持ちかもしれません。

実は、弁護士は、「絶対勝てます!」などとは言ってはいけないのです。

弁護士には、守らなければいけない職務上のルールがあります。

そのルールの一つとして、依頼者に有利な結果を保証してはいけない、ということになっているからです。

しかし、私は、そのようなルールが無かったとしても、そもそも弁護士にとって、相談者や依頼者から話を聞いた段階で、結論を100パーセント見通せる事件というものは無いと思っています。

最初の相談の時から、「絶対勝てます!」などということは、言えないはずなのです。

弁護士が事件の結論を100パーセント見通すことができない事情

弁護士が事件の結論を100パーセント見通すことができない理由はいくつかあります。

理由の第1は、一方当事者の話しか聞いていないことです。

弁護士は、相談者の味方、依頼者の味方です。

通常、相談者、依頼者にとって最も利益になるような方向で助言をしたり、事件を進めたりします。

しかし、一方当事者の話しか聞けていない状態では、事件の見通しにも自ずから限界があります。

弁護士が事件の結論を100パーセント見通すことが難しい理由の第2は、「立証責任」というものがあるからです。

「立証責任」というのは、民事裁判において、「ある事実が存在する」ということを証明する責任のことです。

語弊を恐れず、非常にざっくり言えば、そのような事実があったと主張したい人が、そのような事実があったことを証明しなければなりません。

前回のブログでお話ししたように、民事裁判では、多くの場合、お金を請求するか、物の引渡しを請求します。

たとえば、配偶者と不貞行為を行った相手方に対して、慰謝料を請求するケースを考えてみましょう。

原告の配偶者も被告も不貞関係を否定している場合、原告は、被告と原告の配偶者が不貞関係にあったことを証明しなければなりません。

もっとも簡単な証明方法は、原告の配偶者と被告がラブホテルに入っていく様子を完璧に撮影した写真や動画でしょう。

次に考えられるのは、原告の配偶者と被告が、LINEで肉体関係があることを示すようなメッセージのやり取りをしている画面をスクリーンショットで撮影したものでしょうか。

しかし、これらの証拠が全く無いとした場合、その他の証拠により、どれだけ不貞行為の事実を証明できるのか、ということについては非常に予測が難しいと言えます。

ある事実があったかどうか、それを証明できる証拠として何があるのか。

これらのことは、事件の見通しを判断するうえで非常に重要ですが、同時に、予測が非常に難しい問題とも言えます。

弁護士が事件を100パーセント見通すことが難しい理由の第3は、同じ事件は2つとない、ということです。

たとえば、交通事故に基づく損害賠償請求事件を想定してみましょう。

交通事故に基づく損害賠償事件は、毎年全国で何百件、もしかすると、何千件と訴訟提起されています。

交通事故の場合は、相当数の裁判例の積み重ねがあります。

裁判例の積み重ねにより、ある程度確実性の高い見通しを持つことが可能であることもあります。

たとえば、交差点で、青信号で直進した自動二輪車と、対向車線を青信号で右折した自動車というようなケースでは、原則的な過失割合は○:○と定まっています。

双方の運転手において、例外的な落ち度がなければ、このような見通しの確実性は高いと言えます。

「原則的な」と書いたのは、この趣旨です。

しかし、交通事故の態様は、上記のような典型的なものばかりではありません。

たとえば、高速道路の料金所手前の合流車線で同一方向の車両同士が接触した、というようなイレギュラーな事故も当然存在します。

この場合には、直ちに「原則的な過失割合は○:○」とは分かりません。

このような場合、私はまず裁判例を検索します。

私が使っている裁判例の検索システムでは、「交通事故」「料金所」といった検索ワードで裁判例を検索すると110件の裁判例がヒットします。

これを全て閲覧して、類似事案が無いかどうかを探します。

裁判実務においては、類似事件の裁判例があるかどうかということは、訴訟を進めるうえでとても重要だと思います。

その判決が、最高裁判決なのか、高等裁判所の判決なのか、地方裁判所の判決なのかによって、効力というか、迫力というか、大分変わってくると思いますが、あまり前例がないような事件では、地方裁判所レベルの判決でも、裁判例が見つかると大変心強いものです。

