個人の自己破産手続に関する破産手続の種類のお話 その3 ~手続の振り分け等について

自己破産はどの種類の手続になるかによって必要な費用が変わります

皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。

当事務所では、自己破産の申立てを注力分野の一つとしております。

これまでのブログで、個人の方が自己破産をした場合の破産手続には、3つの種類があるということ、手続の種類によって、自己破産をするために必要な金額が変わってくるということをお話ししました。

前回までのブログをまとめますと、自己破産を申し立てる場合、裁判所に対して、官報公告費用や、所定の印紙代、郵便切手代を納める必要がありますが(概ね2万円程度です)、破産手続において破産管財人が選任される場合には(「管財事件」の場合には)、これらの費用に加えて、破産管財人のための費用を納める必要があります。

管財事件のうち、破産開始決定後、概ね3か月程度後にある1回目の債権者集会までに、財産の処分が完了すると見込まれる場合には少額管財事件となり、20万円の予納金を納める必要があります。

それ以外の、財産の換価に更に時間を要すると見込まれる事件の場合には、「通常管財事件」となり、さらに高額な予納金を納める必要が出てきます(感覚的には50~80万円ほどです)。

「同時廃止」事件と「管財事件」の振り分けについて

破産管財人が選任されない「同時廃止」事件と、上記2つの「管財事件」とは、どのように選別されるのでしょうか。

静岡地方裁判所に自己破産を申し立てる場合、次のようなケースでは、破産手続を「同時廃止」で進めることはできないとされています(「少額管財事件」か「通常管財事件」になります)。

①過去2年以内に個人事業を営まれていた方

②会社の代表取締役、取締役で、会社も同時に破産を申し立てる場合

③免責不許可事由がある方

④33万円以上の現金を有している場合、現金以外で1つあたり20万円を超える財産を有している場合、または、保有する財産が99万円を超える場合

※ 不動産をお持ちの方の場合、その不動産が明らかに経済的価値のない場合(たとえば、売却困難な山林、原野、農地)、または、不動産に抵当権が設定されており、同抵当権の被担保債務が売却価格を相当程度上回ると考えられる場合でない限り、原則として「管財事件」となります。

⑤申立書や申立書添付の財産目録には記載されていないものの、相当の価値がある財産があると疑われる場合も「管財事件」となることがあります。
たとえば、預貯金口座の通帳等から、継続的に多額の保険料が引き落とされているものの、当該保険について、申立書等に記載がない場合は⑤に該当すると考えられます。
同様に、預貯金等の取引履歴から、株取引、Fx、仮想通貨の取引がされており、相当程度の資産が存在することが疑われる場合も⑤に該当すると考えられます。

破産手続の目的が、破産者の財産を現金化して分配するものであるということは本ブログシリーズの1回目に申し上げました。

先に挙げた①、②、⑤の場合に破産管財人が選任されるのは、破産者の財産の中に現金化して債権者に分けられるものが無いかどうか、中立公正な破産管財人という立場の者がチェックをする必要があるという趣旨によるものと思われます。

また、③については、免責不許可事由があったとしても、破産管財人が調査を行い、裁量的に免責を認めるべき事情があるのであれば、免責が許可される可能性があるため、破産管財人にその調査をさせる趣旨によるものと思われます。

④については、保有財産の状況からして、破産手続費用を支払うことができないとは言えないということで、同時廃止にはならず、管財事件として取り扱うという趣旨であると思われます。

「管財事件」として申し立てるべきものを「同時廃止」事件として申し立ててしまった場合

「管財事件」として申し立てることが相当である破産事件を、「同時廃止」事件として申し立ててしまった場合、基本的に裁判所は、当該事件を「同時廃止」事件としては扱わないと考えられます。

申立後、裁判所から、当該事件は「管財事件」として扱うことが相当であるため、追加で予納金を準備するように指導され、予納金の確保ができない限り手続は進められないということになるでしょう。

このような場合、申立人(破産者)は予期せぬ出費を強いられることになり、手続の進行としても、当初から「管財事件」を想定して準備がされていた場合と比べ、遅延することが予想されます。

そのような事態に陥らないよう、当該事件が「管財事件」として処理されるべきものであるのか、「同時廃止」事件として処理されるべきものであるのかの見極めは重要であると言えます。

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