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弁護士になるための最終関門~オーストラリアでも悪夢にうなされる
皆さん、こんにちは。弁護士の石川です。
これまで、弁護士になるために必要な「司法修習」という制度について、お話ししてきました。
今回は、その18回目で、いよいよ最終回です。
過去2回のブログでは、「司法修習」のラスボス的存在である通称「二回試験」(にかいしけん)についてお話をしてきました。
私は、その二回試験で、検察→刑事裁判と2連チャンで大失敗しながら、「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」の精神で、何とか完走することができました。
二回試験の終了からその合否の発表までは、およそ3週間ありました。
司法試験のときもそうだったのですが、私は、何かの試験の合格発表を、ただじっと待っているということがとても苦手です。
そのことばかり考えてしまう状態になり、精神的に良くないということを、自分自身よく分かっていました。
合否発表までの3週間を、ただじっと待っていることなどとてもできないと考えた私は、集合修習中に、オーストラリアへの6泊7日程度(機中泊含む)の海外旅行を申込みました。
そして、二回試験を終えた翌週から、オーストラリアのケアンズへ旅行に出掛けたのです。
ケアンズ旅行自体は、とてもとても楽しいものでした。
初めての一人での海外旅行で、日中は、二回試験のことを8割方忘れることができました。
ところが、夜!!
オーストラリア滞在中、2日に1回は、二回試験、あるいは、二回試験に落ちる夢を見ました。
どんだけメンタルやられてるんだよ!という感じですが、私にとって、二回試験のプレッシャーは本当に大きかったです。
オーストラリアから帰ってきた後、修習中から私を可愛がってくれた先輩弁護士のお誘いで、飲みに連れて行ってもらったことがありました。
そのとき、先輩弁護士は、某大先輩弁護士のお通夜帰りで喪服でした。
私が、二回試験に落ちたと思うと言って、あまりに落ち込んでいたので、その先輩弁護士には、まるで私が通夜に行ってきたようだと笑われてしまいました。
その先輩弁護士には、どうやって内定先の事務所に二回試験に落ちたことを報告に行けば良いのか、というような相談までしていたように思います。
私にとって、二回試験の合否発表までの期間は、それくらい厳しいメンタル状況にありました。
「二回試験」は合格発表と言うより不合格発表
二回試験の合格発表は、司法研修所で紙が貼り出される形式で発表されます。
司法試験を含め、多くの試験で貼り出されるのは、合格者の番号だと思いますが、二回試験で貼り出されるのは、不合格者の番号です。
前々回のブログでお話ししたように、二回試験の合格率は95%を超えます。
当時、私たちの修習同期は1800人くらいいたので、合格者は概ね1700人を超えます。
確かに1700人分の番号を貼るよりも、不合格者の番号を貼り出した方が早いと言えます。
とにかく二回試験では、不合格者が貼り出されるのです(おそらく今もそうでしょう)。
私は9分9厘落ちたと思っていたので、とても和光市の司法研修所まで合格発表(というか、不合格発表)を見に行く気力がありませんでした。
しかし、その日のうちには合否を知りたいと思い、同じ静岡修習で合格発表を見に行くという友だちに、不合格者が貼り出されている掲示板の写真を送って欲しいとお願いし、その写真で確認をしました。
友だちは面白がって、わざわざ2枚に分けて写真を送ってきました(1枚目の写真は、私の受験番号の直近の不合格者の番号が写るように撮影してありました)。
掲示板には私の番号はなく、私は辛くも二回試験に合格することができたのです。
本当にほっとしました。
さて、私のころは、二回試験の成績は開示を希望することが可能でした。
忘れたころに、私の手元に、二回試験の成績表がハガキで送られてきました。
その通知を見たところ、検察科目はCでした。
Aからいくつまであるのかは知りませんが、やはり検察科目はそれなりにヤバイ状態にあったのでしょう。
他方で、大失敗したと思っていた刑事裁判科目はAでした。
何じゃそら、って感じでした。
しかし、二回試験は、一科目でも不合格だと不合格になりますので、検察科目がCであった私の心配は杞憂では無かったわけです。
二回試験の後遺症
そんなこんなで、1年間の司法修習を終え、2010年12月15日に私は静岡県弁護士会で弁護士登録をし、今14年目を迎えています(もう2か月もすると、15年目になります)。
しかし、未だに二回試験はトラウマで、半年に1回くらいは、二回試験を受験してうまくいかなった夢を見ます。
こういう夢は弁護士何年目まで見るんでしょうね。
弁護士の業務に関する悪夢ではなく、司法修習時代の悪夢を見ているうちは、ある意味、まだ平和なのかもしれません。
そんなこんなで、司法修習に関するシリーズは、一旦おしまいとしたいと思います。