弁護士になるための就職活動~弁護士石川アトムの場合1

弁護士としての就職活動は司法試験の遥か以前から始まっていた

皆さん、こんにちは。弁護士の石川です。

これまで、弁護士になるために必要な「司法修習」という制度について、18回にわたりお話をしてきました。

弁護士になるためには、司法試験に合格し、司法修習という研修を約1年間受け、二回試験という卒業試験に合格する必要があります。

二回試験に無事合格した司法修習生の多くは、弁護士として働き始めますが、その中でもほとんどの修習生は、特定の法律事務所に就職し、その事務所の一員として弁護士デビューします。

中には、様々な理由により、特定の法律事務所に就職せず、弁護士デビューと同時に自らの事務所を開設するという弁護士もいないわけではありません。

このような場合、弁護士になったと同時に即独立する、ということで「即独」(そくどく)と呼ばれたりします。

即独しない修習生は、特定の法律事務所に就職する必要がありますが、法律事務所への就職活動は、どのように行われるのでしょうか。

これも、もはや15年以上前のお話になってしまうのですが、私がロースクール(法科大学院)に通っていたころ、弁護士としての就職活動は法科大学院に通っているころから始まっていたと言っても過言ではありません。

当時の司法試験(いわゆる「新司法試験」)では、多くの人にとって、法科大学院を卒業して初めて司法試験を受験するということが想定されていました。

法科大学院へ通っている時期というのは、司法試験に合格していないことはもちろん、司法試験を受けたことすら無い、という人もたくさんいました。

そういう状況であるのに、既に就職活動は始まっていたのです。

大手法律事務所の「サマクラ」

私がロースクールに入学してまだ2か月程度しか経っていないころ、掲示板にチラシが貼られていたのか、チラシが配られたのか、先輩のロースクール生から案内があったのか定かではありませんが、東京の某大手法律事務所が、事務所の紹介をする説明会を開くということで、案内がありました。

現在、日本の大きな事務所と言いますと、東京にある「四大事務所」、「五大事務所」と言われますが、私は、その中の2つの事務所の説明会に参加しました。

そのうちの1つの事務所では、京都市内の某有名ホテルの会議室で、説明が行われました。

参加した2つの説明会の記憶は既に忘却の彼方ですが、おそらくその説明会のときに、ロースクール1年目の夏休みに、1週間うちの事務所で業務体験をしてみませんか、という案内があったと思います。

東京や大阪の大手事務所で行われていた(現在も行われているようです)、夏休みに行われる弁護士事務所の業務体験のことをサマークラーク(略して「サマクラ」)と呼んでいました。

サマクラは、ロースクール生からすれば、将来就職したい法律事務所に自分をアピールする場であり、法律事務所側からすれば、若くて優秀なロースクール生をかなり早い時期から(司法試験合格の2年以上前から!!)、スカウトできるというメリットがありました。

大きな事務所で働きたいと思うロースクール生の多くは、サマクラに参加するのではないかと思います。

私がいたロースクールでは、3割程度の生徒は、ロースクール1年目の夏休みに、サマクラに参加していたと記憶しています。

「サマクラ」の中身

私が参加したサマクラは、東京の某大手法律事務所が行っていたものでした。

私は京都大学のロースクールに通っていましたので、京都から東京の事務所まで新幹線で行きました。

また、東京では、1週間宿泊する必要がありました。

これらの費用は、すべて事務所持ちです。

また、サマクラの期間中、朝食は事務所が予約してくれたホテルのビュッフェでした。

昼食や夕食も、毎回、事務所に所属している弁護士との会食で、それらの費用もすべて事務所持ちでした。

事務所に着いて早々、お昼を食べに行こうということになり、近くのホテルで昼食を取りました。

最安値のお料理が3000円くらいであり、学生だった私はとても驚きました。

さらに、おそらく今もそうだと思いますが、一応法律業務を補助する立場ということで、1日あたり1万円のバイト代的なものも支給されました。

私が参加した週は、自分を含めて6人程度のロースクール生がサマクラに参加していました。

ロースクール生一人あたり、最低でも1週間で15万円程度の経費かかるものと思いますが、大手事務所にとっては、早期スカウトのメリットに比べれば大した金額ではないのでしょう。

サマクラでは、担当となる弁護士1名(私の場合は、弁護士歴3年くらいの先生でした)から指示を受けて、裁判例を調査したり、法律の解釈について調べたりする業務を行いました。

自分以外の5人のサマクラ生は、確か全員別のロースクール(法科大学院)の方だったと思いますが、その中の一人に、めちゃくちゃ「四大事務所」やそこに所属している弁護士について詳しい方がいらっしゃいました。

四大のどこそこの事務所はこういう事務所で、あそこはこういう事務所で、あの事務所の○○先生は、こういう分野が非常に得意で・・・などというような感じです。

ロースクールに入って4か月で、よくそこまで色々調べたなぁと感心したものです。

彼は、その後、私も参加していたサマクラの事務所に入所し、現在ではパートナーになっています。

すごいです。

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