弁護士の専門分野??

弁護士がよく尋ねられる「ご専門は何ですか?」という質問

みなさん、こんにちは。弁護士の石川アトムです。

私は、事件と全く関係が無い人と何かの折に名刺交換をしたり、自分が弁護士であることを伝えたりすることが時々あります。

先日も私が通っている英会話教室のクラスメイトに、自分が弁護士であるということをお話しました。

そうしたとき、「ご専門は何ですか?」というご質問をいただくことがあります。

特に、ここ4、5年ほど、そういったご質問をいただくことが増えたように思います。

私が弁護士になってから数年間は明らかに見た目が若かったので(20代後半までお酒の年齢確認をされていました)、当時は、若い弁護士に専門分野もへったくれも無いだろうということで質問をいただかなかっただけなのかもしれませんが・・・。

さて、「ご専門は何ですか?」という質問は、実は、結構困ります。

得意分野や、よく扱う事件の種類という意味で言えば、自己破産事件(個人、会社を問わず)、交通事故及び顧問業務ないし企業法務の3分野が挙げられます。

自己破産事件(個人、会社を問わず)、交通事故及び顧問業務ないし企業法務は、破産管財事件まで含めれば、今扱っている業務の7割程度は占めるのではないかと思います。

確かに上記の分野は、他の事件類型と比べて取扱件数は多く、得意だとは思います。

しかし、それらが私の「専門」分野かと言うと、「専門」と言い切ることにはためらいを覚えます。

そのため、「ご専門は何ですか?」という質問に対して、大抵私は、「『専門』というわけではないのですが、よく扱う事件や比較的得意な分野としては、破産、交通事故、顧問業務や会社からの事件があります。」などというように答えています。

なお、以前書きました「静岡の弁護士が考える『自己破産に強い弁護士』とは、どのような弁護士か?」の記事については、こちらのページをご覧ください。

弁護士歴30年の先生でも「ご専門は何ですか?」は困る

コロナの影響で3年遅れでの開催でしたが、先日、司法修習終了10年を記念する式典がありました(司法修習に関するご説明等は、こちらのページなどをご覧ください)。

その際、私が司法修習時代にお世話になった弁護士の教官にお目にかかることができました。

その教官は、このみち30年になろうかというベテランの先生で、東京でお仕事をされています。

先生は、日本の複数の有名企業の社外取締役に就任されており、企業法務、特にコンプライアンス、不祥事対応関係のお仕事を扱うことが多いとおっしゃっていました。

私から、その弁護士の先生に、「『先生のご専門は何ですか?』と聞かれたら、どうお答えになりますか?」というご質問を差し上げました。

そうしたところ、先生は、「困っちゃうんだよねぇ。特に専門っていうのが無いからさ。」とお答えになりました。

その質問の直前までの話の内容からすると、企業法務や会社の顧問業務などをたくさん取り扱っているようにお見受けしたため、先生のご回答は、かなり意外でした。

しかし、実際のところ、多くの弁護士においては、「ご専門は何ですか?」という質問に対しては、そういった回答にならざるを得ないのかもしれません。

そもそも「専門」って何でしょうか

goo辞書によりますと、

専門とは、以下の2つのことを意味するそうです。

1 限られた分野の学問や職業にもっぱら従事すること。また、その学問や職業。

2 もっぱら関心を向けている事柄。

同じく、「専ら」とは、以下の意味であるようです。

[副]他はさしおいて、ある一つの事に集中するさま。また、ある一つの事を主とするさま。ひたすら。ただただ。

一般的な語感で言ってもそうなのかもしれませんが、「専門」というのは「それしかやらない」という意味であると思います。

ですから、「専門は何ですか?」と問われますと、やはり私にとっては、「特に専門という分野はありませんが、よく扱う事件は・・・」というのが正直な回答になると思います。

静岡の○○専門弁護士

私が2つのサーチエンジンを用いてかなりテキトーに検索した限りですが、静岡の法律事務所、あるいは弁護士個人のホームページで、取扱い分野に関して、「専門」という言葉を用いている法律事務所、あるいは弁護士は3名(3件)ありました。

ある弁護士の事務所では、「交通事故専門弁護士」というワードを用いたウェブサイトを作成していました。

しかし、同弁護士のメインのホームページには、個人の方向けの取扱い分野の例として「離婚、相続、債務整理」という記載もありました。

そうしますと、前者のウェブサイトにおける「交通事故専門弁護士」とは、「交通事故をよく取り扱う弁護士」、あるいは、「交通事故案件が得意な弁護士」という意味になろうかと思います。

しかし、ホームページを見ている方には、その弁護士が、文字通り交通事故専門=交通事故しか取り扱わない弁護士であるのか、先に述べたようなニュアンスの「専門」であるのかは必ずしも分からないと思われます。

実際のところ、「ご専門は何ですか?」や「交通事故専門」、「自己破産専門」などの「専門」に、それしかやっていない、という意味合いを求められる方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。

専門分野=それしかやっていない分野という意味での回答を期待しているのかどうなのか、今度お尋ねがあったときには、その真意を伺ってみたいと思います。

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