他方で、裁判例が見つかっても、相談者や依頼者にとって、不利に働く可能性が高い場合があります。

また、そもそも同一態様の事故に関する裁判例を見つけることができない場合もあります。

そのような場合には、似たような事故の過失割合を転用できないかを考えます。

高速道路の料金所手前の合流車線で同一方向の車両同士が接触した、というケースで言えば、同一方向へ進む2つの車両のうちの一方が、進路変更して他方車両側に入ってきたと評価できないかといったことを検討します。

しかし、当然のことながら、このような検討を経た結果については、結論は絶対こうなります、などとは言えません。

「絶対勝てます!」などという弁護士にはご注意ください

このように、弁護士において、相談や依頼の際、ある程度の見通しを立てることはできますが、100パーセント結論を見通せる事件というものはありません。

「絶対勝てます!」などとは、言えないはずなのです。

裁判官が判断をする段階では、一方当事者の話しか聞いていないので、事件の見通しに限界があるという状況にはありません。

それでも、裁判官は判断に迷うようです。

もちろん事案によりけりですが、個人的には、裁判官も、ある事実があったと認めるかどうか、立証責任(上記理由の第2)のところで判断に迷うことが多いのではないか、と考えています。

司法修習のお話~その7 番外編 民事事件と刑事事件の区別について

2023-09-20

本当は静岡での民事裁判修習について書こうと思っていたのですが・・・

これまで、弁護士になるために必要な司法修習の中で、刑事裁判修習、弁護修習の思い出について紹介してきました。

今回は、3つ目の実務修習である民事裁判修習について書こうと思っていました。

しかし、ふと、本ブログをお読みいただいている方は、民事裁判、刑事裁判あるいは、民事事件、刑事事件という言葉をどのように受け取られているのだろうか、と考えてみました。

弁護士は、民事裁判、刑事裁判、民事事件、刑事事件という言葉を当たり前に使います。

しかし、民事裁判、刑事裁判、あるいは、民事事件、刑事事件という言葉は、本ブログをお読みいただいている方には、馴染みが薄い用語かもしれません。

私の妻(会社員)も、民事事件と刑事事件の区別は付いていないと思われます。

そこで、今回のブログでは、民事裁判修習の思い出をご紹介する前に、そもそも民事事件、刑事事件ってどう違うのでしょうか、というところをお話ししたいと思います。

民事事件って何ですか?

たとえば、個人や会社などが、別の個人や会社などに対して、お金を請求する場面をイメージしてみましょう。

お金の名目は、慰謝料、迷惑料、貸したお金、残業代などなど、何でも構いません。

もう少し具体的に申し上げれば、以下のような場面が想定できるでしょう。

  • 交通事故で生じた被害について加害者に賠償を求める
  • 配偶者の浮気相手(不貞相手)に慰謝料の支払いを求める
  • 貸したお金を友だちから返してもらう
  • 取引先に商品の売買代金の支払ってもらう
  • 残業代を会社に請求する

