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住宅ローンをペアローンで組んだ場合の住宅資金特別条項の適用について
皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。
以前のブログで、申立人の「住宅」に住宅取得のための債務以外の債務を担保するための抵当権が設置されている場合には、住宅資金特別条項を使用することができないことをお話ししました。
ところで、住宅を購入するための資金を夫婦で借りる場合、銀行から夫が3000万円、妻が3000万円をそれぞれ借り入れ、借入金により夫婦共有名義で住宅を購入し、購入した住宅に、夫と妻、それぞれを債務者とする抵当権が設定されるというような融資の受け方があります。
このような借入れの仕方は、「ペアローン」と呼ばれています。
このような方法で住宅資金を借り入れた夫が個人再生手続を申し立てようとした場合、形式的には、「住宅」に申立人である夫の「住宅資金」以外の抵当権(妻の抵当権)が設定されていることになり、住宅資金特別条項を使用できないのではないか、とも思われます。
このような場合、①夫と妻のいずれもが個人再生手続を申し立て、その中で住宅資金特別条項の適用を求める場合には、夫婦それぞれについて住宅資金特別条項の使用を認めるという運用をする裁判所があるようです。
他方で、②夫のみが個人再生手続を申し立てた場合でも、妻の住宅ローンを支払っていくことについて問題がなく、住宅ローン債権者が同意している場合には、夫のみの個人再生手続であっても、住宅資金特別条項の適用を認めるという裁判所も存在します。
後者(②)の場合、妻がどれだけの住宅ローンの支払いを行っているか、妻に住宅ローン以外に他に借入れは存在しないか、妻の支払実績はどうか、家計全体の収支はどうかなどの事情を総合的に考慮して、夫のみの個人再生手続で住宅資金特別条項の適用を認めるか否かが決められます。
ただし、夫のみの個人再生手続で住宅資金特別条項の適用を認めるか否かについては、個人再生委員という弁護士が裁判所によって選任され、個人再生委員が上記のような事項を調査し、裁判所に意見を上げます。
私も②の手続に個人再生委員(静岡地方裁判所・本庁の管轄)として関与したことがあります。
個人再生委員とは
個人再生委員とは、裁判所が個人再生手続の中で選任する弁護士で、個人再生の申立てを依頼した弁護士とは別の弁護士が選任されます。
個人再生委員が選任される理由として、一番多いと思われる理由は、個人再生委員から再生債務者(申立人)に対して、適正な再生計画案を作成するのに必要な勧告をするためです。
もう少し平たく言いますと、申立人が裁判所に提出した書類からすると、裁判所から見て、申立人が再生計画を履行できるとは考えられない、あるいは、履行できるか怪しい、そのため、個人再生委員にサポートしてもらって、再生計画案が履行できることを明らかにしてください、という趣旨で個人再生委員を選任することが多いと思われます。
個人再生手続を申し立てる際、静岡地方裁判所では、3か月分の家計の収支を提出することになっています。
個人再生委員が選任されるケースで多いのは、提出された家計の収入と支出の状況から、再生計画案で予定されている分割払いが難しいのではないかと思われるケースだと思います。
このような場合、個人再生委員からのアドバイスを受けて、家計の収支を見直したり、再生計画案を見直したり(支払期間を3年よりも長期のものに変更したり)する必要があります。
私もこれまでに何件かこのような内容で個人再生委員に選任され、個人再生手続をサポートしたことがあります。
個人再生委員が選任されるケースでは必要となる費用が高くなります
個人再生委員が選任されるケースでは、個人再生委員に無料で仕事をしてもらうわけにはいかないため、申立人(再生債務者)は、個人再生委員の報酬を裁判所に納める必要があります。
個人再生委員の報酬は、静岡地方裁判所の場合、15万円程度だと思われます。
つまり、個人再生委員が選任されると、そうでないケースに比べて、個人再生を行うために必要となる費用が増えるのです。
私が個人再生の申立代理人となる場合、再生計画の履行可能性に疑義を呈されて個人再生委員が選任されることのないよう、家計の収支表や、再生計画案の策定に留意しています。
申立てを行う段階で、再生計画案の履行に懸念がある場合には、申立人とともに家計の(基本的には支出の)見直しを行うことにしています。
静岡市を拠点に活動する弁護士。実務に入り16年目。
中心的な取扱分野は、会社個人を問わず自己破産申立事件。
裁判所の選任により年に数件の破産管財人も担当している。
また、会社の顧問弁護士として会社からの相談を受けることも多い(静岡県外(首都圏)にも複数の顧問先会社がある)。
趣味は旅行、英会話、競馬。
