司法修習のお話~その14 集合修習2

「即日起案」って何ですか。

皆さん、こんにちは。弁護士の石川です。

前回の記事から、司法修習のラストダンジョン、集合修習についての思い出をお話ししています。

私が修習生であったとき、集合修習は2か月弱ありました。

その間に、即日起案が5科目×2回ありました。

2か月の集合修習のうち、前半で5科目×1回、後半の割と最初の方でもう1回実施されたという記憶です。

「即日起案」というのは、弁護士などの法曹関係者、あるいは、司法修習生以外の方には、耳慣れない、というか、全く聞いたことがない言葉だと思います。

「即日起案」というのは、「二回試験」の予行演習のようなものです(「二回試験」については、こちらの記事をご覧ください)。

「即日起案」の当日、修習生には、1人1人、厚さ1センチくらいの冊子が与えられます。

その冊子には、ある刑事事件や民事事件について、事実関係や証拠が記載されています。

修習生は、その冊子の内容を検討し、各科目において提示されている問題に対する回答を作成します。

民事裁判や刑事裁判の即日起案であれば、どのような判決を下すべきか、といった問題であったり、検察の即日起案であれば、どのような罪状で当該被疑者を刑事裁判にかけるべきかという問題であったりします。

この「即日起案」の最大の特徴は、とにかく試験時間が長いことです。

午前9時にスタートし、終了時刻は夕方4時ころだったと思います。

7時間かけて1科目に臨むのです。

「お昼休憩」という定まったものもありません。

即日起案の日は、修習生は、コンビニのパンなど予め昼食を用意しておき、記録を読んだり、答案を作成したりしながら、お昼を食べます。

1科目の答案を書くのにそんなに時間が要るのか!?と思われるかもしれないのですが、実際、それくらいの時間がかかることがほとんどでした。

答案用紙も、A4で30行くらいあるものを15枚、20枚書いていたと思います。

昼過ぎに終わってしまった刑事裁判の起案

これまでお話ししたように、「即日起案」というのは、ものすごく時間がかかり、大部なものになることが通常でした。

しかし、私が集合修習で受けた2回目の刑事裁判の即日起案は例外でした。

昼の1時か2時には答案ができあがってしまい、しかも、答案の枚数も確か7、8枚だったように記憶しています。

こんなに早く、しかも、こんなに分量も少なく終わってしまい、はて、私はこの問題にちゃんと答えられているのだろうか、何か重大な問題や要素を見落としているのではないか、と非常に心配になりました。

周りの修習生を見ても、夕方まで普通に起案に取り組んでいるようでした。

しかし、どんなに考えても、大して付け加えられる内容はなく、仕方なく私は、答案の「清書」をすることにしました。

ホントにヒマだったのです。

「清書」をするしか、やることが無かったのです。

ところが、何ということか、そのときの私の答案は、優秀答案になりました。

「清書」しておいて良かったです(笑)

集合修習の雰囲気~前半は飲み会が多かった

集合修習=最後のダンジョンであり、二回試験というラスボスを突破することが修習生全員の共通した目標です(必要とされる「突破の仕方」に個人差はあったようですが)。

受験というと、ピリピリしたような雰囲気を想像されるかと思います。

二回試験そのものは、いずれお話しするように、ものすごく厳格に行われるのですが、集合修習自体は、それほどピリピリしたものではありませんでした。

特に、集合修習の前半は、飲み会が多かった記憶があります。

即日起案が終わって、クラスでその打ち上げ的な飲み会をして、二次会でカラオケに行ったりしていました。

飲みながら、「○○さん、このままじゃ二回試験やばいんじゃないの~。」などと冗談半分に二回試験の話が出ることもありました。

また、外での飲み会に限らず、いずみ寮の中でも、「談話室」という名称だったか、その部屋だけは飲み会OKという大きめの部屋があり、そこでよく酒盛りが行われていたようです。

ただ、二回試験が1週間後、2週間後に迫ってくると、修習生全体に緊張感が漂ってきて、さすがに、その時点で、「飲み行こうぜ☆」と言ってくる猛者はいませんでした。

私は、集合修習に入るまで、共同生活というものがあまり好きなタイプではないと、自分で思っていました。

しかし、いずみ寮は、全室個室で、そのうえ、たくさんの友だちが近くにいた、という環境であったため、比較的楽しく過ごせたという記憶です(二回試験の期間以外は!)。

テレビが持ち込み不可であったことは、前回のブログでお話ししましたが、いずみ寮の1階には大きめのテレビが置いてありました。

あまり見る人がいなかったようですが、私はそのテレビで毎週日曜日の夕方、競馬中継を見ていました。

外から寮に戻ってきた修習生には、「あいつ、また競馬見てるよ・・・」と思われていたかもしれません。

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