誰かが誰かにお金を請求する。

これは「民事」のお話です。

次に、個人や会社などが、別の個人や会社に対して、お金ではなく、物の引渡しを請求する場面をイメージしてみましょう。

引渡しを求める物は、インターネットで注文した商品かもしれません。

友人同士で貸し借りをしたマンガ本かもしれません。

時には、大家さんから賃借人に対して、大家さんが貸していたマンションの一室を明け渡せという請求がされることもあるでしょう。

少し観念的な「引渡し」になってしまいますが、不動産の名義を私によこせ、という場面もあるでしょう。

このように、個人間、会社間、あるいは、そのミックスで、物をくれるよう請求したり、されたりすること、これも「民事」のお話です。

「民事事件」とは、ものすごくざっくり言えば、誰かが誰かにお金や物を請求する、そういう事件のことです。

「家事事件」もざっくり言えば「民事事件」

家族間の問題はどうでしょうか。

家族間の問題にも様々なものがあります。

離婚、親権、養育費、相続(遺産分割)、遺言などなど。

これらの事件も、刑事か民事かという二択であれば、民事に含まれるでしょう(「刑事」、「民事」に加えて、「家事」という分野を想定すれば、それが最も適切だとは思いますが)。

刑事事件って何ですか?

これまで、こういったものが「民事事件」ですよ、というご紹介をしてきました。

それでは、「刑事事件」とは、どのようなものでしょうか。

刑事事件の特徴の一つ目は、その当事者が、「国」対「個人」であることです。

個人の代わりに、「国」対「会社」という場合もあります。

ここでいう「国」は、検察官であり、「個人」あるいは「会社」は被告人です。

刑事裁判の中では、①被告人とされた者が罪を犯したのかどうか、つまり有罪か無罪かということ、それから、②被告人が罪を犯したと認められる場合には、被告人にどのような刑罰を科するのが妥当であるのか、という点が審理されます。

刑事裁判にも、「被害者参加」という制度が存在しますが、刑事裁判では、基本的には、加害者が被害者に対してお金を支払うべきかどうか、支払うとしていくら支払うべきか、といったことは審理されません。

刑事裁判で審理されるのは、被告人とされた者が有罪か無罪か、有罪である場合には、どのような刑罰が適当であるかという点に限られています。

刑事事件と民事事件がクロスする場面

刑事事件と民事事件がクロスする場合もあります。

典型的な場面は、交通事故です。

交通事故を起こした者は、被告人として刑事裁判を受ける場合があります。

そして、当該交通事故について有罪判決を受ければ、刑事罰を科される可能性があります。

これは、「刑事事件」のお話です。

他方で、交通事故を起こした者は、被害者に生じた被害を弁償する責任を負っています。

被害者は、交通事故の加害者に対して、被害の賠償を求めることができます。

こちらは、「民事事件」のお話です。

一口に、交通事故といっても、「刑事事件」の場面と「民事事件」の場面の両面が存在します。

さらに、交通事故の刑事裁判の中でも、加害者が被害者に対して、被害を弁済した事実が取り上げられることがあります。

加害者が被害者に対して被害弁償を行ったという事実は、当該刑事裁判において、加害者に対して有利な事情として斟酌されるからです(いわゆる「情状酌量」です)。

しかし、加害者が判決のときまでに被害者に生じた被害を100パーセント弁償したからといって、加害者の刑が必ず軽くなったり、あるいは、大幅に軽くなったりするとは限りません。

なぜなら、刑事裁判の量刑は、被害がどの程度弁償されたかという事情のみで決められるものではないからです。

また、加害者が判決のときまでに被害者に生じた被害を全く弁償せず、たとえば、懲役3年という実刑判決(社会内で更正する機会を与えられず、刑務所に行くという内容の判決)を受けたとしても、そのことによって、加害者が被害者に対して、被害を弁償する義務を免れるということもありません。

加害者が有罪判決を受けた場合、加害者に対する刑罰がどのような内容であったとしても、加害者は被害者に対して交通事故により生じた損害を賠償する義務があります。

刑事事件と民事事件とは、別の問題だからです。

このように、民事事件と刑事事件とはクロスすることもあるのですが、それぞれ全く別の事件として扱われることが通常です。

交通事故の例で言えば、刑事事件において被告人の弁護をする弁護士と、民事事件(損害賠償請求事件)で加害者側の代理人になる弁護士が異なる、ということもそれほど珍しいことではないと思われます。

民事事件と刑事事件の区別、ざっくりですが、お分かりいただけましたでしょうか。。。

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