個人再生手続について ~その5 住宅資金特別条項の例外的な救済措置等について

個人再生申立の時点で住宅ローンの支払いが遅れている場合

皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。

今回のシリーズでは、債務整理の中でも、借金を圧縮して分割払いを行うという個人再生手続について、特に個人再生手続きの中でも、住宅を残すための手段である住宅資金特別条項についてお話をしています。

さて、個人再生手続を申し立てることを検討していらっしゃる方の中には、既に住宅ローンの支払いが遅延しているという方もいらっしゃるかもしれません。

住宅ローンの支払いが遅延していても、直ちに、個人再生手続ないし住宅資金特別条項が使えない、ということにはなりません(前回のブログをご参照ください)。

★住宅ローンの支払いが遅れている場合には、再生計画の認可決定確定時までに弁済期が到来する元金、利息、既に遅延している元金、利息、遅延損害金を3年から5年の期間内に分割して弁済し、再生計画認可後に弁済期が到来する元金、利息については、当初の約束どおり支払っていくことになります。

これが住宅資金特別条項の原則的な弁済形態です。

しかし、遅れている分を3年から5年で分割し、それにプラスして当初の約束どおりの支払いをするという方法でも、住宅ローンを支払っていくことが難しいという方もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合、例外的に、個人再生手続の中で、住宅ローンについて、いくつかの組み直し措置が認められています。

住宅ローンの支払期間の延長

住宅ローン組み直し措置の一つ目が、住宅ローンの弁済期間を延長することです。

先ほど申し上げた原則的な弁済形態(★の箇所)の履行が困難であり、再生計画の認可の見込みがない場合、☆当初金融機関と約束した弁済期間を延長し、月々の返済額を下げてもらうことができます。

ただし、住宅ローンの弁済期間を延長する場合には、住宅ローン元金の全額、再生計画の認可決定確定後の利息、再生計画の認可決定が確定する時までに発生する利息、遅延損害金を全額支払う必要があります。

また、延長できる最終弁済期は当初の最終弁済期から10年以内である必要があり、最終弁済期において申立人(再生債務者)は70歳未満でなければなりません。

延長後の弁済期の間隔(たとえば、毎月支払いをすることなど)や弁済額も、当初定められたものに概ね沿う内容でなければなりません。

これが組み直し措置の一つ目です。

住宅ローン元金を支払うことについての一部猶予

原則的な弁済形態(★の箇所)が難しい場合、まずは、弁済期間の延長(☆の箇所)を検討します。

しかし、様々な事情により、弁済期間を延長したとしても、住宅ローンの支払いが難しい場合があります。

その場合には、例外の例外として、弁済期間を延長することに加えて、一般の再生債権の支払期間中(3年ないし5年)において、各弁済期の住宅ローンの元金支払額を下げてもらうという方法があります。

住宅ローン債権者の同意がある場合

これまでお話ししてきた方法に加えて、住宅ローン債権者の同意がある場合には、先に述べた期間よりも更に長期間住宅ローンを支払う期間を延長してもらったり、利息のカットや元金のカットをしてもらうことも可能です。

ただし、これらは、あくまで金融機関の同意がある場合であり、法律上当然に認められている手続ではありません。

ご自宅がマンションである場合の注意点

話は変わりますが、前回のブログでは、住宅資金特別条項が利用できない場合の一つとして、自宅に、住宅ローンとは別の債務について抵当権が設定されている場合についてお話をしました。

このような場合には、住宅ローンと関係が無い抵当権が実行されてしまい、住宅を保護するという目的を達成できないため、住宅資金特別条項を使用することができません。

これと同様の考え方から、ご自宅がマンションの場合で、マンション管理費を滞納している場合には、住宅資金特別条項を使用することはできません。

なぜなら、マンション管理費を滞納している場合、マンションの管理組合が先取特権(サキドリトッケンと読みます)という権利を行使して、マンション(居室)を競売に掛けてしまう可能性があるためです。

マンションが競売に掛けられてしまうと、やはり住宅を保護するという住宅資金特別条項の目的が達成できません。

このため、マンション管理費を滞納している場合には、住宅資金特別条項を使用することができないのです。

ご自宅がマンションであり、住宅資金特別条項を利用して自宅を残したいという場合には、マンション管理費の滞納を解消しておく必要があります。

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