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破産管財人とは
みなさんは、「破産管財人」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「破産管財人」とは、破産手続において、裁判所によって選任される弁護士のことです。
破産手続とは、破産した人の財産を現金化して、法律によって定められた優先順位にしたがって、債権者に現金化した財産を分配する手続です。
破産管財人は、破産した人の財産を管理し、現金化し、分配する手続を取り仕切る弁護士です。
破産管財人は、会社の自己破産の場合にはほぼ必ず選任されます。
他方で、個人(自然人)の自己破産の場合には、選任される場合と、選任されない場合があります。
破産管財人が選任されるとお金がかかります!
弁護士に自己破産手続の申立てを依頼する場合、当然のことながら、申立てを依頼するための弁護士費用がかかります。
破産管財人は、申立人が希望してようといまいと、裁判所が必要と判断をすれば、裁判所が選任します。
破産管財人は、裁判所が当該破産手続のために選任する弁護士であり、その弁護士に無料で仕事をしてもらうわけにはいきません。
そのため、破産管財人が選任される場合、破産管財人に仕事をしてもらうための費用が、申立てのための費用とは別に必要となります。
つまり、破産管財人が選任される自己破産事件では、自己破産手続の申立てを依頼する弁護士費用とは別に、破産管財人のための費用が必要になるということです。
破産管財人が選任される場合に必要となる費用の目安
静岡で、個人が自己破産をする場合、破産管財人が選任されるケースでは、破産管財人のための費用として最低でも20万円程度を見ておく必要があります。
破産管財人の選任が必要と思われる場合、自己破産をするためには、申立てを依頼する費用とは別に、破産管財人のための費用を用意する必要があります。
破産管財人の費用は法テラスの立替対象外です。
別の記事で、法テラスを利用して自己破産手続を申し立てる場合のことについてご説明申し上げました。
自己破産を申し立てるために依頼する弁護士の費用は、法テラスを利用することができます。
しかし、生活保護を受給している場合を除き、破産管財人のための費用は、申立人が自分で用意する必要があります。
法テラスを利用する場合でも、破産管財人が選ばれる可能性がある場合には、申立人が自分で破産管財人の費用を工面する必要があります。
破産管財人が選任されるケース1~免責不許可事由があると考えられる場合
これまでお話ししてきたように、破産管財人が選任される場合、申立てを依頼するための弁護士費用とは別に、破産管財人に仕事をしてもらうための費用(最低でも20万円程度)が必要となります。
それでは、どのような場合に、破産管財人が選任されることになるのでしょうか。
あくまで、私個人の経験に基づく、静岡で自己破産を申し立てる場合という前提ですが、破産管財人が必要となる場合の1つ目のパターンは、申立人に免責不許可事由が存在すると考えられる場合です(免責不許可事由についての詳しい内容は、こちらのページをご覧ください)。
免責不許可事由が存在すると考えられる場合、破産管財人は、申立人に免責不許可事由が存在するかどうかを調査したり、免責不許可事由の内容や程度を調査したり、免責不許可事由が存在したとしても、裁量的に免責を認めるべきかどうかについて意見を述べたりします。
このような手続を取るために、破産管財人が選任される場合があります。
したがって、申立人に免責不許可事由が存在すると考えられる場合には、破産管財人の報酬を用意できるかどうかについても検討する必要があります。
破産管財人が選任されるケース2~申立人が個人事業を営んでいた場合、法人代表者である場合
申立人が個人事業を営んでいた場合、申立人の財産状況を明らかにするため、管財人の調査が必要とされることがあります。
申立人が個人事業を廃止してから2年以内に破産を申し立てる場合には、破産管財人が選任される可能性があると考えられます。
また、申立人が法人の代表者である場合、法人の財産と個人の財産が混同していないかを調査するため、破産管財人が選任されます。
破産管財人が選任されるケース3~財産状況等に疑義がある場合、否認対象行為があると考えられる場合
申立人の財産状況に疑義がある場合(たとえば、通帳上不明瞭な多額の入出金がある場合など)や、破産に至る経緯に疑義がある場合(たとえば、申立人が事業を営まない個人であるにもかかわらず、あまりに多額の負債がある場合など)には、それらの疑問点を解明するため、破産管財人が選任され、破産管財人による調査が行われることがあります。
また、申立人に偏頗弁済などの否認対象行為があると考えられる場合にも、破産管財人が選任されることがあります。
自己破産の申立てにあたって注意すべきこと
自己破産の申立てにあたり、破産管財人が選任される可能性がある場合、申立てを依頼する弁護士費用とは別に費用がかかる可能性があります。
破産管財人が選任される可能性があるかどうかは、申立ての準備段階である程度予測をすることができます。
後になって、「破産管財人の費用が必要になりました!」ということの無いよう、自己破産申立てにあたっては、申立てを依頼する弁護士には、破産に至る経緯や財産状況について正直に話をするべきでしょう。
また、自己破産の申立ては、聴取りをしっかり行ってくれる弁護士に依頼するべきと言えます。