個人再生手続について ~その3 住宅資金特別条項を使用するための条件

個人再生手続で住宅資金特別条項を使用するための条件

皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。

債務整理の一つ、個人再生手続をシリーズでご紹介しています。

これまでのブログでは、個人再生手続とは、裁判所の許可のもと借金を圧縮し、圧縮した借金を分割して支払っていくという手続であること、住宅資金特別条項を使用すれば、債務整理をしても自宅を残せる可能性があることについてお話ししました。

住宅資金特別条項は、現在存在している負債を支払っていくことが困難であるものの、自宅が存在するために自己破産をすることは避けたいと考えている方にとって、非常に有用な手続です。

ただし、住宅資金特別条項の適用を受けるためには、いくつかの条件があり、それらをすべてクリアしなければなりません。

住宅資金特別条項の適用を受けるための条件1~「住宅」に関する条件

住宅資金特別条項の適用を受けるためには、対象となる住宅が、以下の条件をクリアしていなければなりません。

まず、当該住宅は、個人である再生債務者(申立人)が所有していなければなりません。

「所有」は、「共有」でも良いとされており、再生債務者が共有持分を有していれば大丈夫です。

次に、当該住宅は、債務者自身が居住している建物である必要があります。

賃貸目的や投資目的で購入したマンションなどは、住宅資金特別条項を使用することができません。

また、事務所や事業のために購入した建物についても、住宅資金特別条項を使用することはできません。

なお、転勤等で一時的に居住していない場合であっても、生活の本拠として使用する建物である場合には、問題はありません。

そして、建物の床面積の2分の1以上に相当する部分がもっぱら自己の居住のために使用されている必要があります。

個人事業主の方が、自宅を、自宅兼店舗、自宅兼事務所として使用している場合には注意が必要です。

また、二世帯住宅で、対象建物において、それぞれの世帯の居住スペースが物理的に独立している場合も注意が必要です。

住宅資金特別条項を使用するためには、「住宅」が以上のような条件を満たしている必要があります。

なお、かなりのレアケースだと思いますが、このような「住宅」が複数存在するという場合、複数個の「住宅」について住宅資金特別条項を適用することはできません。
住宅資金特別条項を使用することができるのは、複数ある「住宅」の中で、再生債務者が主として居住のために使用している建物1つに限られます。

住宅資金特別条項の適用を受けるための条件2~「債務」に関する条件

次に、住宅資金特別条項を使用するための「債務」に関する条件です。

住宅資金特別条項を使用することができる「債務」は、住宅の建設もしくは購入に必要となった資金、または、住宅の改良に必要となった資金で、分割払いで支払っているものに限られます。

そして、このような貸付金または、保証会社が貸付金を代位弁済した際の求償権を担保すべく、住宅に抵当権が設定されていることが必要です。

これらの条件は、銀行等から住宅ローンの貸付を受けている場合、通常、問題なくクリアされるはずです。

ただし、建物に抵当権が付いておらず、土地だけに抵当権が設置されている場合は、住宅資金特別条項を使用することはできません。

住宅資金特別条項付きの再生計画案に対する認可

住宅資金特別条項が付いていない再生計画案は、当該再生計画が遂行される見込みがないとは言えないこと、及びその他の要件を満たせば、裁判所の認可が得られます。

これに対して、住宅資金特別条項が付された再生計画案が認可されるためには、裁判所が積極的に「遂行可能であると認める」必要があり、再生計画認可のハードルが上がっています。

なお、住宅資金特別条項が付いているか否かに関わらず、再生計画が認可されるためには、清算価値保障原則をクリアしなければなりません。

清算価値保障原則とは、債権者に対しては、今ある資産をすべて売却した場合に支払われる金額よりも多い金額を個人再生手続の中で支払わなければならないというルールのことです。

本シリーズの冒頭で述べたとおり、個人再生手続は、今ある借金を圧縮し、圧縮した借金を分割で支払っていく手続ですが、圧縮できる割合は、今ある資産をすべて売却した場合に債権者に支払われる額を割り込んではいけないということです。

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