借金でお困りの方へ~借金の法的解決方法その3 自己破産

自己破産とは

皆様、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

以前のブログで、借金の問題を解決する方法として、任意整理、個人再生、自己破産という3つの方法を挙げました。

今回は、この中の自己破産についてお話しします。

「自己破産」、あるいは、破産手続は、今抱えている借金、負債を0にすることを目的とした手続です。

厳密には、破産手続=借金を0にする手続ではないのですが(借金を0にする手続は、法的には、破産手続と同時に申立てをする「免責」という手続です)、一般的には破産=借金を0にするということで良いと思います。

弁護士に自己破産の相談をしてから借金が0になる(免責許可を受ける)までの流れ

自己破産をする場合、まずは弁護士などの専門家に相談をするところから始まります。

弁護士が相談者の破産事件を引き受けるということになった場合、弁護士は、金融業者などの債権者に、弁護士が相談者(この時点で「依頼者」と呼ぶ方が正確でしょうか)の代理人に就きましたよ、という通知を発送します。

一般的に「受任通知」(じゅにんつうち)と呼ばれるものです。

弁護士が受任通知を発送しますと、債権者から依頼者に対する督促等は止まります。

ただし、受任通知を発送してから、その通知が債権者の督促担当部署に届くまでには多少時間がかかりますので、通知の発送から督促が止まるまでには数日間を要すると考えられます。

その後、弁護士が依頼者から聴き取りをしたり、依頼者に自己破産の申立てのために必要な資料を用意していただいたりして、自己破産申立ての準備をします。

当事務所では、自己破産申立ての準備のため、ご相談から申立てまで概ね2か月程度のお時間をいただいております。

申立ての準備が整い次第、裁判所に破産の申立てを行います。

裁判所において、申立時に提出された資料を確認し、特に問題が無いという場合には、破産手続の開始決定が出されます。

不動産等売却するべき資産をお持ちでない方や、免責不許可事由が無い方などは、破産の開始決定が出された後、概ね3か月後に行われる裁判官との面接を経て、破産手続は終了(免責許可決定を受けて借金が0になる)という流れです。

自己破産の手続は、概ね以上のような流れで進んでいきます。

依頼者において、破産申立てに必要となる資料をスムースにご用意いただける場合、依頼者が破産を申し立てた経緯について問題が無い、あるいは、少ないと考えられる場合、依頼者が売却するべき資産をお持ちでない場合、当事務所においては、ご相談から免責許可が出るまでに要する期間を概ね6か月弱と想定しています。

自己破産の手続に時間がかかる場合

当事務所では、破産のご相談をいただいてから、借金が0になるまでの期間を概ね6か月弱と考えています。

しかし、手続に時間がかかる場合もございます。

手続に時間がかかるケースの中には、必要な書類のご提供が滞り、自己破産を申し立てるまでに時間がかかるケースもありますが、破産手続が開始された後に時間を要するというケースもあります。

たとえば、依頼者において、不動産をお持ちである場合が挙げられます。

このブログの冒頭、破産手続そのものは、厳密には、借金を0にする手続ではない、と申し上げました。

破産手続は、今ある資産を現金化し、現金化したものを債権者に「平等」に分配する手続です。

そのため、現金化できる不動産があれば、破産手続の中で不動産を現金化し、現金化されたものを債権者に分配する必要があります。

破産手続の中で不動産を現金化する役割を担うのは、破産管財人という弁護士です(破産管財人に関するご説明はこちらのページをご参照ください)。

破産管財人は、可能な限り債権者に対する配当金を増やすべく、不動産を売却します。

買い手が多数いそうな不動産についてはできる限り高く売れるように、広く売出しを掛けます。

最初に手を挙げた人に売るというのではなく、より高く買ってくれそうな人が出るまで、それなりの時間を掛けて売出しをするということです。

また、破産管財人は、売却が困難な不動産についても、少しでも売れるように時間をかけて買い手が現れるのを待つことが通常だと思われます。

そのため、不動産をお持ちの場合、破産手続を裁判所に申し立ててから約3か月後にある、最初の裁判官との面談で手続が終わることは少なく、さらに時間をかけて手続が進められることが多いように思います。

静岡地方裁判所では、3か月に1回程度、債権者への報告と裁判官と面談をする場が設けられていますので、申立後、手続が終わるまでに6か月、9か月、1年という期間を要する場合もあります。

なお、住宅ローン付きの不動産をお持ちで、借金の問題を抱えていらっしゃる場合には、自宅を維持することができる個人再生という手続についても検討の余地があると思われます。

個人再生手続についてはこちらのページもご覧ください。

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