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個人事業主の自己破産申立ては原則として20万円以上の予納金が必要となります
皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。
当事務所では、自己破産の申立てを注力分野の一つとしております。
今回は、個人事業主が自己破産を申し立てる場合の留意点などについてお話をします。
前回までのブログで、自己破産手続には、3つの種類があるということ、手続の種類によって、破産手続に要する費用が変わってくることについてお話ししました。
静岡地方裁判所で個人事業主が自己破産の申立てをする場合、原則として、当該申立ては、「管財事件」として処理されます。
また、過去2年以内に個人事業を営んでいた方が自己破産申立てをする場合も「管財事件」として処理されます。
以下、過去2年以内に個人事業をしていた方と現在個人事業をしている方を合わせて「個人事業主等」と言います。
個人事業主等が破産をする場合には、原則として、裁判所に対して少なくとも20万円の予納金を納める必要があります。
この点が、個人事業主が自己破産を申し立てようとする場合の最も重要な点と言っても良いかもしれません。
何しろ予納金が用意できないと、破産手続が進みません。
このお金を用意できる目処が立っているかどうか、個人事業主の自己破産申立てにおいては、この点が極めて重要です。
個人事業主が自己破産をする場合に必要な資料~確定申告書の写し
個人事業主以外の方が自己破産をする場合に必要となる資料については、以前別のシリーズでお話ししました(個人が自己破産をする場合の必要書類については、こちらの記事をご参照ください)。
このブログでは、個人事業主が自己破産する場合に、個人事業主以外の方が自己破産する場合に必要となる書類にプラスして必要となる書類について説明します。
静岡地方裁判所において個人事業主が自己破産を申し立てる場合、直近2年分の確定申告の資料を提出する必要があります。
個人事業主は、その名のとおり、事業をしている人です。
破産手続の中では、事業に関連する設備、備品、在庫商品や原材料など、現金化して債権者に分配する財産が無いかどうかの確認を行う必要があります。
このため、直近2年分の確定申告の資料が必要となります。
個人事業主が破産をする際に特に説明をする必要がある事項~「減価償却費の計算」
確定申告の資料の中でも、個人事業主の自己破産申立てにあたり、私が特に重要と考えているのが、「減価償却費の計算」の箇所です。
「減価償却費の計算」には、事業で使用している(あるいは、使用していた)様々な資産が計上されます。
帳簿上計上されているものの、実際には既に廃棄してしまったもの、資金繰りに困って売却してしまったもの、計上されているものの換価価値の無いものなど様々な物があると思います。
それらの計上資産について、一つずつ、現存しているのかいないのか、現存していないとすれば、なぜ現存していないのかを裁判所に対して説明する必要があります。
資産を売却したのだとすれば、いつ誰に売却したのか、廃棄したのだとすれば、いつ廃棄したのか、それらの資料は現存するのかを確認していく必要があります。
また、資産が現存している場合、その資産を現時点で売却した場合、どれくらいの価値が見込まれるのか、という見積りを取得する必要もあるかもしれません。
個人事業主等が自己破産をする場合には、破産を申し立てるにあたり、これらの事項について説明をし、資料を用意しておく必要があります。
これらの説明がない状態で申立てをしたとしても、書類を裁判所に出した時点で、裁判所から説明を求められ、その回答をしなければ手続が進まないと思われます。
また、仮に裁判所から求められなくても、破産管財人からお尋ねがあることは必定であると思われます。
通帳の入出金記録も重要
個人事業主等の場合、事業を営んだことのない個人に比べて、通帳の入出金記録は膨大なものとなることが多いと思います。
個人事業主等の自己破産申立てでは、現金化して分けられる財産があるのか無いのか、回収未了の売掛金が無いかどうかを明らかにすべく、通帳の入出金履歴について、これはどういった出金、これはどういった入金という説明をする必要性も、個人事業主以外の方の破産申立ての場合と比べて高いと言えます。
静岡市を拠点に活動する弁護士。実務に入り16年目。
中心的な取扱分野は、会社個人を問わず自己破産申立事件。
裁判所の選任により年に数件の破産管財人も担当している。
また、会社の顧問弁護士として会社からの相談を受けることも多い(静岡県外(首都圏)にも複数の顧問先会社がある)。
趣味は旅行、英会話、競馬。
