このページの目次
自己破産申立てのための準備~預金通帳、入出金履歴
皆様、こんにちは。弁護士の石川アトムです。
当事務所では、自己破産の申立てなど、借金の問題に対する法的な解決を注力分野の一つとしております。
今回も自己破産申立ての準備についてお話ししています。
以前のブログで、自己破産申立ての際にご用意いただきたい書類についてお話をしました。
その中で「預貯金の通帳」が必要です、というご案内をいたしました。
今回は、その通帳、または、預金口座の入出金の履歴についてお話しをします。
静岡地方裁判所において、自己破産申立てを行う際、お持ちの預金口座の通帳のコピーを1年分以上提出する必要があります。
通帳は、残高が0でも、長年使っていなくても、お持ちの預金口座に関するものは、すべてご提出いただきます。
また、自己破産の申し立てをする日から1年以内に通帳を更新している場合には、更新前の古い通帳についても提出が必要となります。
ただ、近時、私が代理人として、静岡地方裁判所に申し立てた破産事件では、1年分以上の通帳の写しを提出していたのですが、1年ちょっと前に通帳が繰り越されており、繰越前の(1年以上前の)通帳についても提出することを求められたことがありました。
そのため、当事務所のブログでは、2年分の通帳をお持ちください、ということでご案内を差し上げています。
自己破産申立ての準備~通帳レス口座をお持ちの方の場合
最近では、楽天銀行やPayPay銀行などのインターネットバンキングを利用されている方も多いと思います。
インターネットバンキングでは通帳が無いことが通常だと思います。
また、銀行の窓口で口座を開設された方でも、通帳レスの口座を利用されている方もいらっしゃると思います。
そのような方の場合には、銀行口座のスマートフォンアプリなどで、残高が分かるページと入出金履歴のページのスクリーンショットをお撮りいただき、私のメールアドレス宛にスクリーンショットを添付してお送りいただきます。
お送りいただく入出金履歴の期間は2年間ですが、銀行によっては、6か月程度しか入出金履歴が表示されないこともあります。
そのような場合には、ひとまずは可能な限りの期間分をお送りいただければと思います。
さて、以下の情報は、全くの余談ですが、通帳レスの口座では、1枚のスクリーンショットに表示される入出金は、3~4つ程度だと思います。
紙の通帳では、見開き1ページに20個を超える入出金が表示されます。
仮に同じ期間に同じ数だけ入出金があるとすると、紙の通帳に比べて、通帳レス口座のスクリーンショットは、その5倍以上の枚数が必要となります。
しかも、完全に私の主観なのですが、通帳レス口座を利用されている方は、キャッシュレス決済の利用率が高いと感じています。
キャッシュレス決済は数百円単位で気軽に行うことができるため、同じ期間であっても、入出金の数自体がかなり多いと感じています(他方で、数百円単位で頻繁に現金を出金するという方は見たことがありません)。
このように、通帳レス口座では、同じ期間の入出金履歴を提出するとしても、紙の通帳に比べて枚数が多く、かつ、同じ期間であっても入出金回数が多いため、2年分の入出金履歴のスクリーンショットを印刷すると、一つの口座だけで厚さが1センチメートルほどになったりします。
通帳を作るかどうかという場面では、通帳レスはエコなのかもしれませんが、破産申立ての場面では、環境に優しくないなと感じます。
ただし、2028年までには、破産手続の申立てもオンラインで申請できるようになります。
早くそのような時代が到来してもらいたいと思っています。
余談の余談~裁判手続のオンライン化について
先ほど、2028年までに破産手続をオンラインで申し立てることができるようになるというお話をしました。
これに先だって、2026年には、オンラインで訴訟を提起することが可能となり、その前段階(?)として、裁判所への提出書類(準備書面や証拠など)をオンラインで提出できるようになりました。
裁判所の公式HPでは、2023年6月には、静岡地方裁判所(本庁)などのすべての地方裁判所で、そのような取扱いの運用が始まるという予定だったようですが、私が関わっている事件では、そのようなお話は全く伺っていません。
民事裁判書類電子提出システム(mints)について | 裁判所
事件の種類、内容によっては、資料(書類の枚数)が膨大な数に上ることもあります。
それこそ1回の裁判の準備のために、厚さ3~4センチの書類を提出するということも間々あります。
これを裁判所と相手方の数の分だけ印刷しなければならないというのは、結構大変です。
以前、静岡地方裁判所ではない、他県の裁判所の手続で、書面のオンライン提出を利用させていただき、大変便利だった記憶があります。
書類提出のオンライン化についても、裁判所(特に静岡地方裁判所)には、積極的に進めていただいたいと思っています。
話が横道の横道に逸れましたが、当事務所では、借金に関するご相談は、初回無料となっております。
自己破産の申立てなどを検討されていらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。