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自己破産申立てのための準備~弁護士から債権者に対する「受任通知」
皆様、こんにちは。弁護士の石川アトムです。
当事務所では、自己破産の申立てなど、借金の問題を注力分野の一つとしております。
前回のブログでは、自己破産申立ての際にご用意いただきたい書類についてお話をしました。
その中の①として、「債権者からの請求書や督促状」をご用意いただきたいと申し上げました。
個人の自己破産の申立ての場合、その準備は、弁護士が依頼人の代理人として、債権者に対して、○○さんは自己破産をすることにしました、今後、○○さんへの請求は止めてください、という通知を出すことから始まることが多いと思われます。
弁護士が債権者に発送するこのような通知のことを「受任通知」といいます。
受任通知が債権者に届くと、当該債権者から相談者、依頼者に対する請求はストップします。
弁護士から債権者に対してこのような通知を出す必要があるため、どこの債権者からお金を借りているのか、あるいは、どこの債権者に未払いがあるのか、ということを知る必要があり、債権者からの請求書や督促状のご持参をお願いしています。
自己破産申立てのための準備~債権者一覧表の作成
弁護士が受任通知を出しますと、債権者から弁護士に対して、○○さんは、うちの会社にこれだけ借入れがあります、という返答があります。
弁護士は、すべての債権者に受任通知を発送し、債権者の名称や連絡先とともに、債権者から連絡のあった借入額、負債額を「債権者一覧表」という書類に書き込んでいきます。
以前のブログで、破産手続は、厳密には借金を0にする手続そのものではない(借金を0にする手続は、免責手続です)ということをお話したように思いますが、「債権者一覧表」は、この「借金を0にする」ことと密接に関係しています。
たとえば、相談者のAさんが、仲の良かった友だちBさんからお金を借りていたとします。
Aさんはお金を借り始めたころは、Bさんからの借入れをある程度返すことができていたものの、次第に返済が滞るようになり、Bさんとの友人関係にもヒビが入りました。
Aさんは、自分が破産をして、裁判所からBさんのところに破産の通知が行くと、Bさんからまた文句を言われるようになるなど、面倒なことになると思い、弁護士にはBさんからお金を借りていたことを黙っていたとします。
この場合、Aさんが自己破産を申し立てて、免責決定を受けることができたとしても、その後、BさんからAさんに対して借入金の返済請求があったとき、Aさんは、免責を受けていると言ってBさんからの請求を拒否することはできません。
破産法上、AさんがBさんからお金を借りているということを認識しながら、債権者一覧表にBさんの名前や借入金額などを記載しなかった場合、Bさんに対する借入れは、免責の対象外になるとされているからです。
破産手続では、すべての債権者を平等に取り扱う必要があります。
友人や親戚からお金を借りており、そのことを弁護士に秘密にしたまま破産手続を進めてしまうと、後々さらに大きなトラブルを招きかねません。
お金を借りていたり、未払いのものがあったりする場合は、必ず弁護士にそのことを話し、債権者一覧表へ掲載してもらいましょう。
法テラスを利用するためにも必要となる住民票、課税証明書
前回のブログで、自己破産申立てのために、住民票と課税証明書をご用意ください、というお話をしました。
この2つの書類は、法テラスを利用して自己破産を申し立てる際、法テラスにその写しを提出する必要があります。
そのため、法テラスを利用して自己破産を申し立てることをご希望の方においては、早期にご用意いただく必要がある書類と言えます(法テラスを利用した自己破産申立てについては、こちらの記事もご参照ください)。
他方で、自己破産申立てを行う際に裁判所に提出する住民票は、発行から3か月以内のものが必要とされています。
当事務所では、自己破産のご依頼をいただいてから、裁判所への申立てまでを概ね2か月で行います。
そのため、通常のケースであれば、法テラス利用のため、最初にご提出いただいた住民票を使用して、自己破産の申立てが可能です。
ご用意いただきたい住民票については、重要なポイントがあるので、こちらで再度述べさせていただきます。
破産申立ての際に提出する住民票は、以下の記載要件を満たすものが必要です。
①世帯全員
②本籍、続柄、世帯主が記載されているもの
③マイナンバーが記載されていないもの
当事務所で自己破産申立てを行うことを検討されていらっしゃる方は、ぜひこの①から③の要件を満たした住民票をお取りいただきますようお願い申し上げます。
当事務所では、借金に関するご相談は、初回無料となっております。
自己破産の申立てなどを検討されていらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。