個人再生手続について ~その2 「住宅資金特別条項」

個人再生手続の最大の特徴は自宅を残せるという選択肢があること

皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。

当事務所では、自己破産の申立てとともに、個人再生を注力分野の一つとしております。

前回のブログから、シリーズで個人再生手続についてお話をしています。

自己破産をした場合、破産をした時に所有していた自宅は、基本的には破産手続の中で売却され、破産者(申立人)は自宅から出て行かなければなりません。

仮に破産手続の中で売却されなかったとしても、多くの場合、自宅の土地建物に金融機関の抵当権が付いている(自宅が住宅ローンの担保に入っている)と考えられます。
このため、破産手続の中で自宅が売却されなかった場合も、早晩自宅は競売に掛けられて売却されてしまい、その場合には、やはり自宅から出て行かなければなりません。

これに対し、個人再生手続では、「住宅資金特別条項」と呼ばれる手続を取ることで、個人再生手続によって借金を圧縮しても、自宅を手放さなくて済む可能性があります。

個人再生手続は、今ある借金をそのまま支払い続けることはできないが、自宅があるため、破産は避けたいという方にとってメリットの大きい手続と言えます。

なお、住宅資金特別条項は、個人再生手続における特則的な手続ですが、住宅ローン以外に債務が無い(住宅ローンの支払いだけ遅れてしまっている)という人でも、個人再生手続を申し立てたうえ、住宅資金特別条項の適用を求めることは可能です。

住宅資金特別条項を設定した場合の支払い

個人再生手続は、今ある負債を圧縮し、圧縮した負債を3年から5年かけて分割で支払っていくという手続です。

もっとも、住宅資金特別条項を使用した場合の住宅ローンの支払いについては、元金はもちろん、利息も遅延損害金も圧縮されません。

住宅資金特別条項を使用した場合、それまで支払っていた住宅ローンについては、圧縮されず、従前の約定どおりに支払っていく必要があります。

個人再生手続を利用して住宅を残すという手続を取る場合、①住宅ローンを従前と同様に支払い、②圧縮されたその他の債務を支払い、かつ、③通常の生活をしていく、ということになります。

①から③について支払いの目処が立たない場合、住宅資金特別条項を用いることはできません。

住宅資金特別条項を使用して住宅を残すためには、申立前の段階で、①から③のすべてを支払っていくことができるか、よく検討する必要があります。

住宅資金特別条項には、いくつか条件があり、条件の詳しい内容について、次回以降のブログでお話しします。

なお、個人再生手続においては、前回のブログでお話ししたように、手続を申し立ててから、圧縮された負債の第1回目の支払いが始まるまでには、半年以上の期間がかかるものと思われます。

しかし、住宅資金特別条項を使用する場合、通常は、個人再生手続の申立てと同時に、住宅ローンについては、裁判所による再生計画の認可決定を待たず、これまでどおり支払うことを許可してください、という申立てを行い、手続の進行状況に関係なく、従前どおり住宅ローンを支払っていくことになります。

住宅ローンの支払いが遅れていても要件を満たせば住宅資金特別条項は使用できます

既に住宅ローンの支払いが遅れているという場合でも、要件を満たせば、住宅資金特別条項を使用することは可能です。

住宅ローンの支払いに遅れが生じている場合、再生計画の認可決定の確定時までに弁済期が到来する住宅ローンの元金、利息、既に遅れている住宅ローンの元金、利息、遅延損害金を他の一般債権の弁済期間と同様に原則3年以内で分割弁済することになります。

このような内容を含む再生計画が裁判所に認可されれば、住宅資金特別条項の適用を受けることができます。

また、遅滞分について個人再生の申立前に住宅ローン会社と協議をし、遅滞分についてリスケジューリングをした上でその返済方法に基づいて返済が完了していれば、再生計画案の提出時には、住宅ローンについては遅滞が無いものとして扱われます。

ただし、保証会社が保証債務を履行してから6か月経過した後に個人再生手続を申し立てても住宅資金特別条項を使用することはできません。

住宅資金特別条項を使用することを検討しているものの、既に住宅ローンの滞納が始まっているという場合には、早急にご相談いただく必要があります。

keyboard_arrow_up

0542706551 問い合わせバナー 無料相談について