「面会交流」から「親子交流」へ ~その2・父母以外のものと「子」との交流

父母以外の者と「子」との交流

皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。

我が国においては、令和8年4月1日より、家族法に関する改正民法が施行され、これまで「面会交流」と呼ばれてきた父母と子との交流(「親子交流」)についても、いくつかの改正条項が施行されることになります。

これまで「親子交流」は、(改正前民法においては「面会交流」と呼ばれていましたが)文字どおり「親子」による交流を対象としており、祖父母には、彼らと孫とが交流することを申し立てる権利がありませんでした。

改正前民法を判断の対象とした令和3年3月29日最高裁判所第一小法廷決定は、「父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分として上記第三者と子との面会交流について定める審判を申し立てることはできないと解するのが相当である」として、祖母は孫との面会交流を求める審判を申し立てることはできないと判断していたのです。

今回の法改正は、この最高裁判所の判断を立法によって修正するものです。

令和8年4月から施行される改正民法においては、一定の条件がクリアできれば、祖父母等にも「子」と面会することを求めることができるようになりました。

父母以外で「子」との交流を求めることができる者の範囲

「子」との交流を求めることができる者の範囲について、改正民法は、子の直系尊属(例:祖父母)及び兄弟姉妹以外の者については、過去に当該子を監護していた者に限る、としています。

直系尊属、兄弟姉妹以外の者(例:叔父、叔母)が「子」との面会を求めようとした場合、その者は、「過去に当該子を監護していた」という要件を満たす必要があります。

「過去に当該子を監護していた」と言えるためには、「子」と同居するなど、生活の本拠が同じであり、相当程度の期間にわたる監護実績が必要と考えられています。

原則は「親」による申立て(他の親族による交流の申立ては例外的な場合にのみ認められる)

親以外の者が「子」との交流を求めることができるのは、「他に適当な方法がないとき」に限られています。

「他に適当な方法がないとき」とは、父母の一方が亡くなったり、行方不明になったりして、父母の間で親子交流について協議をしたり、父母の一方が親子交流の申立てをすることができないような状態にあるときに限定されていると解釈されています。

父母が健在である場合などは、原則として父母以外の第三者による申立ては認められません。

逆に、父母は、自身と子との親子交流とは別に、「子」にとっての祖父母など、他の親族と自身の子との交流を求める審判等を申し立てることは可能です。

父母のいずれか一方が亡くなっている場合など、「他に適当な方法がないとき」には、直系尊属、兄弟姉妹、その他過去に子を監護していた親族(例:叔父、叔母)は、「子」との交流を求める調停、審判を申し立てることができることになります。

父母以外の第三者に「子」との交流が認められるための要件

父母以外の第三者と「子」との交流が認められるためには、先に述べた「当該親族と子との交流についての定めをするため他に適当な方法がない」という要件以外に、当該第三者との交流が「子の利益のために特に必要があると認められるとき」という要件を満たす必要があります。

「子の利益のため特に必要があると認められる」場合とは、子と、当該親族との間に親子関係に準ずるような親密な関係性があることが必要であると解されています。

そして、そのような関係性の存在を基礎付けるための事情として、当該親族が相当程度「子」と同居して監護に関わってきたことなどについて具体的な事情が必要であると考えられています。

ただし、「子の利益のため特に必要があると認めるとき」という要件は、あくまでも父母の協議が調わない場合に裁判所が判断(審判)をする際の要件です。

当事者間で協議がまとまり、調停が成立する場面でこの要件を満たさなければならないというものではありません。

このように改正民法が施行されることによって、父母以外の親族にも一定の場合に、子との交流を求める申立てが可能となりました。
しかし、父母以外の親族が申立てをできる場合は例外的なものとされており、依然として父母以外の親族が「子」との交流を求めるハードルは高いといえます。

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