個人の自己破産申立てのための準備~番外編 自己破産手続と自宅などの所有不動産について2

自己破産における自宅の処分

皆様、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

来週から9月に入りますが、残暑が厳しく続いております。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

前回のブログでは、個人の方を対象とした自己破産申立ての準備に関するブログの番外編として、自宅などの不動産をお持ちの方に関して、自己破産をした場合、お持ちの不動産がどうなるのか、というお話をしました。

前回のブログでは、自己破産をしたとしても、その不動産に住み続けることができる場合(ご親族や知人が不動産を買い取ってくれたり、残ローンを支払ってくれたりする場合)があることについてお話をしました。

今回は、親族や知人による不動産の買取りや残ローンの支払いが困難である場合についてお話をします。

自己破産をしたら、いつまでに自宅を出て行かなければならないのか

どなたかがご自宅を買い取ってくれる、あるいは、ご自宅に設定されている抵当権に関する負債を支払ってくれるということでもない限り、基本的には、ご自宅は破産手続の中で売却処分されます。

破産手続の中でご自宅が売却された場合、当然のことながら、破産者はご自宅から出て行かなければなりません。

問題となるのは、いつまで自宅にいて良いのか、ということです。

このことについて明確な答えはありません。

しかし、遅くとも破産手続が開始された時点で、申立人(破産者)が所有している財産の管理処分権限は破産管財人が有することになり、観念的には開始決定が出された時点から、破産管財人はご自宅の売却処分に向けて動き出すことになります。

そのため、私としては、遅くとも破産手続が開始された時点までにはご自宅から退去していただくべきだと考えています。

当事務所の場合、ご相談をいただいてから破産手続を申し立てるまで、概ね2月程度のお時間をいただいています。

破産手続を申し立ててから破産手続の開始決定が出るまでの期間を2週間程度と見積りますと、ご相談をいただいた時点で自己破産を申し立てることを決意されている方の場合には、ご相談のときから概ね2か月から3か月後にはご自宅を出ていただくという腹づもりでいていただきたいと思います。

もちろん、様々なご事情により、上記のような期間のうちにご自宅を出て、別の場所へ引越しをするということが困難な方もいらっしゃると思います。

ご自宅をお持ちの方で、ご自宅を去らなければならない公算が高い方については、破産申立ての準備中に、ご自宅に関する対応についてご相談させていただければと思います。

破産をしても不動産が戻ってくるケース~破産管財人による破産財団からの放棄

前回のブログでお話ししたように、お手持ちの不動産は、原則的には、破産手続の中で現金化され、その現金が破産債権者に対して分配されることになります。

しかし、不動産の中には、破産手続においても現金化できない、つまり、売れない不動産というものも存在します。

典型的には、山林、原野の類ですが、田畑についても買い手が見つからず、現金化できないということもあります。

売れない不動産については、最終的に、破産管財人が売却を断念することがあります。

この場合、売れなかった不動産は、破産手続の中で現金化して債権者に分けるべく構成されている財産の集まり(「破産財団」といいます)から、放棄され(分離され)、破産者のもとに返ってくることになります。

このようなケースは、山林、原野、田畑に限らず、居住用の不動産、つまりご自宅についても起こり得ます。

たとえば、老朽化が著しく建物の解体費用が土地の値段を上回る、崖の直下などマイナス面が大きい、共有物件で他の共有者が売却に反対している、等々の理由によって、破産手続の中で売却ができないということがあります。

このような場合、それまで住んでいた不動産が、破産手続が終わっても売られずに、また破産者のもとに返ってくるということになります。

ただし、その場合でも、ご自宅に抵当権が付いていれば、抵当権が付いたままのご自宅が返ってくるということに注意が必要です。

つまり、破産手続が終わって、ご自宅が再び破産者の管理下に置かれることになったとしても(またご自宅に住めるようになったとしても)、債権者が競売を申立て、結局競売により売却されてしまうということが考えられます。

当事務所では、法人、個人を問わず、自己破産手続の申立てを多く取り扱っております。

ご自宅などの不動産をお持ちで自己破産をお考えの場合には、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

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