離婚後の「共同親権」制度10~「共同親権」と再婚相手との養子縁組

離婚後の「共同親権」下にある子を養子縁組するためには、原則として元配偶者(別居親)の承諾が必要です

皆様、こんにちは。静岡で弁護士をしております石川アトムです。

今回は離婚後の「共同親権」に関するブログの第10弾で、「共同親権」に関するブログとしては最終回となります。

来月からいよいよ離婚後の「共同親権」の制度がスタートし、18歳未満の子がいる父母が離婚する場合、父母は、離婚後も「共同親権」とするのか、父母いずれかの単独親権とするのかという選択を迫られることになります。

離婚後も子が父母双方との関わりを持ちつつ成長していくということは、子の成長にとってプラスの側面があるでしょう(もちろんDVなどの事情により、すべてのケースがそうでないことは、改正法においても想定しているところです(必要的単独親権事由))。

他方で、離婚後においても「共同親権」とすることを選択した場合、15歳未満の子を再婚相手と養子縁組させようとした場合、大きな困難を伴うことが予想されます。

ここでは例として、離婚後も「共同親権」となっており、子と同居している親を母親、別居している親を父親とし、母親が再婚するという場面を考えてみます。

「共同親権」下の子を再婚相手と養子縁組させようとした場合、子が15歳未満である場合、親権者が子に代わって養子縁組を承諾する必要があります。

このような親権者による承諾を「代諾」(だいだく)と呼びます。

改正民法施行前は、離婚後は父母いずれかの単独親権のみでしたので、離婚後に単独親権者となった母親が単独で養子縁組を代諾すれば足りました。

しかし、「共同親権」下の子(15歳未満)について、子が再婚相手と養子縁組をするためには、母親は父親と「共同」で再婚相手との養子縁組を代諾する必要があります。

つまり、再婚相手との養子縁組を成立させるためには、子の父親(元配偶者で、別居親である共同親権者)に、再婚相手と自身の子が養子縁組することに同意してもらう必要があります。

私としては、この時点で、主として感情的な問題から、養子縁組に同意してくれる元配偶者がどれだけいるのか、という懸念を有していますが、さらに深刻な問題として、次に述べるような事情があります。

離婚後「共同親権」状態で養子縁組をすると、他方親(元配偶者)は親権を失います

改正民法818条3項は、子が養子であるときの親権者を、養親及び養親の配偶者たる子の父母であると定めています。

これは、離婚後に「共同親権」の状態で養子縁組をした場合、養親となった者(再婚相手が想定される)の配偶者でない親(つまり、元配偶者ないし別居親たる親権者)は、共同親権者でなくなる=親権を失うということを意味しています。

先にお話ししたように、15歳未満の「共同親権」下の子について、再婚相手と養子縁組を行うためには、元配偶者の承諾が必要となります。

しかし、元配偶者が、再婚相手との養子縁組を承諾した場合、元配偶者は、自身が有していた共同親権を失ってしまうことになります。

このような場面で、どれほどの元配偶者が、再婚相手との養子縁組を行うことに同意してくれるのでしょうか。

養子縁組の代諾に関する親権行使者の指定は極めてハードルが高い

離婚後の「共同親権」下において、父母の意見が対立した場合の解決方法として、どちらの親が、その事柄について親権を行使するのかを裁判所に決めてもらう親権行使者の指定という制度があることは以前のブログでご説明申し上げました。

養子縁組に関する代諾についても、他方親(元配偶者)が養子縁組に同意してくれない場合、「親権行使者の指定」という手続を使うことができます。

ただし、養子縁組の代諾について「親権行使者の指定」を求める場合、その他の「親権行使者の指定」の場合よりも要件が加重されています。

一般的な「親権行使者の指定」の場合は「子の利益のため必要がある」ことが要件ですが、養子縁組の代諾に関する「親権行使者の指定」の場合は、「子の利益のため特に必要である」ことが要件とされています。

これは、子の利益のため、他方親の親権を失わせてもなお、養子縁組を成立させる必要があるのか、という観点から、別居親の親権を維持することについて子の利益の観点から問題があると言えない場合には、養子縁組の代諾に関する親権行使者を指定することは認められないと考えられているためです。

このように、養子縁組の代諾に関する「親権行使者の指定」は極めてハードルが高いといえます。

一般的に、共同親権を有している他方親(元配偶者)が自身の親権を喪失するとしてもなお、再婚相手と子との養子縁組に同意してくれるケースは僅少と思われます。

そうしますと、離婚時に「共同親権」となった場合、その後同居親が再婚して、再婚相手と子(15歳未満)とを養子縁組させることはかなり難しいのではないかと考えられます。

特にお子さんの年齢が低い場合、「共同親権」とするかどうかを決める際、この点の考慮は不可欠であろうと思います。

keyboard_arrow_up

0542706551 問い合わせバナー 無料相談について