司法修習のお話~その16 恐怖の二回試験1

弁護士になるために合格しなければならない「二回試験」

皆さん、こんにちは。弁護士の石川です。

司法修習シリーズのブログもいよいよ最終章です。

弁護士になるために合格しなければならない試験は何でしょう、という質問に対しては、おそらく多くの方が「司法試験!!」とお答えになるでしょう。

しかし、弁護士になるために合格しなければならない試験は、実はもう一つあります。

正式名称では「考試」(こうし)、通称「二回試験」(にかいしけん)と呼ばれる試験です。

これまで、司法修習について色々とお話をしてきました。

私の時代は、最初に、地域毎に、裁判所、検察庁、弁護士の仕事を実際の場で勉強する分野別修習があり、その後、選択修習を経て、和光での集合修習という流れでした。

そして、最後に、司法修習のラスボスとして二回試験があります。

二回試験に落ちると、弁護士になれません。

翌年にもう一度司法修習を受けられるのかというと、そうではありません。

司法修習生という身分も、二回試験の終了とともに無くなります。

つまり、二回試験に落ちてしまうと、「司法修習生」という身分を失って、翌年の同時期に行われる二回試験の合格のみを目指して、ただひたすら1年間勉強し続けるという状態に置かれます(仕事をしていなければ「無職」ということになってしまいます)。

また、不合格になった場合、内定を得ていた法律事務所から、内定取消を受けるということも考えられます。

二回試験の合格率は95%を超えます。

ほとんどの修習生が合格する試験です。

それだけに、二回試験のプレッシャーは凄まじいものがあります。

集合修習の特に後半は、全修習生(おそらく)が二回試験を目指して、必死で勉強をします。

「二回試験」の受験科目と日程

司法試験では、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法という6つの基本科目に加え、選択科目の合計7科目の試験に合格しなければなりません。

「二回試験」では、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5科目の試験にすべて合格しなければなりません。

私の場合は、検察→刑事裁判・・・という順番でした。

なぜ最初の2つの順番を覚えているのかというと、最初の2つが壊滅的であった(と私が感じた)からです。

二回試験は、集合修習と同様に、和光の司法研修所で行われます。

いずみ寮に入っている修習生は、寮で朝食を済ませ、そのまま徒歩で廊下を渡って研修所に入り、試験を受けるということになります。

ハッキリした開始時刻は覚えていないのですが、おそらく午前9時かそこらだったと思います。

終了時刻もハッキリした時間は覚えていないのですが、午後4時とか、それくらいだったと思います。

集合修習に入ると、二回試験に向けて即日起案(答案練習)を何度も行いましたが、二回試験の試験時間も、基本的には即日起案と同様だったように思います。

先ほども申し上げましたように、試験科目は5つあります。

各科目を1日ごとに行います。

途中で、土日や、中日的なものがありました。

私の場合、金曜日に検察、土日を挟んで、月曜日に刑事裁判、火曜日に何かの科目、水曜日が休みで、木金と残り2科目だったのではないかと記憶しています。

恐ろしく厳格な二回試験~携帯電話は必ず預けましょう

私のこれまでの39年間の人生の中で、二回試験以上に厳しい試験はありませんでした。

司法試験ももちろん受験していますし、ロースクールに入るための入試や、大学入試、センター試験(当時)も経験しましたが、それらの試験の規律の厳格さは、二回試験の足下にも及びません。

私が司法試験を受けたのは、大阪のとある会場でした。

ある科目の終了後、私の席の斜め左方向の列の一番前に座っていた方は、係員が答案を回収中であり、自身の答案が回収されていない状態であるにもかかわらず、袋を破いて、昼食のパンを食べ始めていました。

何てゆるい試験なんだろうと思いました。

それに比べて、二回試験の厳格さたるや!

ガラケーの時代でさえ非常に厳格だったので、今はもっと厳しいと思いますが、少なくとも私の時代の二回試験では、試験会場に携帯電話を持ち込む場合、試験開始前に、携帯電話を所定の箱の中に入れて、試験監督に預けるという決まりになっていました。

しかし、いるんですよね、預けない人が。

で、鳴るんですよ、そういう人の携帯が。

おいっ!って思いましたよ。

こういうことが起きますと、試験終了後に、誰の携帯電話が鳴ったのかと、試験監督らによって「犯人」捜しが始まります。

鳴った携帯の主が特定されますと、おそらくその人は失格になります。

ですから、「やべぇ、、、オレの携帯鳴っちゃったよ。」と自分で分かっていても、「犯人」は絶対に名乗り出ません。

名乗り出たら、そこで試合終了ですよ、状態なのです。

そうすると、その部屋の受験者は、試験終了後、全員着座で待たされることになります。

私の部屋では、確か2回、つまり2日、そういった場面があったように記憶しています。

どちらか一方は、試験終了後も1時間半ほど待たされました。

5科目を同じ部屋で受けるので、2回目に携帯が鳴った人は、1回目に誰かの携帯が鳴ったとき散々待たされた経験をしていたはずなのに、どうして携帯を預けなかったのか・・・。

二回試験は本当に厳しいのです。

答案の回収が終わってないのに、パンを食べ始めちゃうとか、あり得ないんです。

二回試験中、携帯電話は絶対に預けましょう。

他の受験生に大変な迷惑がかかります。

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