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私が描いていた「弁護士」像=マチ弁
皆さん、こんにちは。弁護士の石川です。
ここ最近、弁護士になるための就職活動についてお話をしています。
前回のブログの後半では、司法試験受験後に受けた、大阪の大手法律事務所での「サマクラ」をご紹介しました。
司法試験受験後、私自身、裁判官や検察官ではなく弁護士になりたいということはほぼ固まっていたのですが、どのような弁護士なりたいかということについては、まだふわふわとした状態でした。
と言うよりも、大手渉外事務所と呼ばれる事務所でどのような執務が行われているのか、正直よく分からなかったという感じでした(今でもよく分かりません笑)。
私にとっては、一般的な民事事件、家事事件、刑事事件を扱うマチ弁の方が、テレビドラマ等で馴染みがあり、親近感を持つ存在でした。
大阪の某大手法律事務所でサマクラをさせていただき、自分が思い描いていた弁護士という仕事に比較的近いと思ったことや、私を指導してくださった先生がとても優しかったこと、事務所の雰囲気もかっこ良かったので、同事務所に対する就職活動を行うことに決めました。
大阪某大手法律事務所での就職活動
その事務所では、サマクラ終了後、司法試験合格発表前から、会食を通じたリクルート活動が行われていました。
私は、その事務所の先生方と4回ほどお食事をさせていただきました。
先にお話ししたとおり、私の中での「弁護士」像はマチ弁であり、この点、当該事務所で働くということは、私の希望と合っていました。
しかし、私の中では、静岡で働くというビジョンが強く、大阪の同事務所で就職活動をしつつ、やっぱり静岡がいいな、とも思っていたのでした。
4回目くらいのお食事の際、食事をご一緒させていただいた先生から、「君は、今うちの事務所が内定を出すと言ったら、うちに来てくれるかね。」というようなご質問をいただいたのですが、嘘がつけない私は、「うーん。」と言ってしまったんですよね。
こんな態度では、事務所側も、もう結構です、となりますよね。
実際、その次の食事に呼ばれることはありませんでした。
また、私も、採用面接に申込みをしませんでした。
大阪での就職活動はこれで一区切りとなり、この頃には、司法試験の合格発表も出ていたかと思います。
その後、第一希望が通って、静岡での修習を始めることになったことについては、以前のブログでご紹介したとおりです。
静岡の法律事務所での就職活動
司法修習が静岡に決まったものの、静岡市(静岡支部)での修習ではなく、ショックを受けたことも以前ご紹介のとおりです。
当時、司法試験には合格したものの、法曹関係者とのツテはほとんどありませんでした(全く無かったわけではありませんが、そのツテを使える状況にはありませんでした)。
今では、静岡では、どこの事務所もホームページを持っていますが、15年前、静岡法律事務所でホームページを持っていた事務所は、3割程度だったのではないでしょうか。
まずは、ホームページを持っている事務所に、弁護士募集の記載が無いかを探しました。
しかし、司法修習が始まる前の時点から、新人弁護士募集を打ち出す事務所は、かなり少なかったです。
新人弁護士募集を打ち出している事務所に電話をしても、司法修習が始まってからお知らせします、というような感じで、東京、大阪での就職活動を経験してきた身からすると、かなりゆったりと構えており、就職活動をする立場からすると、歯がゆい感じでした。
静岡市内の某事務所にアポを取ることができ、お邪魔させていただいたこともありました。
その際、就職活動の話をしようとしたところ、「まぁまぁ、そんな話はいいじゃないか。」というような感じで、飲みに連れて行っていただいたのですが、ほとんど就職活動の話は出なかったと記憶しています。
とにかく、静岡での採用状況というのは、かなりのんびりとしたものに感じられました。
当時は、司法試験合格者が急増し、私が合格した年より前の数年間で、それなりの人数の方が静岡で就職をされていたという事情もあったのかもしれません。
私が司法試験に受かったころは、氷河期とまでは言いませんが、買い手市場で、弁護士としての就職活動は、それなりに苦労をした時期であったであろうと思います。
逆に、ここ最近では、司法試験合格者が若干減ったとは言え、十分な人数がいるはずなのに、東京一極集中の状態が続いており、静岡のような地方会で就職してくれる新人はかなり減ってしまっています。
私が弁護士になったときには、静岡県全体で20人、静岡支部だけでも10人程度は就職をしたものですが、ここ数年、静岡県全体でも7、8名程度ではないでしょうか。
時代は変わったのだなぁと実感します。