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破産事件における「管財事件」とは
皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。
当事務所では、自己破産の申し立てを注力分野の一つとしております。
前回のブログでは、個人の方が自己破産をした場合の破産手続には3つの種類があるということ、及び、その一つである「同時廃止」手続についてお話ししました。
今回は、残りの2つの手続についてお話をします。
まずは、「管財事件」のご説明です。
破産手続における「管財事件」では、裁判所が、破産管財人という役割の人を選任します。
破産管財人は、弁護士が選任されることが通例で、破産の申立てを依頼した弁護士とは別の弁護士が選ばれます。
前回のブログで、破産手続とは、破産者の財産を現金化して債権者に平等に分配する手続であると申し上げました。
破産管財人は、この「破産者の財産を現金化して債権者に平等に分配する手続」を取り仕切る者です。
先ほどお話ししましたように、破産管財人には、基本的には弁護士が選任されます(少なくとも私は弁護士でない者が破産管財人に選任された事例を知りません)。
破産管財人として選任された弁護士に、無料で、財産の現金化、分配手続をしてもらうわけにはいきません。
そのため、破産管財人が選ばれる破産手続(「管財事件」)においては、申立人(破産者)は裁判所に対して、破産管財人に仕事をしてもらうための費用(破産管財人の報酬)を納めなければなりません。
このように、破産管財人が選任される破産手続(「管財事件」)では、そうでない手続(「同時廃止」)と異なり、破産手続に必要となる費用が増えることになります。
破産事件における「少額管財事件」(「小規模管財事件」)とは
破産手続には3種類の手続があり、その一つが「同時廃止」手続でした。
残りの2つは「管財事件」ですが、「管財事件」は、「通常管財事件」と「少額管財事件」に区分されます。
この3つの手続のいずれにおいても、破産を申し立てる際には、官報公告費用や、所定の印紙代、郵便切手代を納める必要があります(概ね2万円程度です。「官報」に関するご説明はこちらをご覧ください)。
他方で、先ほどお話ししましたように、破産管財人が選任される事件では、上記の費用に加えて、裁判所に予納金を納める必要があります。
「少額管財事件」の何が「少額」かと言いますと、裁判所に納める予納金が「少額」なのです。
ただし、その予納金は、社会一般の「少額」という感覚からは解離していると思われ、静岡地方裁判所の場合、20万円程度は納める必要があります。
それでも、「通常管財事件」では、静岡地方裁判所の場合、80万円程度の予納金を納める必要がありますので、「通常管財事件」と比べれば、確かに「少額」ではあります。
「少額管財事件」となるか、「通常管財事件」となるかの区分けは、破産管財人がどれほどの業務を行わなければならないか、ということがポイントです。
先ほど、少額管財事件であれば、裁判所に納める費用は20万円となり、通常管財事件の場合は、それよりも相当高額であること、それらの費用は、破産管財人の報酬金の趣旨を含むものであるとお話ししました。
つまり、破産管財人の業務が多くなることが見込まれる場合には、それなりの費用を納めなければならず、通常管財事件となります。
逆に、破産管財人の業務が少なくて済むことが見込まれるのであれば、比較的低額な予納金で済む「少額管財事件」として扱われる、ということになります。
より具体的には、少額管財事件として扱われるためには、1回目の債権者集会(破産手続の開始決定日から概ね3か月後に開かれます)までに、破産者の全ての財産について、現金化が終了しているか、明らかに売れないだろうということで破産財団から放棄されるか、自由財産の拡張によって破産者が引き続き保有することが認められるか、いずれかの処分が見込まれることが必要です。
このように、破産事件の内容として、比較的小規模である事件を「少額管財事件」として扱うため、「少額管財事件」は、「小規模管財事件」とも呼ばれています。
少額管財事件の予納金はいつまでに用意しておく必要があるか?
裁判所への予納金(少額管財事件の場合には20万円)は、基本的には裁判所に破産を申し立てる時までに用意しておく必要があります。
理屈上は、裁判所が破産手続の開始決定を出し、破産管財人が選任され、同人に予納金を振り込む時までに、ということにはなりますが、申立時に用意ができておらず、かつ、その目処も立っていないということになりますと、破産手続を進められません。
そのため、私としては、保険の解約返戻金が、申立日の数日後に入金されることが確実であるなどというような例外的ケースを除き、原則的に申立時までに予納金を用意しておく必要があると考えています。
静岡市を拠点に活動する弁護士。実務に入り16年目。
中心的な取扱分野は、会社個人を問わず自己破産申立事件。
裁判所の選任により年に数件の破産管財人も担当している。
また、会社の顧問弁護士として会社からの相談を受けることも多い(静岡県外(首都圏)にも複数の顧問先会社がある)。
趣味は旅行、英会話、競馬。
