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住宅資金特別条項を使用できない場合~その1 住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合
皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。
本シリーズの2回目から、負債を整理しながら自宅を残すための住宅資金特別条項についてお話をしています。
今回のブログは、住宅資金特別条項を使用することができないケースについてお話をしています。
その1つ目が、住宅に住宅ローンとは別の債務について抵当権が設定されている場合です。
たとえば、個人事業主である申立人が、事業資金を借りる際に住宅を担保にしていたり、住宅ローン債務者が、何か別の目的でお金を借りる際に自身の住宅を担保にしていたりする場合です。
住宅に、住宅ローンとは別の抵当権が設定されている場合、住宅ローンではない債務の抵当権者は、住宅資金特別条項の適用を受けません。
つまり、住宅ローンではない債務の抵当権者は、個人再生手続に影響を受けずに抵当権を実行することができます。
抵当権を実行されてしまうと、住宅資金特別条項を適用して「住宅」(及び住宅を生活の基盤とする再生債務者)を保護するという目的が達成できません。
このため、住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合、住宅資金特別条項を使用することはできません。
もっとも、住宅ローンとは別の債務を担保する抵当権が設定されている場合でも、その被担保債権が少額で、再生計画の提出までに確実に弁済できる目処が立っており、抵当権を抹消することが可能である場合には、手続を進めることを認める裁判所もあるようです。
住宅資金特別条項を使用できない場合~その2 共同担保物件に後順位抵当権が設定されている場合
先にお話ししたとおり、「住宅」に、住宅資金のための抵当権以外の抵当権が付いている場合、住宅資金特別条項を使用することはできません。
これは、住宅資金以外の債務の債権者(抵当権者)が、「住宅」について抵当権を実行できてしまい、「住宅」を残すという住宅資金特別条項の目的が達成できないためです。
同様の観点から、「住宅」が共同担保に入っている場合も注意が必要です。
住宅資金を借り入れる際、「住宅」たる建物と、「住宅」の底地である土地に、共同担保を設定することがあります。
そして、何らかの事情により(事業資金であったり、教育資金であったり)、土地の方に、後順位の抵当権が設定されることがあります。
このような状態になっていますと、後順位の抵当権者は民法の規定に基づいて、住宅ローン債権者の「住宅」に関する抵当権を実行することができてしまいます。
そうなると、やはり「住宅」を守るという目的が達成できなくなってしまいますので、住宅資金特別条項を使用することはできません。
住宅資金特別条項を使用できない場合~その3 住宅資金について保証会社ではない者が代位弁済をした場合
保証会社ではない、一般の人(たとえば、主債務者の親戚など)が連帯保証人となっており、主債務者に代わって住宅資金の弁済をした場合、当該連帯保証人は、住宅資金に関する貸付債権を代位取得することになります(弁済をした親戚は、金融機関が主債務者に対して持っていた権利を丸々引き継ぐということになります)。
このような場合、連帯保証債務を履行した個人たる連帯保証人まで、住宅資金特別条項により、元金と利息の分割払いを受け続けなければならないということは不合理であるとの観点から、住宅資金特別条項を使用することはできないとされています。
住宅資金特別条項を使用できない場合~その4 住宅資金について保証会社が保証債務を履行した日から6か月経過後に個人再生が申し立てられた場合
住宅ローンを借り入れる際、保証会社が、住宅ローン債務を連帯保証することがあります。
主債務者による住宅ローンの支払いが一定程度滞ると、保証会社は、住宅ローン会社(金融機関)に対して、主債務者に代わって、滞っている分を含め、残債務を一括で返済します(保証債務を履行します)。
保証会社が上記のように保証債務を履行した後でも、直ちに住宅資金特別条項付きの個人再生を申し立てることができなくなるわけではありません。
保証債務の履行後に住宅資金特別条項付の再生計画が認可されると、保証会社は住宅ローン会社(金融機関)から、同社に対して支払った金銭の返還を受け、住宅ローン債務は再び住宅ローン会社に戻ることになります。
しかし、保証会社が保証債務を履行した後、長期間経過後に住宅資金特別条項が適用されることになると、取引の安定性を害することになります。
そこで、保証会社が保証債務を履行した後6か月経過後に個人再生が申し立てられた場合、住宅資金特別条項を適用することはできないとされています。
既に住宅ローン債務の支払いが滞っているという場合にも住宅ローン特別条項の利用を希望する場合には、速やかに申立てを行う必要があります。
静岡市を拠点に活動する弁護士。実務に入り16年目。
中心的な取扱分野は、会社個人を問わず自己破産申立事件。
裁判所の選任により年に数件の破産管財人も担当している。
また、会社の顧問弁護士として会社からの相談を受けることも多い(静岡県外(首都圏)にも複数の顧問先会社がある)。
趣味は旅行、英会話、競馬。
