「司法修習」のお話~その1

弁護士になるためには~「司法修習」って聞いたことありますか?

皆さんこんにちは。静岡で弁護士をしている石川アトムです。

突然ですが、弁護士になるためにはどうしたら良いでしょうか。

多くの方が、司法試験に合格すること!!とお答えになると思います。

それでは、司法試験に合格すれば、すぐに弁護士として働くことができるのでしょうか。

答えは、Noです。

司法試験に合格した後、弁護士、裁判官、検察官になりたい人は、「司法修習」という研修を受けなければなりません。

司法試験合格者が司法修習を終え、司法修習の卒業試験に合格すれば、晴れて、弁護士、裁判官、検察官として働くことができるようになります。

司法修習は、コロナ禍のイレギュラーな年を除けば、基本的に毎年、決まった時期に行われています。

弁護士業界では(おそらく裁判官も検察官も同様だと思いますが)、「修習新63期の石川です」や「修習70期の○○です」などという自己紹介をすることがよくあります。

「修習新63期の~」というのは、司法修習を終了した年を基準として、「何期の卒業生です」というようなニュアンスです。

私は、修習新63期です。

最近弁護士になられた方から「修習75期の○○です」などと自己紹介されると、「自分もいつの間にか年を食ったもんだ」という気になります(笑)。

修習終了後10年目の会in熱海

今回のブログでは、一般の方には、あまり知られていない司法修習のことを少しだけご紹介します。

と言いますのも、今年は、修習新63期の司法修習終了後10年の会が開かれるからです。

具体的に何をするのかは全く知らないのですが、司法修習終了後10年の会は、該当する年の修習生の間で毎年行われている恒例の行事のようです。

司法修習を終了して10年、つまり、弁護士、裁判官、検察官といった実務に就いて10年の節目に、熱海で同級会をやるというものです。

私が実務に就いて10年の節目の年には、コロナの影響で、この同窓会が中止となりました。

てっきりもうやらないものかと思っていたのですが、実務について13年目の今年に開催されることになりました。

今は別の都道府県で働いている、当時一緒に司法修習を受けた友だちや、司法修習で大変お世話になった教官たち(大先輩の弁護士、裁判官、検察官ということになります)に会えるのをとても楽しみにしています。

「集合修習」とは

さて、司法修習の期間は、概ね1年1か月です。

その中で、司法修習生は、「導入修習」や「集合修習」と呼ばれる研修と、「実務修習」と呼ばれる研修の全てを受ける必要があります。

「導入修習」と「集合修習」は、司法試験の合格者が司法研修所という施設に集まって、座学で研修を受けるものです。

司法修習のスタート時に受けるものが「導入修習」、司法修習の終盤に受けるものが「集合修習」というイメージで良いと思います。

ただし、現在では、司法試験の合格者が大変多くなっています。

2022年の司法試験の合格者数は、約1400人でした。

そのため、導入修習や、集合修習については、1400人の修習生全てが同時に集まるのではなく、修習生を2グループに分け、時期をずらしながら修習を行っているようです。

「実務修習」とは

「実務修習」とは、修習生が日本全国のどこかの都道府県に配属され、その都道府県で約8か月間、弁護士、裁判官、検察官のもとで、実際の裁判や事件を通して勉強をしていくというものです。

たとえば、弁護修習の場合、弁護士と一緒に裁判所に出廷したり、依頼者と打合せをして裁判所に提出する書面を作成したり、警察署に留置されている被疑者と面会したりします。

裁判修習では、裁判官と一緒に法廷に臨んだり、今後訴訟をどのように進行させるか裁判官と議論をしたり、判決を下すとすればどういった内容の判決を出すかということについて判決書の案を作成したりします。

検察修習では、検察官と一緒に、被疑者に対する取調べを行ったり、ある事件について、当該被疑者に対してどのような処分が適当と考えるかを議論したりします。

検察修習の最後の方では、他の司法修習生とペアを組み、検察官は同じ部屋にいるものの、基本的に口を出さず、修習生だけで被疑者を取調べ、調書(被疑者が話した内容をパソコンで打った書類)を作成することもあるかもしれません。

ただし、このようにお話し実務修習の内容は、もう13年前になりますが、私が経験した静岡での実務修習の内容に基づくものです。

大都市圏での実務修習の内容は、上記のものとは異なっているかもしれません。

と言いますのも、静岡で受け入れている修習生は、1年あたり25人程度なのですが、先にお話ししたように、司法試験の合格者は1年あたり1400人を超えています。

具体的な数字は分からないのですが、東京や大阪といった大都市では、1年あたり何百人という修習生を受け入れているものと思われます。

そういった大都市の場合、何百人という修習生に見せられるだけの修習に適した内容の事件が無かったり、「修習生一人当たり~」という見地からしたときの指導側のマンパワーが、地方都市には及ばなかったりするようです。

そのため、地方都市では数件行うことができた検察修習での取調べについても、大都市では全く経験できなかったという修習生もいたという話を聞いたことがあります。

就職活動に関しては、大都市圏での修習が地理的に有利であると思いますが、修習生として実際に経験できる修習の内容という観点からすると、地方都市には大きな魅力があるのではないかと思います。

私は静岡で修習をさせていただき、大変良かったと思っていますし、おそらくこれから司法修習を受けられる司法試験合格者にとっても、静岡での司法修習は大変有意義なものになると思います。

司法試験合格者で、本ブログをお読みの方がもしいらっしゃれば、静岡での司法修習をお勧めいたします。

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