弁護士ドラマでよく見る刑事事件~被疑者国選2

あくまで当事務所の「推し」は、自己破産、交通事故、顧問業務(顧問弁護士)なのですが

皆さん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

早いもので、2024年も、もう1月経ってしまいますね。

今回も前回の記事に引き続き、弁護士が取り扱う刑事事件についてお話をしたいと思います。

あくまで弁護士石川の「推し」は、自己破産事件、交通事故事件、顧問業務(顧問弁護士業務)なのですが、当法律事務所の新しい事務員さんに、弁護士の業務内容を理解してもらうという目的もあり、刑事事件について書いています(実際、昨日、事務員さんが当ブログを読んでいました!)。

今回は、「被疑者国選」を受任した弁護士の活動内容からお話ししたいと思います。

弁護人としての活動~被害者へのお詫び

弁護士が被疑者国選事件を受任すると、担当となる被疑者が勾留されている期間中、弁護人として活動をすることになります(「被疑者」に関するご説明は、こちらの記事をご覧ください)。

国選、私選に限らず言えることですが、弁護人が行う業務として、分かりやすいものとしては、被害者へのお詫びや被害弁償が挙げられます。

たとえば、Aさんが万引きをしてお店の商品を盗んでしまったという事件を担当するとします。

通常、弁護士は、警察や検察を通じて、お店の連絡先、担当者の名前を教えてもらいます。

そして、弁護士は、お店に電話を掛け、まず謝罪をし、その後、Aさんが盗んでしまったものの金額を弁償させていただきたい旨を伝えます。

ただし、Aさんやその親族、友人らが、弁償できるだけのお金を持っていない場合には、そもそも弁償のお話をすること自体ができません。

被害弁償の提案を受けたお店の対応は様々です。

多数の店舗を出店している大きなスーパーなどでは、会社の統一的な方針として、「万引きは絶対許さない。だから被害弁償には一切応じない。」ということがあります。

そうなると、弁護士としては、電話でお詫びをするだけで、被害店への対応は終了となってしまうことが多いでしょう。

他方で、被害弁償に応じていただけるお店もあります。

電話での謝罪の際に、被害弁償に応じていただけるということになれば、お店に伺う日時を調整します。

そして、弁護士が、Aさんや、その親族等の関係者から、Aさんが万引きした商品に相当するお金を預かり、あるいは、お金を用意してくれる親族等を伴って、被害店舗に赴きます。

そして、被害店舗で万引きに関して、改めてお詫びをするとともに、被害弁償をさせていただきます。

電話でのお詫びの際、電話口での被害者側の雰囲気によっては、被害弁償によりAさんを許していただけるかどうかの意向を確認します。

許していただけるということであれば、その内容を含んだ示談書を作成して、被害弁償の当日に持参します。

電話で示談の話をすることがはばかられるような雰囲気の場合、私の場合、まずは、被害弁償をさせていただきます。

そして、弁償金をお受け取りいただいた後、その場の雰囲気を見て、示談の話をすることがあります。

このような場合には、事前に、最終的に示談まではできないかもしれないけれど、示談の成立前に弁償金を支払うことについて、被疑者や関係者から承諾を得ておきます。

以上は、万引きに関するケースですが、事件によっては、交通事故の被害者のご自宅へお詫びに伺う、下着泥棒の被害者のご自宅にお詫びに伺う、ということもあり得ます。

このように、被害者がいる犯罪の場合、被害者へのお詫びと被害弁償は、弁護人として行う主な業務内容の一つです。

弁護人としての活動~取調べに対するアドバイス等

弁護人としての活動のうち、大きなものの一つが、警察署や拘置所で捕まっている人と面会をし、必要なアドバイスをするというものです。

私が弁護人として、警察署などで被疑者と最初に面会する際、誰に対しても、毎回必ず同じことを伺います。

1つ目は、捕まった理由とされている事実(その人がやったと疑いを掛けられている事実=「被疑事実」といいます)について、間違いないかどうか、ということです。

特に、被疑事実に誤りがあるという場合(いわゆる「否認事件」の場合)には、裁判において当該事実の存否を争うことが予想されます。

被疑者は、警察署や検察庁の取調べの中で、被疑者が供述した内容をまとめた書類(「供述調書」といいます)に署名押印することを求められます。

被疑者が供述調書に署名押印すると、裁判になったときにその内容をひっくり返すことは極めて困難です。

また、近時は、被疑者に対する取調べの内容が録音録画されていることもあります。

そのため、被疑者が、警察や検察に対して何を話すのか、何を話さないのか、ということは、後の裁判の場面で大きな意味を持ってきます。

被疑者から、被疑事実について、どこがどのように間違っているのかを確認し、間違っている部分について、警察や検察に話をするのかしないのかという方針を決め、必要なアドバイスをすることは弁護人の重要な職務の一つです。

事件によっては、弁護人となった後、定期的に警察署に赴き、被疑者と面会をして、捜査機関への対応について打合せをする必要があります。

弁護人としての活動~最終的な処分の見通し

私が、初回の面会で被疑者に尋ねる2つ目の内容は、これまで警察のお世話になったことがあるかどうかということです。

これまで警察のお世話になったことがあるかどうかによって、その事件が不起訴(前科が付かない処分)で終わるのか、罰金刑を前提とした書類だけの裁判(「略式裁判」「略式請求」といいます)で終わるのか、ニュースで見るような裁判所での正式裁判(「公判請求」ともいいます)まで行ってしまうのかが、ある程度予測できます。

特に、以前にも刑事裁判を受けたことがあり、前科がある人については、今回逮捕された事件についても厳しい処分が予想されます。

今後の刑事手続がどのようなスケジュールで進むのか、いつ警察署から出られそうなのか(あるいは、そのまま刑務所に入ることになりそうなのか)は、前科前歴の有無に大きく左右されます。

そのため私は、初回の面会で、必ず、「失礼な質問で申し訳ありませんが、これまで警察のお世話になったことはありますか。」と尋ねることにしています。

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